一般財団法人環境イノベーション情報機構
キーワード8:都会の生物多様性
「生物多様性」は、自然豊かなところの話で、都会とは関係ないんじゃない?
大都市・東京の郊外を流れる「野川」は、多摩川水系多摩川支流の一級河川です。大昔の多摩川が削った跡(河岸段丘)にあたる国分寺崖線の崖下に並行して川が流れています。この「ハケ」と呼ばれる崖の斜面から湧き出る清らかな湧水が水源になってきました。
その野川では、かつて昭和30年代の原風景としてあった「水のある農の風景」を目標に、自然再生事業が行われています。まだまだ豊かな自然を身近に感じられる一方で、屋敷林や崖線林、農地の減少、それとともに湧水量の減少や水質悪化も見られ、身近な里地里山の自然を残していこうと、行政・市民がタッグを組んで取り組んでいます。
どこか遠くの大きな自然の中で非日常的体験に浸かるのではなく、身近なほどよい規模の自然に日々触れることで感じられることがあることを、この事例は教えてくれるようです。
そんな、日常の中にある自然と人の暮らしの原風景の回復をめざして取り組んでいるのが、野川の自然再生事業です。ここでは、小規模ながら、無農薬不耕起の田んぼづくりをおこなっています。
この特集ページは平成22年度地球環境基金の助成により作成されました。