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H教授の環境行政時評環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。

No.033

Issued: 2005.10.05

第33講 本時評の2年半を振り返る(その1)付:コウノトリ放鳥その他

目次
小泉自民党圧勝とカトリーナ被災
石油価格高騰 ―インフレの前触れか
温暖化と自然災害
アスベスト問題補遺2
愛知万博終了
羽ばたけ、幸の鳥
時評2年半を振り返る ─1

小泉自民党圧勝とカトリーナ被災

Aさんセンセイ、総選挙でコイズミさんが予想以上の圧勝をしましたね。

H教授ひとつは小選挙区制のマジックだけど、コイズミさんの強いリーダーシップでなら日本を変えてくれるかもしれないと思った国民が相当数いたんだろうねえ...。
確かに自民党の大票田だった特定郵便局を敵に回してまで、郵政民営化法案を進めようとしたのは事実だからなあ。

Aさんでもコイズミ改革はパフォーマンスだけ、道路公団問題だって三位一体改革だって中途半端って評価じゃなかったですか。

H教授それは事実だけど、党内力学から妥協を強いられただけで、コイズミさん自体はやる気だったと思うよ。そして郵政民営化はコイズミさんの執念。だから郵政問題を突破口にしたかったんだと思うし、その心意気が評価されたのかもしれない。
ただねえ、問題はどういう風に日本を変えるかなんだ。
コイズミ改革の向かう先は明らかに<競争社会>だね。そして勝ち組が社会を引っ張っていくことによって活性化させるというものだと思うよ。コイズミさんに拍手喝采を送った人たちがどう考えているかは知らないけど。

Aさんつまり米国型社会ですね。でも、その暗部がハリケーン「カトリーナ」で露呈したんじゃないですか。

H教授そう、貧者が取り残された。おまけに阪神淡路大震災やスマトラ沖の大津波のときと違って、被災地では略奪と暴行が横行したそうだ。そういう社会は人心も荒廃するんじゃないかな。


Aさんでも、勝ち組ってほんの一握りでしょう。それで選挙で勝てるのかしら。

H教授だれもが頑張れば勝ち組になれるって希望というか幻想を与えること、そして、もうひとつは負け組も含めて、統合の旗として<強い国家>を強調し、目を外に向けさせる。アメリカだったら9.11、アルカイダ、フセインってわけだ。ま、そういう目で靖国参拝問題なんかも見てみるんだな。

Aさんでも、現に日本の借金は国・地方合わせて千兆円を越してしまったでしょう。「官から民へ」、「小さな政府」「自助努力」という方向自体は間違ってないんじゃないですか。

H教授民主党も競い合ってそう言ってるね。だけど、公務員の数からすれば、今でも日本は十分以上に「小さい政府」だと思うな【1】
それでも、財政からいうと、支出を思いっきり切り詰めなきゃいけないし、一方で増収を図らねばならないのも事実だ。
ただなあ、公共事業削減や三位一体改革と言われているものは下手すると地方切捨て、弱者切捨てになってしまう。環境もそうだよね。公共事業削減は環境には一般的にはいいことだけど、それに代わる手立ても考えないと、農山村が荒廃しかねない。自助努力だけでなく、一方じゃ相互扶助とNGOの活動などを支援するシステムづくりが必要だろうし、地球温暖化問題や外交でブッシュさんに追随してしまうと大変なことになってしまうよ。

Aさん増税も覚悟しなきゃいけないんですかねえ。

H教授定率減税は廃止という話も出ているし、大増税時代がすぐそこまで来ているかもしれない。問題はだれに負担が厳しくなるかだよねえ。

Aさんタバコなんて10倍以上増税すりゃいいんじゃないですか。そうすれば禁煙する人が増えて健康にも環境的にもいいですよ。ねっ、センセ(ニッコリ)。


H教授(弱々しく)みんなが禁煙すれば税収増加にならないじゃないか。
ひとつアイデアがあるんだ。列車や飛行機は禁煙を原則とし、有料の喫煙室を併設っていうのはどうだい。海外旅行では機内で10時間以上も禁煙を強いられるとなりゃあ、喫煙室利用料に1万円ぐらい払う人もいるんじゃないか。で、その大半を税収にするんだ。


石油価格高騰 ―インフレの前触れか

Aさんバカバカしい。
それより、さっき出たカトリーナの影響で、石油価格が高騰していますね。ガソリンも上がる一方だし。このままいくと一転して物価上昇、インフレになってしまうんじゃないですか。

H教授カトリーナ以前からイラク問題などもあって原油価格は上昇気味だったけど、それが一気に加速された。資源枯渇がいよいよ現実のものになりつつあるのかどうかは知らないけど、一方じゃ、バイオディーゼルなど脱石油の動きも出てきているね。いずれにせよ超長期的には脱石油社会に向かわなければいけないんだから、いいことかもしれない。
ただハイパーインフレだけは勘弁してほしいね。

温暖化と自然災害

Aさんところでカトリーナや、九州・四国・中国地方で猛威を振るった台風14号、それにインドでも大型サイクロンが出現するなど、昔から較べて規模が大きくなっていませんか?

H教授うん、海水温が高くなってるから、それだけ海面からの蒸発量も大きくなって大型化し、一方で北上しても水温低下が小さいからなかなか収まらないらしい。

Aさんじゃ、やっぱり温暖化の影響ですか。

H教授さあ、そこまではわからないけど、全く関係ないとは言えないんじゃないかな。ま、床屋政談はこのくらいにしておこう。
いずれにせよ年末の予算編成と税制──つまり炭素税がどうなるか、そして気候変動防止にかかる第二約束期間への対応をどうするかで、コイズミ政権の真価が問われることになるだろうな。ちなみに、ドイツやニュージーランドでも政権交代かどうかで国論が二分、いろんなところで世界は再び政治の季節を迎えているのかもしれない。
環境関係の話題では、ほかになんかあったか?


アスベスト問題補遺2

Aさんやっぱり新聞では、アスベストオンリーですね。政府の対応では、アスベスト新法の骨子案が決まりました。労災で救われない被害者のための救済法で年内に細部を詰め、来年の通常国会で審議される見込みのようです【2】

H教授いいことじゃないか。ただ、公共の施設でアスベストを使っていることがわかったからといって方々で使用禁止などの措置が取られているけど、一昔前に建てられた建物だったらアスベストを使っているのが当たり前なんだ。吹き付けたアスベストがむき出しになっていたりすれば、使用を休止し、濃度測定を行う。その結果異常な高濃度だったりすれば封じ込めや除去が必要だろうけど、ただの石綿スレートを使っていることがわかった程度だったら、そのまま使用を続け、念のため濃度測定を行うというのでいいと思うよ。
濃度測定して、一般環境と同レベルだというのがわかったのに、使用禁止にした例があるけど、一体、何を考えているのかねえ。
もっとほかの話題はないか?


愛知万博終了

Aさん愛知万博が終わりました。センセイ、さんざんこきおろしてましたけど、予想以上の盛況で大成功だったそうですよ【3】。センセ、行けばよかったって後悔してるんじゃないですか?

H教授なにをもって大成功だというかだね。1兆円以上の経済効果をもたらしたとあったけど、それだと単に興行が成功したというだけの話だ。“自然の叡智”をテーマにした万博だけに、環境保全という観点からの成果が問われてしかるべきだ。


羽ばたけ、幸の鳥

Aさんあいかわらずへそ曲がりですね。あーあ、アタシも行きたかったなあ。
そうそう、兵庫県豊岡市では人工飼育されていたコウノトリの試験放鳥が始まりました。
野生復帰の第一歩ですね。センセイの子供のころなんか大空にいっぱい羽ばたいていたんじゃないですか。

H教授なにを言ってるんだ。乱獲がたたって明治末期にはもう絶滅が心配され、但馬地方ぐらいしかいなくなったんだ。禁猟になって、それから少しは増え出したけど、昭和の10年代に入ってから減少。戦後は特別天然記念物に指定するなど手厚く保護したんだけど、ついに昭和46年に日本産の野生のコウノトリはいなくなった。その後、ロシア産のペアを飼育するなど繁殖作戦を開始、89年に始めて繁殖に成功し、今では100羽は越すようになったんだ。数年前には大陸から飛んできた野生のコウノトリも1羽居着くようになった。県立コウノトリの郷公園は、今では豊岡の観光名所になっている。

Aさんうまくいくといいですね。でも、ほんとうに、豊岡市もよくがんばってますよね。

H教授ぼくはよくは知らないけど、きっとコウノトリ命!のような市職員がいて、熱心な地元の愛好家がそれをサポートして、トップを動かしたんだろうな。コウノトリは水田のドジョウやカエルなどを餌にするんだけど、農薬の影響などで餌が減少したり、大木が伐られて営巣・繁殖の場が減ったりしたのが姿を消した原因らしい。でも最近は、無農薬水田の取り組みなど、コウノトリの生息環境づくりに協力的な農家が増えてきたらしい。地域ぐるみの活動が功を奏したんだね。
新聞によると、放鳥後、コウノトリが舞い降りて餌をついばんだ水田を県のほうで「自然に優しい水田」として認定することを検討中とあった。行政も今後はこうしたソフトな取り組みが必要だと思うね。


時評2年半を振り返る ─1

Aさんさ、ぼちぼち本論にいきましょうか。前から約束してたとおり、この2年半を振り返るんでしょう。

H教授うん、第1講は03年1月だった。最初は隔月という約束だったんだけど、アンケートのお答えや投書があっという間に百通を越し、EIC始まって以来の椿事だというので、急遽毎月にしてくれと泣きつかれた。
それまで書き溜めていた原稿があったから、それをアレンジすれば、隔月なら3〜4年は持つと思っていたんだけど、おかげで1年半で使い果たし、今じゃあ月末になると青息吐息だ。

Aさんでも最近はお便りもぐっと数が減っちゃいましたね。「竜頭蛇尾」だっけ、「はじめ処女のごとく、終わりは脱兎のごとく」だっけ。センセイ、いつか「飽きられたんかなあ」って言ってたでしょう。前講でセンセイが紹介していたブログでは「飽きられた」んじゃなくて、あまりの内容のヒドサに「呆れられた」んだって(笑)。

H教授よほどオオクチバスの記事【4】が気に入らなかったんだろうな。でもEICネット自体のアンケート調査結果では、いまだ堂々の第3位だよ【5】

Aさんそのアンケートって何人答えてくれたんですか。

H教授...200人弱だったそうだ。ヒット数の多さと対照的だね。
本講でも文末でアンケートをお願いしているけど、こちらも激減しているという。原因ははっきりしていて、昨年春のEICネットのリニューアルだ。それまでは文末にアンケートがあったんだけど、このリニューアルでアンケートを画面に出すにはもう一度クリックしなきゃいけなくなった。たったこれだけのことで、それまでの1/3か1/4になっちゃったわけだ。

Aさんその分、酷評も減ったからいいじゃないですか。ところでセンセイ、第3位と胸張ってましたけど、女性に限れば一気に第8位に転落ですよ。女性好きのセンセイとしては残念だったですねえ。

H教授...。

Aさんま、それはともかく第1講は「2002年の総括と2003年の展望」ということで総花的な話でスタートしました。
この頃は森内閣でしたっけ? イラク侵攻はしてましたか? 京都議定書に日本は批准してました?

H教授しょうがないなあ、若年健忘症は。第一次小泉内閣の発足は2001年4月で、この年に9.11があって、その後にアフガン進攻。日本政府が京都議定書批准を閣議決定したのが2002年6月。第1講の頃はイラク侵攻が是か非かで世界が揺れていた。ついでに言っとくと、2002年の12月に自然再生推進法が成立し、2003年1月から施行されたんだ。
あと個人的には2003年の正月はショックなことがあった。

Aさんえ? なに、なに?

H教授路傍停車中に後ろから激突された。幸い怪我はなかったけど、クルマは大破。こちらは100%無過失だから保険で新しいクルマが買えるかと思ったら、中古車の評価がムチャクチャで雀の涙の保険金。保険会社の対応のひどさに激怒した。

Aさん(無視して)へえ。
で、第2講が3月ですね。循環型社会形成推進基本計画案を紹介してますね。

H教授うん、「資源生産性」だとかの新しい概念を解説したんだけど、無事、年度内に閣議決定された。

Aさんそれから脱ダムと淀川水系流域委員会の論評。この淀川水系流域委員会の話は5講、9講、12講と再三取り上げていますね。

H教授欧米では脱ダムが常識、日本でも長野の田中知事が言い出した。そこへ国土交通省近畿地方整備局長の諮問委員会である流域委員会が淀川水系5ダム計画に否定的な意見を出したという報道を読んで、すっかり国土交通省も方針転換を図ったと早合点しちゃった。
地方整備局は、当初は全事業継続、その後の検討で2ダムは建設を中止するものの3ダムについては事業継続との方針を出した【6】。流域委員会では最終の意見書をこの11月にとりまとめるそうだけど、どうやら見解はすれ違ったままのようだ。
大阪府も安威川ダム【7】を規模縮小しても続行する意向のようで、いったん始まった公共事業は中止が難しいということを立証したようなもんだ。
ただ、流域委員会を公募制でスタートさせた地方整備局長の英断には脱帽だな。

Aさんそしてアセスミティゲーションの話で、SEAの可能性、政策決定システム自体の見直しが必要だと締めくくっています。ここでは一般論にとどめていますが、具体的なアセスの話を4講(S港沖埋立)、17講(石垣空港、S湾)、32講(豊中市ミニアセス)と、再々触れてきましたね。


H教授第3講が4月、キミの留年1年目の開始だ。すでに米英のイラク侵攻がはじまってたね。

Aさんそうセンセイ、えらく怒って、「ネオコンは世界の癌だ」などと言ってましたっけ。

H教授今はすっかり凋落して、見る影もないそうだけどね。

Aさんちょうど世界水フォーラムが開催中で、これにも触れてましたけど、政策的にはその後なにか生まれていますか? あ、聞いてもムダか、どうせフォローしてないんでしょうから。

H教授ほんと、一言多いねえ。カレシが逃げ出すわけだ。

Aさんほっといてください! で、メインディッシュがダイオキシン。ダイオキシン騒ぎ自体は非合理的なパニックだったけど、それが社会を循環型に変える原動力になったというセンセイ独自のシニカルな見解でしたね。

H教授これから先はもっときちんとしたリスクコミュニケーションが必要だとも言ったろう。今のアスベストもそうだけどね。


Aさんで、第4講が5月。バグダットは陥落してたけど、イラク問題は解決したわけでない、政治的には大きな敗北だと言ってました。あれから泥沼状況はさらにひどくなっています。センセイの予言はあてにならないことが多いけど、珍しく当たってました。
統一地方選挙と絡めてマニフェストの話をひとくさりしたあと、廃棄物用語としての「マニフェスト」の解説、そして静脈産業の健全化、明朗化、近代化が必要だと力説してましたっけねえ。

H教授その状況は基本的に今日も変わってないな。

Aさんここで初めてセンセイの体験談が出てきます。瀬戸内海のS港沖埋立問題の顛末、つまり環境行政はストップさせられなかったけど、それがなぜかというセンセイの解釈とともに、民意が首長を動かし、凍結に至った経緯を話してくれました。吉野川第十可動堰だとか神戸空港だとかちょうど全国的に反公共事業のうねりが激しかった頃の話です。

H教授そのなかで瀬戸内法とそれに基づく「埋立の基本方針」のことも言及しているから、きちんとおさらいしておくように。


Aさんへいへい。
第5講が6月、淀川水系流域委員会の話からはじまって、「落としどころ」を考えるのが昔の役人のやりかたで、それが見つかりそうにないときには先送りしたり、消極的権限争いを始めるというくだりを覚えています。“ああ、センセイはそうやって29年間凌いできたのか”って感じたことを思い出しました。

H教授そんなことより、本線の話は?

Aさん最初が川辺川ダムと止まらない公共事業の真相=深層の話でした。

H教授うん、この年の5月に高裁判決が出た。利水事業の計画には受益者の同意が2/3以上いるんだけど、その要件が満たされてないってことで無効の判決だ。その後の状況だけど、熊本県の収用委員会に出されていた漁業権の強制収用の申請を収用委員会の勧告に従って今月、ついに取り下げたそうだ。

Aさんじゃ、断念したんですか。

H教授いや、新たな利水計画を作って再度強制収用を申請する構えは崩していないみたいだ。コイズミさん、こういうところでこそリーダーシップを発揮してくれませんか。

Aさんそれから1月に施行された自然再生推進法と自然再生事業についてのセンセイのご荒説を拝聴しました。

H教授うん、4月1日に自然再生基本方針も閣議決定されたしねえ。

Aさんセンセイはミニ自然再生事業こそが必要だと言ってました。前講のミニミニアセスといい、ほんとうにセンセイは“ミニ”が好きなんですねえ。

H教授どういう意味だ!

Aさんいや別に。あとオオトリが環境教育法で、NGOの試案を論評。環境教育の科目を必須化し、専任の教師を置くという試案はいいけれど、もっと大事なことは学校という空間・時間の全体を環境教育の場にすることだと言ってました。もっとも7月に議員立法で成立した環境教育・環境保全活動推進法はNGO試案とは大きく異なり、環境教育の科目必須化、専任教員必置などというのはきれいに消えてました。

H教授第6講が読者の声特集と、ボクの体験したコーベ空港秘話。そのコーベ空港は来年2月開港だそうだ。


Aさん第7講の前半は水質環境基準、とりわけ生物多様性保全のための亜鉛環境基準設定について言及しています。

H教授中央環境審議会の専門委員会報告に対して産業界の委員が猛反発して先送りになっちゃった。結局、9月に審議会答申が出され、11月には公布されたけどね。

Aさんこのときのお便りは第8講で紹介済みですけど、すごいものが何通もありましたね。

H教授ただ、亜鉛の環境基準は決まったけど排水基準のほうは決まってないみたいだし、亜鉛以外の物質についても検討は進んでないみたいだ。そういう意味では産業界の抵抗は実を取ったといえるかもしれない。このときの論争では中西準子先生が亜鉛の環境基準に断固反対の論陣を張られたのが印象的だった。

Aさんで、後半が国立公園行政とレンジャー私史。とても役人とは思えないような昔のレンジャー時代をしきりに懐かしがってました。それを壊したのは自分だというのに。

H教授いよいよこの10月から地区自然保護事務所はなくなり、全国7箇所の地方環境事務所という地方支分部局が誕生する。これからのレンジャーはどうなるのかも見ものだねえ。
そうそう、読者から、なんとも微笑ましいお便りもいただいていた。


私は今高校3年生の受験生です。私の将来の夢は、小学校の頃から変わりません。「パークレンジャー」です!昔、テレビでアメリカの国立公園で働く女性レンジャーを見たのがキッカケです。確かに、私が想像していたよりも問題が盛りだくさん!のようですね…それに仕事内容も…でもそれらを知ったうえで、益々レンジャーへの思いが強くなりました!「大国立公園」、素晴らしいですね!私もそれを目指したいです。いや、実現させないといけないと思います。これからの日本,地球を考えると。ファイト〜!!!

H教授がんばってほしいねえ。

Aさん第8講ではニューヨークで発生した大停電から電力の問題を取り上げています【8】。それから読者のお便り特集の第2弾、それから議員立法で成立した環境教育・環境保全活動推進法を取り上げ、ラストで大気行政体験談となっています。

H教授大気行政では、現役当時に奮闘したNMHCを中心に回想した。実はこのNMHC、20年の歳月を経てようやくVOCとして大気汚染防止法で規制されることになったんだけど、そのあたりは10講、15講で取り上げている。その大気行政だけど、もう一つ取り組んだのがアスベスト。NHKがこのときのことを取材に来ている。

Aさん8講へのお便りでは、はるばるブータンからありましたね。「ブータンで、(任期はあと2ヶ月ほどになりましたが)、楽しみに読んでいます。環境行政の、普段見られない面が、見えて、とても役に立っています。そう奇麗事ではすまないが、できることもある、と」


H教授9講では沖縄旅行の雑感と亜鉛の環境基準の決着の話、それから環境基本法の見直しを開始したという話やRDF事故の話、それから淀川水系5ダムのその後みたいな話。メインが中環審の専門委員会報告で温暖化対策税(環境税、炭素税)の考え方が示されたので、それを紹介するとともに排出権取引のことにも若干触れた。

Aさんええ、センセイの経済音痴ぶりがよくわかりました。ところで環境基本法の見直しの話はどうなったんですか。

H教授うーん、調べてない。大臣もその後変わっちゃったからなあ。ま、今度また探ってみるよ。


Aさん環境税は23講、24講でも取り上げてますけど、依然として進展はないですねえ。

H教授経団連が反対の申し入れをしたって、つい先日の新聞に出てた。

Aさんリサイクル行政担当の市の職員の方から、
「エネルギー源としてすでに33%(東電2002)を占めている原子力発電について,じっくり特集したものを読みたいです。
温暖化対策税を考慮する上でも,33%を占める(2012年では48%の見込み)原発について十分検討する必要があると思います。核廃棄物,事故のリスクといった原発そもそもの問題もあると思いますが...」
というお便りがありました。18講でようやくリクエストに答えましたね。

H教授第10講ではボクが担当室長だった瀬戸内法がメイン。ちょうど法制定30年だったんだ。ほかにディーゼル排ガス、VOC規制、世界遺産の話にちょこっと触れた。
瀬戸内海については心に残るお便りが何通かあった。
「祖父に連れられて潮干狩りにいくと、前年には海があった場所に海がなくなり、だんだん遠くに行ったことを思い出し、なんとなく懐かしく記事を読ませていただきました。(中略)自然再生をいい形で機能させないといけない、と思いを新たにするところです。瀬戸内法も、瀬戸内室もなくなりもはや過去のものとなったかと思っておりましたが、そうか新たな意味をもち得るのだと認識を新たにいたしました。(中略)行政界の壁を越えられるのは市民の力と常々思いつつ(なんで休日や夜まで仕事せなあかんねんとは思いながらも)仕事をしております。「浜寺」の文字がなつかしく、メールさせていただきました」なんてね。

Aさんセンセイ、女性からの便りだけをしっかりマークしてません?

H教授そういうことを言ってるから「Aさん、もうちょっと師に敬意を払いなさい...最近度が過ぎてます」なんてお便りが来るんだ。
それから文末アンケートの設問で、「[Q3.今回の内容についてのご感想]に、「同感」という選択肢があるべきではないかと思う」というお便りもあった。これはすぐにご趣旨に沿った改善がされた。


Aさん11講、いよいよ師走になりました。お得意の忠臣蔵批判があって、京都議定書を批准するかどうかでやきもきさせたロシアの対応についての解説が導入でした。ロシアが批准し、京都議定書が発効するのにあれから1年強かかりましたね。
そのあとが3Rプロジェクトという環境省若手職員の動きに触れた後、得意の役人生態学。で、メインが浄化槽法20年にちなんで下水道浄化槽の話。センセイ、明らかに合併浄化槽贔屓でしたよね。

H教授下水道は金食い虫だからねえ。
3Rプロジェクトについては、
「環境省の若手職員の皆さんがこんなに厳しい労働環境にあるとは知りませんでした。他の省庁に比べて人員が少ないこともその理由の一つに挙げられると思いますが、まずは、国民が実態を知らされるべきで、マスメディアの報道も必要ですね」
という便りがあった。この3Rプロジェクトのその後についても追跡してみる必要があるね。
ほかにも、
「市役所下水道部職員です。今回市の生活排水処理計画を見直すということで、業界の知識人としての合併浄化槽と公共下水道に関する見解や意見がないかとネットを探しておりました。環境庁OBであり学識者として、役人ではない率直な意見が拝見出来、とても有用な資料となりました」
なんていうお便りもいただいた。

Aさんうーん、やっと11講か。今回が33講ですよね。これでようやく3分の1か。

H教授ちょっと疲れたな。あとは次講に回すか。

Aさんセンセイ、これであと2回はなんとか持つなあと思ったでしょう。

H教授(ギクッ)まあ、それはともかくとして、ヒット数の推移について、事務局の方で調べてもらったところ、下図のような状況らしい。大まかな傾向ながら、概ね月1〜2万件のヒット数があるとのことだった。くわしくは、図に付してある事務局コメントをご覧いただきたい。


2003年1月にスタートしたH教授の環境行政時評。連載開始当初から大きな反響を呼び、順調にアクセス件数を伸ばしていきました。人気が定着したのは同年4月の第3講の頃だったようです。同年10月からよく3月までのアクセスログが一部欠損していて未解析です。 その後、第16講・18講がなぜか人気を呼んだ模様。最近(29講など)また、微増傾向にあります。
平均してみると、概ね月1万〜2万件前後のアクセスで推移しているといえそうです。
前講(第32講)については、9月分のアクセスログが取りきれていないため結果が出ていませんが、その前、8月のアスベスト特集号(第31講)が、旬の話題ということもあってか、一気に倍増の3万8千件となっていました。
好評連載の中でも、やや人気が高かったと推察されるのは、 などでした。ご参考にしてください。

注釈

【1】「小さい政府」について
【2】
【3】愛知万博
愛知万博は、2005年9月25日に閉幕。会期中、内外から約2205万人の来場者があった(最終公式入場者数は、22,048,544人)。 愛・地球博の公式ページには、入場者数の推移を、毎日のカレンダー・天気と最高気温とともにグラフ化したものと、累積入場者数の推移グラフなどが公開されている。
【4】オオクチバスの記事
【5】EICのアンケート調査結果
2005年2月から3月にかけて、独立行政法人国立環境研究所が実施した「EICネット利用者アンケート」 問(5)EICネットでよく利用するページ の回答結果によると、国内ニュース(54.8%)、環境Q&A(44.6%)に次いで、H教授の環境行政時評を閲覧すると回答している利用者が32.3%にのぼった(複数回答3つまで)。以下、海外ニュース(29.0%)、EICピックアップ(23.7%)、環境用語集(21.0%)と続いた。
【6】淀川水系5ダム
淀川水系において事業中の5ダム(丹生ダム、大戸川ダム、天ヶ瀬ダム再開発、川上ダム、余野川ダム)についての方針
【7】安威川ダム
【8】ニューヨークの大停電(BLACKOUT2003)
2003年8月14日(日本時間15日早朝)の午後4時過ぎ、アメリカ北西部からカナダにかけて発生した大規模な停電(約6千万キロワット)。停電区域は、ニューヨーク、ペンシルベニア、バーモント、マサチューセッツ、ミシガンなど米国東部各州をはじめ、カナダのトロントやオタワなど広い地域にまたがった。
大都市では地下鉄や、エレベーター内に多数の人々が閉じ込められるなどの被害が出たが、その後ほとんど救助された。
停電が夕方の帰宅時間と重なったこともあって、通勤通学客の足が大混乱となり、アメリカ・カナダ両国で約5千万人に影響を与える史上最悪の広域災害となった。

平成17年9月25日執筆、同月末 編集了
★本講の見解はEICや環境省の公式見解とは一切関係ありません。