一般財団法人 環境イノベーション情報機構
自然環境保全に対する国際的な取り組み
自然環境(ローカルな環境問題)
自然環境保全に対する国際的な取り組み
特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)
1971年、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地、及び湿地に生息する野生生物の保護を目的に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)がイランのラムサールで採択された。我が国は、1980年に加盟し、タンチョウの主要な生息地、北海道・釧路湿原などを「ラムサール条約登録湿地」として登録を行い、保全を図っている。
平成11年5月に開催された第7回ラムサール条約締約国会議において、日本がアジア地域代表として常設委員会のメンバー国に選ばれた。また、沖縄県の漫湖が同条約に基づく日本での11番めの登録湿地となった。
登録湿地名 | 所在地 | 登録年月日 | 面積(ha) | 湿地のタイプ | 湿地の概要 |
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釧路湿原 | 北海道釧路市釧路町標茶町鶴居村 | S55.6.17 | 7,726 | 泥炭地、淡水湖、沼、河川 | 湿原の80%はヨシ・スゲ群落とハンノキ林によって特徴づけられる低層湿原が占める。またミズゴケが生育する高層湿原もわずかではあるが分布する。カモ類をはじめハクチョウ類の越冬地、渡りの中継地であり、タンチョウの主な繁殖地でもある。さらにシマフクロウ、オジロワシ、オオワシ等の大型鳥類なども生息する。 |
伊豆沼・内沼 | 宮城県若柳町築館町迫町 | S60.9.13 | 559 | 淡水湖沼、水田、湖沼岸の低湿地 | 水深1m、マコモ、ヨシ等の挺粋植物群落、ハス、ヒシ、ヒルムシロ等の水生植物が繁茂する淡水湖沼である。マガン、ヒシクイ、マガモ等有数のガンカモ類の越冬地であり、ハクチョウ等30種以上の野鳥が生息する。 |
クッチャロ湖 | 北海道浜頓別町 | H1.7.6 | 1,607 | 淡水湖、湖岸河川、流域の低湿地 | 周囲27km、海岸砂丘地で海と隔てたれたオホーツク海岸線最大の海跡湖である。寒地性の水生植物マリモが分布する。冬期、シベリアから南下するハクチョウ類、ガンカモ類の最初の渡来地である。特に、コハクチョウは日本で越冬するほとんどの数、約1万羽がこの湖を経由する。 |
ウトナイ湖 | 北海道苫小牧市 | H3.12.12 | 510 | 淡水湖、湖岸河川、流域の低湿地 | 周囲17kmの淡水・海跡湖である。湖岸水辺にヨシ、スゲ、マコモ、フトイ等の挺水植物群が分布し、湖岸を落葉針葉樹が占める。渡り鳥の我が国有数の中継地で、ハクチョウ類、ガンカモ類が数千羽飛来し、繁殖する鳥類は250種以上である。 |
霧多布湿原 | 北海道浜中町 | H5.6.10 | 2,504 | 泥炭地、汽水湖 | ミズゴケ泥炭地を基盤とする高層湿原と沼からなる。オオハクチョウ、ヒシクイ等ガンカモ、ハクチョウ類が多数渡来する。また、タンチョウの繁殖地も分布する。 |
厚岸湖・別寒辺牛湿原 | 北海道厚岸町 | H5.6.10 | 4,896 | 泥炭地、低湿地、河川 | 厚岸湖とそれに流入する別寒辺牛川周辺のヨシ・スゲを中心とする低層湿原である。ガンカモ、ハクチョウ類が渡来し、タンチョウの繁殖地も分布する。 |
谷津干潟 | 千葉県習志野市 | H5.6.10 | 40 | 泥質干潟 | 東京湾奥部に位置する干潟である。全国でも有数のシギ・チドリ類の渡来地である。 |
片野鴨池 | 石川県加賀市 | H5.6.10 | 10 | 池、低湿地、水田 | 池及び休耕田からなり、周辺は樹林帯である。マガン、ヒシクイ、マガモ、トモエガモ等のガンカモ類が渡来する。 |
琵琶湖 | 滋賀県大津市他20市町 | H5.6.10 | 65,602 | 淡水湖、低湿地 | 我が国最大の湖沼で、70種を越える水生植物が育生する。魚類はホンモロコ、ニゴロブナ等11種の固有種を含め53種が生息する。毎冬、コハクチョウ、ヒシクイ等4万羽を越える水鳥類が渡来する。 |
佐潟 | 新潟県新潟市巻町 | H8.3.23 | 76 | 淡水湖 | 砂丘の形成期に砂丘間の凹部にできた湖で、地下水の湧水によって維持されている。ハクチョウ類、オオヒシクイ等の多くのガンカモ類の有数な集団渡来地である。 |
漫湖 | 沖縄県那覇市・豊見城村 | H11.5.15 | 58 | 河口湖・河口干潟・マングローブ | 国場川と饒波川(のはがわ)の合流地点の河口湖で海からは3キロ上流の内陸にあり、干潮時には最大47haの泥質干潟がのぞく。メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、オヒルギなど約11haのマングローブ林が広がる。干潟の汽水域特有の魚やカニ、ゴカイなど豊富でシギ、チドリ類の重要な渡来地である。 |
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)
絶滅のおそれのある動植物の保護とこの動植物の国際取引を規制するための条約である。
1972年の国連人間環境会議の決議において、野生動植物の特定の種が過度の国際取引によって絶滅の危機に瀕しているとの認識が示され、これを受けて1973年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)がアメリカのワシントンで採択された。我が国は1980年に加盟した。
二国間渡り鳥等保護条約・協定
我が国には、500種以上の野生の鳥類が生息しているが、その3/4は渡り鳥である。
これらの鳥類の保護のためには、国際的に捕獲禁止などの措置を講じる必要があり、我が国は、米国・豪州・ロシア・中国との間でそれぞれ二国間の渡り鳥等保護条約・協定を締結している。
条約は、渡り鳥とその卵の捕獲、採取あるいは販売などをそれぞれの国の法令により規制することなどを内容としている。