新しい2017年が始まりました。去る2016年は、1996年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故から30年の節目の年でした。また5月1日は水俣病の公式確認から60年でもありました。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡る議論や、4月1日に始まった電力小売の完全自由化も大きな注目を集めました。東京都ではかつて環境大臣時代にクールビズを提唱した小池百合子知事が誕生、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた水素化社会の促進など環境面での取り組みが政策の柱の一つに掲げられています。
一方、米国ではバラク・オバマ大統領に代わる新たな大統領候補に指名されたドナルド・トランプ氏が、パリ協定やTPPから離脱を表明するなど自国主義を強め、今後の国際政治に与える影響に注目が集まっています。
今回は、そんな2016年を環境の視点から振り返る、「2016環境重大ニュース」としてお送りします。本稿が、環境問題の来し方行く末を考えるきっかけの一つになると幸いです。
なお、選定はEICネット環境ニュース編集部の独断によるものです。ご意見・ご感想などは、文末のアンケートフォームよりお待ちしています。
1)地球温暖化政策、一歩前へ 〜地球温暖化対策計画の決定、パリ協定の発効、日本の批准、COP22マラケシュ会議の成果
国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」のロゴマーク
5月13日、日本政府は地球温暖化対策計画を閣議決定した。2015年12月のCOP21で採択された地球温暖化対策の新枠組「パリ協定」及びそれに先立つ2015年7月に国連へ提出した「約束草案」を踏まえて、日本の地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するための計画だ。
中期目標として、2030年度までに2013年度比で26%削減を打ち出し、各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし、目標の達成に向けて、家庭や企業から出る二酸化炭素の4割削減など、目標達成への道筋をつけている。併せて、長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減をめざすことを位置付けた。同計画に基づいて、温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けて民生部門で4割削減を実現するため国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」の強化、国際協力の強化、地域における温暖化対策の促進を柱とする地球温暖化対策推進法の改正案が5月20日に成立、同27日に公布・施行された。
そのパリ協定は、11月4日に55カ国以上の批准と、排出量合計が世界の55%以上という発効要件が満たされ、採択からわずか10か月の短期間で発効された。米中の2大排出国が9月に批准、EUも加盟28か国の国内手続き完了を待たずに一括批准するなど、各国の政治的判断の結果といえる。
国別排出割合で世界第5位(3.7%)の日本はこの流れに乗り遅れ、11月8日になってようやく批准手続きを終えることになった。11月7日に開幕したモロッコのマラケシュのCOP22期間中に批准国が開催した「パリ協定第1回締約国会議(CMA1)」に間に合わず、非批准国として発言力のないオブザーバー参加となった。
会合の結果、「パリ協定」に実効性を持たせる詳細ルールを2018年までに決めることが合意された。各国の温室効果ガス削減目標の見直しについては2017年5月の作業部会で協議し、11月にドイツのボンで開かれるCOP23で報告することとなった。なお、パリ協定の締約国は、2016年11月18日の閉幕時点で111か国・地域となっている。
2)常態化してきた“異常気象” ──春の大寒波、夏の台風、冬にも大寒波
2016年末、札幌市で1メートル近い積雪があるなど、北海道では12月として50年ぶりの大雪に見舞われ、航空便の欠航や特急列車の運休など、交通混乱が生じた。遡ること約1か月、11月24日には東京都心でも上空に真冬並みの寒気が入り込んだ影響で、雪が舞った。都心における11月の積雪は、観測史上初のできごとだった。
思い起こすと、2016年初春にも大寒波が襲来。九州や山口で最低気温の更新が続いた。長崎市で観測史上最大の積雪が観測された他、奄美大島で115年ぶりの降雪を観測、また沖縄本島の名護市では観測史上初めて雪(みぞれ)が降った。エルニーニョ現象の影響で暖冬が予測された中、記録的な大寒波が日本列島を襲った。
夏には、台風の襲来も大きな話題を呼んだ。発生数自体は25個と平年並みだったが、第1号の発生が7月3日と遅く、6月の台風ゼロは1951年の統計開始以来2度目で、1998年の7月9日に次いで2番目に遅い発生となった。関東地方は渇水傾向が高まり、6月末の貯水率は例年の約半分の4割を切っていた。
ところが、7月以降は一転して、台風の相次ぐ上陸が列島を見舞った。上陸数は統計開始以降2番目に多い6個。しかもこれまでにない進路を取る台風が続いた。
7月3日に発生した台風1号は、中心付近の最大風速が60メートル、最大瞬間風速85メートルの猛烈な台風に発達。中心気圧が900hPaまで発達したのは観測史上初のことだった。
この年の日本上陸第1号となったのは、台風7号。8月17日未明から関東に接近し、関東甲信や東北地方に大雨や強風被害をもたらしたあと、北海道に上陸。本州などに上陸せず北海道に直接上陸した台風は23年ぶりとなった。
台風9号は、8月22日に11年ぶりに関東に上陸したあと、23日には北海道日高地方に再上陸し、甚大な被害をもたらした。
日本近海での迷走が注目された台風10号は、複雑な進路をとりながら南下、海面水温の高い海域で発達して、8月26日に北上に転じた際には中心気圧940hPaの大型で非常に強い台風となった。30日夜には岩手県大船渡市付近に上陸。東北地方の太平洋側からの台風上陸も観測史上初のことだった。
8月20日朝に日本の南東海上で発生した台風11号は、21日になって北海道の釧路市付近に上陸。北海道に上陸した台風が年間3件を数えたのも観測史上初のことだった。1週間内で立て続けに上陸し、各地で川の氾濫や橋の流失など大きな被害をもたらした。
9月20日未明に鹿児島県の大隅半島に上陸した台風16号は、昼過ぎに和歌山県に再上陸し、東海地方を東へ進み、各地で大雨による被害をもたらした。
世界平均気温も観測史上最高を記録するなど、世界各地で異常高温が頻発した。「観測史上初…」「観測史上最高…」などの報道が数多くなされ、近年の“異常気象”の発生は常態化しつつあるといえる。
3)頻発する自然災害 〜各地で大地震が発生
石垣が崩壊した熊本城を望む
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4月に2度の震度7の大揺れに見舞われた熊本地震(14日にM6.5の前震を記録した後、翌15日にM7.3の本震)をはじめ、10月の鳥取県中部地震(M6.6)、11月の福島県沖地震(M7.4)と、2016年は大きな地震が相次いだ。
熊本地震は、16日の本震以降も、熊本県阿蘇地方から大分県中西部にかけて最大震度6弱以上の地震が計7回発生。震度7を2回観測するのは気象庁の震度階級の制定以降初の事例となるとともに、M3.5以上の地震回数が内陸型地震としては1995年以降で最多を数えている。
10月8日未明には、阿蘇山中岳(標高1506メートル)の第1火口で爆発的噴火が発生。36年ぶりの噴火は、マグマ水蒸気爆発によると考えられている。噴煙は上空1万1000メートルに達し、大分、愛媛、香川の各県で降灰が確認された。熊本地震の影響によるマグマ溜りの膨張を指摘する説もある。
海外でも、2月の台湾南部地震(M6.6)、4月のエクアドル地震(M7.8)、8月及び10月末のイタリア南部地震(M6.2及びM6.6)、11月のニュージーランド南島地震(M7.8)など大きな地震が頻発した。
なお、水俣病の公式確認から60年の節目の年を迎えた2016年、熊本県水俣市では10月29日に犠牲者慰霊式が営まれ、患者や遺族ら約750名が献花をし、手を合わせた。当初は公式認定日の5月1日に予定されたが、熊本地震の影響により延期されての開催となった。
4)7年ぶりの開催となった環境大臣会合 〜G7伊勢志摩サミットに向けた環境保全政策の協調的推進のための政策対話の場として
5月26日〜27日の会期で、主要国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)が開催された。世間一般には、これに合わせた27日のオバマ米大統領の広島訪問の方が印象に強いかもしれない。現職の米大統領として初の広島訪問で、原爆慰霊碑に献花した際のスピーチは大きな注目を集めた。
環境重大ニュースとしては、これに先立つ5月15日(日)〜16日(月)に富山県富山市で開催された、G7+EU環境大臣会合を取り上げたい。
7年ぶりの開催となった環境大臣会合では、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、「資源効率性・3R」、「海のプラごみ対策」など7つの議題について議論。G7とEUの環境担当閣僚が一堂に会し、伊勢志摩サミットに向けて、国際的に関心の高まっている環境保全の政策をG7各国と協調して進めるための重要な政策対話の場となった。
海のプラごみ対策については、特に「マイクロプラスチック」と呼ばれる大きさが5ミリ以下のプラごみが海洋生態系に与える影響への懸念が示され、プラごみの回収行動の推進や処理資金の調達の仕組みづくり、生態系や健康への影響調査のための手法の検討などを議論、5つの優先事項を特定し、G7各国の取り組み状況を定期的に点検することに合意した。
また資源効率性については、開催地・富山の名前を冠した「富山物質循環フレームワーク」を共同声明の付属書として採択。食べ残しなど食品廃棄物の削減やがれきなど災害廃棄物の再利用促進などについて盛り込んだ。
5)国内33箇所目の国立公園、「やんばる国立公園」が誕生 〜「奄美・琉球」の世界自然遺産登録をめざし
9月15日に国内33箇所目の国立公園として、「やんばる国立公園」が新たに指定された。分割・再編や拡張でない国立公園の新規指定は平成26年3月の「慶良間諸島国立公園」(沖縄県)以来、約2年半ぶりとなった。
固有種のヤンバルクイナの生息地としても知られる沖縄島北部のやんばる(山原)地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、琉球列島の形成過程を反映して形成された島々の地史を背景にノグチゲラやヤンバルクイナをはじめとする多種多様な固有動植物および希少動植物が生息・生育するとともに、石灰岩の海食崖やカルスト地形、マングローブ林など多様な自然環境を有する。
指定の背景には、奄美・沖縄地域を世界自然遺産に登録しようという動きがある。やんばる地域の国立公園指定は、世界遺産の登録に向けた自然環境保全の制度を整えることもねらいのひとつだ。
もともと奄美・沖縄地域の島々は、固有種も多い独特の自然が残っている点で世界自然遺産に登録する価値のある地域として高い評価がされていたが、これまでは絶滅危惧種の生息地など重要地域の一部で十分な保護対策がとられていないことが課題だった。そのため、国立公園として指定することで、保護体制の強化につなげようというわけだ。
そうした中、沖縄県の西表島では今年の4月に国立公園の公園区域と公園計画が変更されてほぼ全域に国立公園が拡張され、また第34箇所目の国立公園指定をめざして、鹿児島県の奄美大島や徳之島を公園区域とする「奄美群島国立公園(仮称)」の指定手続きも進められているという。
やんばるを含む奄美・沖縄地域の自然的価値を大事にしながら、将来に向け保全していく使命を果たしつつ、価値ある自然を地域の中でどう活かし利用していくか。指定を機に、バランスを図った保全と利用の両立をめざしていくことになる。
6)廃食品の横流し発覚事件、食品廃棄物対策の強化へ 〜製造から流通に至る「食品ロス」の問題に注目が集まる
9月16日、中央環境審議会は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項の改定について」環境大臣に答申。1月に発覚した廃棄カツ等の不正転売事件を受けて、食品関連事業者(食品製造業者、食品卸売業者、食品小売業者及び外食事業者)が取り組むべき措置として、食品廃棄物をそのまま商品として販売することが困難となるよう適切な措置を講じることなどを盛り込んだ。
答申では、転売防止の取組のために、飼料化・肥料化など食品リサイクルの取組が阻害されないように、食品循環資源の再生利用の取組の促進と、食品廃棄物等の不適正な転売防止のための措置とを同時に達成すべきであること、また転売防止の観点でもすべての食品関連事業者が基本に立ち返って、排出事業者責任を重く再認識した上で、再生利用事業者等との信頼関係の強化等により、食品リサイクルの適確な実施の確保のための取組を徹底させることなどが重要としている。
今回の事件により消費者の信頼が揺らぐ事態となったことを受けて、喫緊の再発防止措置として、廃棄される食品の性状、荷姿、消費・賞味期間の長さ、発生量など、不適正な転売のリスクを考慮しつつ、食品関連事業者が、追加的に転売防止措置を検討し、実効的かつ継続的なかたちで、柔軟な措置を実施するよう、新たに指針として示すことを求めた。
きっかけとなった廃棄カツ問題では、食品製造業者等が産業廃棄物処理分業者に処分委託した食品廃棄物(廃棄カツ)が不適正に転売され、複数の事業者を介して、食品として流通していた。環境省では、3月14日に「食品廃棄物の不適正な転売事案の再発防止のための対応について」をまとめ、排出事業者に係る対策として食品廃棄物の転売防止対策の強化に取り組むこととし、これを受けて環境大臣及び農林水産大臣からそれぞれ中央環境審議会と食料・農業・農村政策審議会に諮問された。なお、本諮問と合わせて、電子マニフェストの機能強化や監視体制の強化などについても、廃棄物処理法の施行状況の点検・評価の中で議論されている。
11月25日には、年末12月24日までの期間で「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律関係省令の一部改正案」に対するパブリックコメントが実施され、今後、判断基準省令の改正及びガイドラインの策定について公表される見込みだ。
7)IPBES 初のアセスメントレポートを公表 〜生物多様性及び生態系サービスに関する政策提言をめざし
2016年2月に開催されたIPBESの第4回総会で、IPBES設立以来初のアセスメントレポートとなる「花粉媒介者、花粉媒介及び食料生産に関するテーマ別アセスメント」及び「生物多様性及び生態系サービスのシナリオとモデルの方法論に関するアセスメント」が承認され、世界中に向けて公表された。
IPBESは、生物多様性及び生態系サービスに関する世界中の研究成果を基に政策提言を行うため、2012年4月に設立された政府間組織。いわば、IPCCの生物多様性版といえる。
2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「愛知目標」の達成に向けて、生物多様性や生態系サービスの現状や変化を科学的に評価し、それを的確に政策に反映させていくことを目的にしている。活動の柱は、「科学的評価」、「能力養成」、「知見生成」、「政策立案支援」の4つの機能として、科学的な見地から効果的・効率的な取り組みをめざしている。2016年末現在の加盟国は126か国。
2つのアセスメントレポートは、ともに技術報告書と政策決定者向け要約(SPM: Summary for Policy Maker)の2つで構成されている。
花粉媒介の評価報告書では、SPMで花粉媒介者と花粉媒介の「価値」、「現状と傾向」「変化要因、リスクと機会、政策と管理手法オプション」として、22のキーメッセージを報告している。特に強調されているのは、世界の作物生産量の5〜8%が動物による花粉媒介に依存し、世界の年間市場価格にして2350〜5770億米ドルになるとし、花粉媒介の恩恵が低減するリスクに対応する政策及び管理オプションも提示されている。
一方、生物多様性及び生態系サービスのシナリオとモデルの方法論に関するアセスメントでは、SPMとして3つのハイレベルメッセージと、それをサポートする15のキーメッセージ、これらに関連するIPBESや科学コミュニティ等への12のガイダンスにより構成されている。
8)中南米を中心に世界中でジカ熱が流行 〜小児の小頭症の原因とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が断定
2月1日、中南米でのジカ熱の感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(Public Health Emergency of International Concern, PHEIC)宣言を発表。2014年に西アフリカで流行したエボラ出血熱以来の宣言だ。
蚊が媒介するジカ熱は、同じく蚊が媒介し、2015年に日本でも感染症例が確認されたデング熱と比べると感染しても全員が発症するわけではなく、8割は症状がないか、症状が軽いため気づかないという。ただ、妊婦の感染によって小頭症の子が生まれる恐れがあることや、目の病気との関連も懸念されている。
ジカ熱の被害が最も大きなブラジルでは、1年足らずの期間に報告された小頭症の新生児の数は4000に上る。4月には、アメリカの疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)が、中南米を中心に多発している先天的な小児の小頭症の原因が、妊娠時のジカ熱感染であると結論付けている。
ブラジルでは、この夏、オリンピック・パラリンピックが開催され、選手や観客を含む多くの渡航者訪問が感染拡大に影響することやエルニーニョ現象による蚊の生息数拡大によるさらなる流行も懸念された。
ジカ熱は、日本国内で流行したわけではないが、観光や仕事などで流行地に出かけた先で蚊に刺されて感染し、帰国してから発症する例もみられている。厚労省やメディアからは、対岸の火事ともいえないジカ熱のリスクについての警鐘が発せられた。
媒介蚊として確認されているのは、ネッタイシマカとヒトスジシマカ。このうち日本にも生息するヒトスジシマカは、沖縄から東北地方にかけて分布しているが、2010年の調査では青森県内の生息が初めて確認されるなど、地球温暖化の影響もあって、その分布域が徐々に北上していることが明らかになっている。
9)高病原性鳥インフルエンザの被害再び 〜H5亜型が日本を含むアジアとヨーロッパで流行
11月28日、家禽では2016年初となる鳥インフルエンザ患畜が青森県で確認され、12月1日に毒性の強いH5型の高病原性鳥インフルエンザであることが確認された。その後、12月末までに5道県の7農場で高病原性鳥インフルエンザが確認され、採卵鶏やアヒルなど合計100万羽を超す家禽が殺処分及び焼却処理がされた。発覚後の迅速な密閉撲滅作戦によって、国内まん延を阻止するための措置だ。
世界に目を転じると、H5型の高病原性鳥インフルエンザが家禽で発生したと報告されたのは、2014年の中国での事例が最初だった。2016年の発生件数は、H5N6型が5カ国50件(韓国25件,ベトナム8件,中国7件,日本8件,香港2件)、H5N8型については6月にロシアの野鳥から検出されて以降、11月頃から野鳥の渡りの経路に沿って、ヨーロッパを中心に20か国から発生の報告があった。
なお、国内における野鳥における鳥インフルエンザの発生状況では、鹿児島県出水市において11月14日に採取した環境試料(ねぐらの水)から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出(鹿児島大学からの報告)、さらに11月21日にも秋田県、鳥取県の事例について高病原性鳥インフルエンザウイルスの検出が報告されるなど、2017年1月4日20時現在までに16道府県で153件(飼育鳥類、糞便、水検体含む)が報告されている。
これらの報告を受けて、環境省では「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」に基づき、野鳥サーベイランスにおける全国の対応レベルが「対応レベル3(国内複数箇所発生時)」となったと発表している。
10)国民の祝日「山の日」がスタート 〜山と暮らしの関わりについて考えるきっかけに
「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第43号)」が2016年1月1日から施行され、「山に親しみ、山の恩恵に感謝する」日として、8月11日が「山の日」と定められた。16番目となる国民の祝日は、1996年に設けられた「海の日」以来、20年ぶりの新設となった。
環境省では、7月21日(木)から8月20日(土)の「自然に親しむ運動」期間中に、全国各地の国立公園において、「山の日」の制定を記念した行事を多数企画、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」機運の醸成をめざした。同期間は、“全国の自然公園、景勝地、休養地及び身近な自然地域において自然に親しむための行事を通じ、自然に対する理解を深め、自然環境の適正利用の普及を推進するとともに、自然を大切にする心を育む”ことを趣旨とするもの。このほか、全国各地でも、同期間中に多数の関連行事が開催された。読者の皆さんは、この新たな祝日をどう過ごされただろうか。
なお、2016年は各地でクマの出没が報道されたのも記憶に新しい。山の中でクマに遭遇してケガする人や、市街地をさまようクマの姿などが相次いで報道された。人工林や里山の荒廃などと併せて、ドングリなど山の木の実の豊凶に伴う個体数の増加とエサの不足のバランスが人の暮らしとの軋轢を生んでいる。クマだけでなく、ニホンジカやイノシシ、ニホンザルなど、中山間地における獣害は年々深刻化している。
「山の日」及び「自然に親しむ運動」の趣旨に沿って、ぜひ山に出かける機会を作るとともに、山と暮らしの関わりについて考えるきっかけにもしていただきたい。
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