一般財団法人 環境イノベーション情報機構
有害廃棄物の越境移動に対する取り組み
有害廃棄物の越境移動(グローバルな環境問題)
このような有害廃棄物の越境移動に対して、UNEP(国連環境計画)などでも検討を重ね、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(バーゼル条約)が採択された。
バーゼル条約では、有害廃棄物の越境移動およびその処分を適正に管理することにより環境汚染防止を目指している。
日本においても、バーゼル条約に加入するとともに、その国内対応法である「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」を制定している。
有害廃棄物の越境移動を防止するための主な取り組み等の経緯
1982年 | セベソ事件 | |
---|---|---|
1984年 | OECD域内における有害廃棄物の越境移動の管理に関する決定・勧告 | OECD |
1984年 | 有害廃棄物の越境移動を管理するための指令(セベソ指令)採択 | EC |
1986年 | OECD域外への有害廃棄物の輸出に関する決定・勧告 | OECD |
1987年 | 有害廃棄物の環境保全上適正な管理に関するガイドライン決定 | UNEP |
1988年 | 有害廃棄物のアフリカへの持ち込み禁止を決議 | OAU |
1991年 | バマコ条約採択 | OAU |
1992年 | バーゼル条約発効 | UNEP |
OAU:アフリカ統一機構
バーゼル条約の趣旨
上記のような経緯を経て、1989年にUNEPを中心として有害廃棄物の輸出に際しての事前許可制、また、不適正な輸出や処分行為が行われた場合の再輸入の義務等を規定した「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(バーゼル条約)が採択され、1992年5月に発効した。
バーゼル条約の趣旨をまとめると次のようになる。
有害な廃棄物は発生国において処分することを原則とする
やむを得ず越境移動を行う場合は以下に示す条約の規定に沿って適正に行う
- 有害廃棄物などの越境移動が認められる条件を定め、これにそぐわない越境移動を禁止する
- 輸出国は輸入国及び通過国への事前通告を行い、相手の同意のない越境移動を禁止する
- 越境移動の開始から処分終了まで責任ある管理を行い、越境移動及び処分が環境上良好に行われることを確保する
- 越境移動が契約通り終了しなかった場合は輸出国が回収するなどの措置をとる
以上に反した場合には罰則などの措置を講じる
その後の経緯と日本の対応
- 1993年9月
- バーゼル条約加入
- 1993年12月
- 「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」施行
- 1994年12月
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正により、廃棄物の輸出の場合の確認、輸入の場合の許可等、廃棄物の輸出入について規制
- 1995年9月
- 第3回バーゼル条約締約国会議において、リサイクル目的を含めて有害物のOECD、EC加盟国及びリヒテンシュタインからそれ以外の国への輸出を全面的に禁止(1998年より)するとの条約改正決議
- 1998年2月
- 第4回バーゼル条約締約国会議において、同条約の規制対象及び規制対象外の廃棄物リストを新たに付属書として採択
- 1998年11月
- バーゼル法の規制対象物となる「特定有害廃棄物等」に該当する定める告示を改正