野生生物種の減少に対する取り組み
野生生物種の減少(グローバルな環境問題)
国際的な取り組み
生物の多様性に関する条約
生物多様性条約は、世界の生物の保全を目的とした基本法的な条約で、1992年の地球サミットで158カ国が署名し、1993年12月に発効した。
生態系、種、遺伝子の三つのレベルで生物の多様性を保全するために、自然の生息地における保護地域設定などの取り組みを第一に位置付け、これを補完する措置として生息地以外での飼育繁殖、遺伝子保存などの取り組みが必要と規定している。
また、生物の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生じた利益の適正配分、技術移転、途上国への資金援助なども規定している。
生物多様性条約の中には"生物多様性国家戦略"の策定に関する規定があり、日本でも関係省庁連絡会議を設置し、広く国民からも意見を聴取するなどして「生物多様性国家戦略」を1995年10月に地球環境保全関係閣僚会議において正式決定した。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)
経済的な価値のある動植物が商取引の対象となる場合に乱獲につながるという点に着目して、野生生物の国際取引を規制し、その保護を図ろうとした条約である。1975年に発効した。
特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)
水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地を保全することを目的とした条約であり、各締約国がその領域内にある国際的に重要な湿地を指定し、保護することを定めている。1975年に発効した。
国及び地方公共団体の取り組み
生物多様性国家戦略
平成7年10月に定められた生物多様性国家戦略は、私たちの子孫の代になっても、生物多様性の恵みを受けることができるように、基本方針と今後どのような国が施策を行うか(施策の方向)を定めたものである。またこの国家戦略を受けて、わが国の生物多様性の保全を積極的に推進し、世界の生物多様性の保全に貢献するための中核的拠点として生物多様性センターを設立した。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
野生生物の保護のため、乱獲の防止、生息・生育地の保護、保護増殖事業の実施、調査研究の実施等について定めている。
自然環境保全法
「自然環境保全基礎調査」(緑の国勢調査)の実施、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、都道府県自然環境保全地域の指定等について定めている。
鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律
狩猟免許、猟期、猟法、鳥獣保護区などによる捕獲の制限と保護・管理、鳥獣保護区特別保護地区の指定、鳥獣保護事業の実施等について定めている。
自然公園法
国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の指定等について定めている。