一般財団法人環境イノベーション情報機構
EUとスイス、排出量取引制度のリンク、始動目指し手続完了
【地球環境 国際環境協力】 【掲載日】2019.12.25 【情報源】EU/2019.12.09 発表
欧州委員会は、EUとスイスが各々の排出量取引制度(ETS)をリンクさせる手続を完了したと報告した。2011年に交渉が開始されたリンク協定は、2017年末の署名後、スイスのETSでは対象外であった航空部門を含める等相互の制度のすり合わせや基準の詳細を詰める作業が続いていた。2020年1月1日から実施され、以後、EUとスイスは、それぞれの制度内で生じた排出を相殺するために相手国の制度の排出枠を利用できる。国家規模のものとしては、初のリンク協定となる。リンクにより炭素市場は拡大し排出削減機会が増加する。制度の費用効果と流動性の向上により、負担の適正化、遵守コストの低減が実現し異なる国々の炭素価格が近似していくため、炭素リーケージ(規制の緩い他国に生産拠点などのCO2排出源を移転すること)のリスクが軽減する。総じて排出削減が効率的に進む。この方向性は、今後発表される気候・環境取組みと持続可能な経済を目指す新たな欧州気候変動対策の「欧州グリーンディール」と一致する。【欧州委員会】