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H教授の環境行政時評環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。

No.090

Issued: 2010.07.12

第90講 中締めの季 ―― お礼とお願い

目次
やめるという誤解
引っ越し先での期待
カットと辛口コメント
最後に

Aさんセンセイ、鳩山サンが辞任し、菅サンがソーリになりました。
で、それに伴って、温暖化対策基本法が廃案に、環境影響評価法改正も継続審議になってしまい【1】、すべては7月11日の参院選後になってしまいました。センセイ、これをどう思われますか。だって…。

H教授今度の参院選については…(口を挟もうとする)。

Aさん(口を挟ませず)この政治空白の間に、いろんなことが次々に起きています。
生物多様性条約COP10の準備会合では、ポスト2010の定量目標【2】が何ひとつ決まらなかったし、ABSについても米国と途上国の溝は埋まらず、早くも赤信号が…。

H教授おいおい(また口を挟もうとする)。

Aさん(口を挟ませず)一方、IWC総会でも議長提案は宙に浮いたまま一年間の冷却期間を置くと言うことで何一つ進展は見られませんでした【3】。そしてメキシコ湾の原油流出事故【4】では依然として原油の流出が続いています。なんでも三井物産系の石油開発会社が権益を共有しているとかで、補償を求められるという話もあります。直接環境問題には関係しないけど、大相撲は野球賭博問題で大変なことになっていますし、ワールドカップでは…。

H教授いい加減にしろ!(かんしゃくを起こす)

Aさんど、どうしたんですか、大人気ない大声を出して(キョージュを睨む)。

H教授今講は普通の時評じゃないんだ。そういう話は次回から一個一個やっていけばいい。今日は引越しの挨拶と読者へのお礼をすると言っただろう。

Aさんあ、そうか。今回は第90講、EICネットでの最終講なんですね。次講からは大学のホームページに引っ越すんだった。

H教授うん、移行措置として、今回はEICネットと大学ホームページの両方に載せてもらうことになっている。いわば競作だな。

Aさん読者の皆さん、引越し先はこちら→ 新・新 Hキョージュの環境行政時評 です。ぜひ「お気に入り」に登録しておいてくださいね。
それから今までの時評はEICネットのライブラリに保管しておいてくれるそうですから、第90講まではこれまでどおり、EICネットで読めるそうです。

H教授引越し先でも体裁はできるだけ今までのものと同じようにするということで、すでにイラスト一式を譲り受けている。

Aさんその編集はどうするんですか。今まではEIC編集部にやってもらっていたんでしょう?

H教授内容は従来どおり畏友S兄にチェックしてもらうし、体裁その他はキミがやるに決まってるじゃないか。

Aさんアタシにそんな難しいことができるわけがありません(きっぱり)。だからゼミ生のBチャンに頼んでおきました。

やめるという誤解

H教授やれやれ。
ところで、「やめないでください」というお便りを随分いただいた。

Aさん引越しするだけですのにね。あ、そうか。第89講のタイトルが誤解の原因だ。『EICネット最終講宣言』ですもんね。

H教授うん、いくつか紹介しよう。

なんでやめるんですか!本時評掲載は大変有意義な税金の使い方だと思います。
公平性は反論コーナーを設けて担保すれば良いと思います。(後略)

このコラムがあったからEICネットにアクセスしていた、といっても過言ではありません。終わってしまうのはとても残念です。近視眼的でない、市民感覚目線での環境論として、とても参考になるものでした。

普段はバラバラの記事で見聞きするニュースなどを、繋げながら話を展開して頂けるので、それぞれの繋がりが分かるし、関連するニュースを同時に吸収できるので楽しく拝読させて頂いています。引き続きご執筆して下されば幸いです。20代学生

数年前までよく愛読していたものです。その後多忙に任せて、ご無沙汰してしまいましたが、久しぶりに読まさせてもらうと、「やめる」と出ているではないですか!やめるの絶対反対!ぜひ続けてください。

最終講と見て、改めてゆっくり読みました。裏話と言うか通常のニュースだけでは分らない面や、物事の流れが分って貴重な話だったなと思っています。終わりとなると寂しい気がします。

毎月更新を楽しみにしていました。環境関係の情報源の中では裏情報が入ると共に、教授とAさんの掛け合いが清涼剤として堅苦しい話題の中の楽しみでした。どうか移動しないでEICネットに残れるよう願っています。
阪神電鉄のファン向けホームページ「まにあっく阪神」も今年3/31と4/1のエイプリールフールで閉鎖となりネットワークの楽しみが無くなっていくのは寂しいです。

Aさんあ、センセイ。眼に涙が(と言いつつ、自分の目からも光るものが)。

H教授違う、違う。埃が目に入っただけだ。いや、黄砂かな(慌てて誤魔化す)。
それにしても7年半も続けてこられたのも読者の暖かいご支援のおかげだな。改めて御礼申し上げます。それと引越しするだけですので、次講からもぜひお読みいただけるようお願いします。

Aさんぜひ 新・新 Hキョージュの環境行政時評 を「お気に入り」に登録してくださいね。
あ、こういう方もいらっしゃいます↓。今後はEICネットも引っ越し先も見ないそうですよ。

EICネットでまず見るのは先生の講座です。引っ越しされたらEICネット自体見なくなると思います。当たり障りのない話など聞きたくありませんし、かといって言いたい放題のブログじゃあ読む気になりません。EICネットという制限の中で突破口を開こうという先生の話が良かったのではないかと思うのですが(チェックもかかりますし)。健康上などの問題がなければ、EICネットのためにも、先生自身のためにも再考をお願い申し上げます。

H教授そうおっしゃらずに、独断と偏見が行き過ぎないようちゃんといままでどおりチェックも入りますし、ブログでなく大学ホームページですから、ぜひ引き続きご覧になってください。
それからEICネットには貴重な情報が満載されていますから、これからもご愛読くださるようお願いします。

Aさんあーあ、でもとうとうこの時評、本にしようというオファーがなかったですね。印税を婚活経費に充てようと思っていたのに。アタシもぼちぼち20代後半だからなあ…。

H教授また、年齢詐称か。
出版に関しては、恩師でもあるI先生のような方の論考でも自費出版しなければいけなかった状況だから仕方がないだろう。でもI先生のホームページによると、ようやくこのほど出版先が決まったようだ【5】

Aさんセンセイ、鳩山サンが辞任し、菅サンがソーリになりました。
で、それに伴って、温暖化対策基本法が廃案に、環境影響評価法改正も継続審議になってしまい【1】、すべては7月11日の参院選後になってしまいました。センセイ、これをどう思われますか。だって…。

H教授今度の参院選については…(口を挟もうとする)。

Aさん(口を挟ませず)この政治空白の間に、いろんなことが次々に起きています。
生物多様性条約COP10の準備会合では、ポスト2010の定量目標【2】が何ひとつ決まらなかったし、ABSについても米国と途上国の溝は埋まらず、早くも赤信号が…。

H教授おいおい(また口を挟もうとする)。

Aさん(口を挟ませず)一方、IWC総会でも議長提案は宙に浮いたまま一年間の冷却期間を置くと言うことで何一つ進展は見られませんでした【3】。そしてメキシコ湾の原油流出事故【4】では依然として原油の流出が続いています。なんでも三井物産系の石油開発会社が権益を共有しているとかで、補償を求められるという話もあります。直接環境問題には関係しないけど、大相撲は野球賭博問題で大変なことになっていますし、ワールドカップでは…。

H教授いい加減にしろ!(かんしゃくを起こす)

Aさんど、どうしたんですか、大人気ない大声を出して(キョージュを睨む)。

H教授今講は普通の時評じゃないんだ。そういう話は次回から一個一個やっていけばいい。今日は引越しの挨拶と読者へのお礼をすると言っただろう。

Aさんあ、そうか。今回は第90講、EICネットでの最終講なんですね。次講からは大学のホームページに引っ越すんだった。

H教授うん、移行措置として、今回はEICネットと大学ホームページの両方に載せてもらうことになっている。いわば競作だな。

Aさん読者の皆さん、引越し先はこちら→ 新・新 Hキョージュの環境行政時評 です。ぜひ「お気に入り」に登録しておいてくださいね。
それから今までの時評はEICネットのライブラリに保管しておいてくれるそうですから、第90講まではこれまでどおり、EICネットで読めるそうです。

H教授引越し先でも体裁はできるだけ今までのものと同じようにするということで、すでにイラスト一式を譲り受けている。

Aさんその編集はどうするんですか。今まではEIC編集部にやってもらっていたんでしょう?

H教授内容は従来どおり畏友S兄にチェックしてもらうし、体裁その他はキミがやるに決まってるじゃないか。

Aさんアタシにそんな難しいことができるわけがありません(きっぱり)。だからゼミ生のBチャンに頼んでおきました。

引っ越し先での期待

Aさん引越したあとも期待するというお便りもありました。

突然の報告に驚愕しました。そういえば最近は短くなっているなあと思っていましたが、そんな事情だったんですね。毎回楽しみにしていただけに、非常に残念です。
環境行政にまつわる当事者ならではの苦労と尽力。そんな行政のプロセスがわかる裏話は、ここでしか読めない貴重な存在だと思います。どういう形であるにせよ、ぜひ継続してくださることを願っています。

毎号、楽しませていただきました。引越し先をはやく決めて、継続をお願いします。

初めまして。小生は、教授とほぼ同世代の元サラリーマンです。毎回興味深く拝読させていただいております。環境問題は、WIN-WINで、八方収まるような生易しいものではなく、まさに「政治主導」でなければ、何も進むはずのない問題だと思います。強力な推進力を背景にして、その上で行政の在り方が論議されるべきだと思います。残念ながらまだその強力な推進力の形成が不十分な現状にあっては、そういうパワーポリティクス情勢を含めての論議なしには的確な現状認識、問題の把握ができません。
環境問題は、国際問題であることも考え合わせると、なおさらにそういう性格が強いと思います。本コラムは、これまで、諸般の情勢を絡めて問題点を位置づけ、紐解いて下さっていて、小生のような一般人にとって、問題の本質を知り、あるいは考えるための手がかりとして重宝なものです。撤退というのは残念ですが、引っ越し先で、またAさんに会えることを願っております。


カットと辛口コメント

AさんカットについてはEICネット環境Q&Aの掲示板に批判的な書き込みがありました。
でももちろんそればかりじゃなくて、カットが当然、あるいは仕方がないという辛口のご意見もありました。↓は第88講へのご意見です。

題名が「環境行政時評」、公表場所が筆者の所有物(場所)ではないことなどから、一定の見直しは当然と認識。例えば、新党乱立、関西3空港、高速料金、事業仕分け、日本型経営などは、題材自体が「環境時評」の守備範囲を逸脱していると思われ、見直し(削除)は妥当と理解。また、普天間については前半が「環境時評」の趣旨から逸脱。後半のみ掲載するのは流れが悪く、結果として全体の削除は致し方ないものと認識。(後略)

H教授現役の国家公務員の方だな。

Aさんえ? どうしてわかるんですか。

H教授はは、役人のメモはこういう文体なんだ。

Aさんもうひとつ、こういうのもいただいています(↓)。

私のような自治体職員から見て、良くも悪くもソフトと言うか甘いというかそういった切り口なので、鋭さに欠ける点は少し残念な気がします。今まで幾人かお話させていただいた旧環境庁の方はかなり鋭い切り口で志の高い方が多かったので、少し違和感を覚えていました。環境政策は政治そのものなのでそういった言及には全く違和感はないのですが、編集部より削除された部分は切り口が甘すぎるからそうなってしまったように思います。
排出権取引とかカーボンオフセットみたいなペーパー商法というか投機ファンドの餌食になりそうなテーマに対してもっと根源的な提案を期待していたのですがそれも叶えられませんでした。(後略)

H教授うーん、切り口が甘いか…。

Aさん志も環境庁OBの中では低いそうですよ。だから大学では「歩くセクハラ」と言われるんですね。

H教授キ、キミまで…(激しく落ち込む)。


最後に

Aさんそう落ち込まないで下さい。先ほどご紹介したようなファンもいっぱいいるんだから、人の見方はさまざまだということでしょう。
ペーパー商法、投機ファンド云々については確かにグローバルになればなるほど胡散臭くなることは事実ですよね。センセイお勧めの『排出権商人』(黒木亮著、講談社)を読んで、ますますそう思うようになりました。

H教授でも排出権取引CDMは国内で自治体が関与して行うもの【6】だったら結構効果があると思うけどな。
同じ第88講では↓のようなご意見も貰っている。

(前略)GHGについては誰にでも分かり易い解説でした。落ちも笑えます。CO2排出枠の討論については、森林植栽によるカーボンオフセットの域内であればいいのですが(その為の資金集めの仕組みですから)、キャップ&トレードを多面的に(欺瞞性も含めて)論じても良かったのではないでしょうか。世界的には、その本質はエネルギー問題であり、金融資本社会の仕組みを継続させる為のインセンティブ創造手法のように感じています。(後略)

H教授いずれにせよこういうご意見(↓)もいただいているから、もう少し引っ越し先でがんばることにするよ。

(前略)この時評は一見ふざけているようで、実は永く環境行政に関わってきた体験・実感に基づく指摘・提案ばかりで、大新聞からは得られようもない見識だと思います。(後略)

(前略)最近、掲載のページ数が少なくなり、先生の辛口批評も見られなくなったと感じていました。先生のズバズバと切り込む批評がとても痛快で楽しみでした。公共性を求められるのでしたら、お引越しをして、自由に発言されたほうが良いと思っています。私もそちらのほうへ閲覧しに行きますので、どうか今まで通り、ズバズバおっしゃってください。

Aさんそうですよ。まだ70、80は働き盛りです。老骨に鞭打って、とりあえず引っ越し先で100講までを目指しましょう。

H教授「ナ、ナナジュウ、ハチジュウは働き盛り」だって? ボクはもっと若いぞ!

Aさんアタシから見れば、似たようなものです。

H教授は、ハナタレ小娘が。

Aさんええハナタレ小娘ですよ(なぜか嬉しそう)。

H教授…最後にEICネットにもお礼を言ってっておこう。言いたい放題の原稿をよく7年半も延々と載せてくれたものだと感謝している。ありがとうございました。

H教授Aさんじゃ、読者のみなさん。またお会いしましょう。必ず「お気に入り」に登録しておいてくださいね。


注釈

【1】温暖化対策基本法や環境影響評価法改正
第87講(その1)「難産の末、温暖化対策基本法案まとまる」
第85講(その2)「SEAの法制化に舵を切る?」
【2】生物多様性条約とポスト2010目標
第86講(その1)「「ポスト2010年目標」に向けて」
【3】IWC総会
第86講(その3)「クロマグロ、そしてクジラ」
【4】メキシコ湾の原油流出事故
第89講(その2)「温暖化アラカルト」
【5】I先生の論考集出版
ヒト,人,社会,環境そして文明
【6】国内排出権取引や国内CDM
第51講(その4)「低炭素社会に向けて ──拡大排出権取引」
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(平成22年7月1日執筆、同年7月7日編集了)

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