一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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No.085

Issued: 2019.01.09

環境省の高橋康夫地球環境審議官に聞く、2019年の地球温暖化対策を中心とした環境行政の基本方針

高橋 康夫(たかはし やすお)さん

実施日時:平成31年2月20日(水)16:00〜
ゲスト:高橋 康夫(たかはし やすお)さん
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

  • 1983年環境庁入庁。水環境問題や地球温暖化問題に携わる。
  • 新潟県庁やパリのOECD(経済協力開発機構)日本政府代表部での勤務も経験。
  • 東日本大震災以降は、復興行政にも尽力。
  • 水・大気環境局長を経て、2017年7月より現職。
目次
環境をテコに“生活の質を向上する「新たな成長」”をめざす
先進国-途上国の2分論に陥ることなく、パリ協定の精神に則ったルールが合意できた
G20サミットやG20環境大臣会合が日本で初めて開催される2019年は、ますます日本のイニシアティブが問われることになる
あらゆる関連分野に適応をしっかりと組み込み、位置づけることが大変重要
普及啓発の分野でも新しいアイデアが出てきている
今やはり社会全体が非常に大きな転換期を迎えている
これからの10年間の取り組みが将来の地球環境を左右するという認識が広がってきている

環境をテコに“生活の質を向上する「新たな成長」”をめざす

大塚理事長(以下、大塚)― 本日は、環境省地球環境審議官 高橋康夫さんにおでましいただきました。
環境省は多くの課題を抱え、その解決に向けて日々尽力され、国民から期待を寄せられているところと承知しております。本日は、それらの課題の中で、誰もが解決を期待する地球温暖化対策を中心にお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
さっそくですが、具体的なテーマに入らせていただく前に、環境省としてこの1年を見据えてどのような視点を重視して環境行政を進めていかれようとしているか、お話いただけますでしょうか。

高橋さん― 2019年度の大きな方向性ということでございますけれども、2019年度の環境省の重点施策というものがございます。環境をテコに“生活の質を向上する「新たな成長」”というのがキャッチフレーズです。このもとになっているのが、昨年の4月に閣議決定された第5次環境基本計画です。その中で、今現在わが国は環境だけでなく経済・社会にかかわるさまざまな課題・危機に直面をしていると書いてございます。また、国際的にもSDGsの採択やパリ協定の発効を受け、脱炭素社会に向けた時代の大きな転換点が到来しています。
これらを踏まえて、この基本計画の中で新たな文明社会を目指して、それに向けて大きく考え方を転換する―パラダイムシフトという言葉を使っていますけれども―、そういうことが打ち出されております。その具体的な社会の姿として、「地域循環共生圏」というものを新たに掲げ、その実現を目指していくことになります。こうした大きな方向性・流れが、まずあるということでございます。
また、もう一つ大きなこととして、今年G20が初めてわが国で開催され、環境大臣も初めてG20の枠組みのもとで集まるということでございます。その意味で、国内の取り組みを強化するだけではなく、世界に発信をしていくことが重要ですし、また海外とのパートナーシップをさらに強化する意味でも非常に重要な年になると思っております。

我が国が抱える環境・経済・社会の課題(第5次環境基本計画より抜粋)(環境省提供)
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先進国-途上国の2分論に陥ることなく、パリ協定の精神に則ったルールが合意できた

大塚― 今お話しいただきましたように、第5次環境基本計画をベースにしたパラダイムシフトという、非常に前向きなお話をいただきました。環境が一つの突破口になって、まさに日本人の生活の質の向上をめざすということだと思います。
昨年12月にポーランドのカトヴィツェでCOP24が開かれましたので、その話からお聞きしたいと思います。高橋審議官もご出席されたと伺っておりますので、2020年のパリ協定の実施に向けた詳細なルール作りなど、大事なことが合意された今回の会議がどのように進行したのかなど、お話しいただきたいと思います。

高橋さん― ポーランドのカトヴィツェで開かれましたCOP24でございますが、政府代表の原田環境大臣とともに私も出席いたしました。今回は、3年前のCOP21で合意されたパリ協定の実施ルールを決めるという非常に重要な節目の会議でございました。
会議自体は、2週間にわたって開催されました。第1週は、事務レベルでの協議が非常に多くのテーマについて行われました。そこで残された論点を中心に、第2週は閣僚レベルも加わって精力的な協議が行われました。
原田大臣は第2週の火曜日の午前中に現地入りされましたが、着いた直後から、「タラノア対話【1】」などにも出席いただきましたし、ハイレベルセッションでのステートメントなど公式のセッションもございました。それに加えて、米・中・EUをはじめとする主要国や国際機関との一対一の会談を確か25ぐらいしていただきました。
協議は、第2週の金曜日の夕刻に終了するのが当初のスケジュールでしたが、結果的には1日半伸びまして、土曜日の深夜にやっと終わったということでございます。その意味でかなり時間はかかりましたけれども、何とか当初の目的であったパリ協定の実施ルール―「ルールブック」と言っておりますけれども―を無事まとめることができました。

COP24で議長と握手する原田環境大臣(環境省提供)

大臣も帰国されてからも強調されておりますように、いわゆる先進国-途上国を区別する2分論に陥ることなく、パリ協定のもともとの基本的な哲学である「すべての国が取り組んでいく」という精神に則ったルールが合意できたことが最も重要な点だと思っております。
それから、わが国はジャパンパビリオンを設け、政府だけでなく自治体とか産業界の方々の実施するさまざまなサイドイベントがなされ、大臣にいくつか出席いただきました。
そうした非常に密なスケジュールを精力的にこなしていただき、主要国との協議の中で交渉の進展に貢献する働きかけもしていただきましたし、わが国の気候変動対策への取り組みについても積極的に海外に発信していただきました。

大塚― たくさんの内容を駆け足でお話しいただいたと思います。ところで、わが国の取組としてどのようなことを紹介されたのでしょうか。

高橋さん― 大臣が特に強調された一つは、わが国が2017年度までの最近4年間連続して温室効果ガスの排出量を削減できていることです。もう一つは、国立環境研究所に大変関係するのですが、昨年10月にGOSAT-2号【2】の打ち上げに成功したことで、この成果を活用し、世界の温室効果ガスの排出インベントリの透明性の向上に貢献することを強くアピールされました。

大塚― また、二国間会議などの一対一の会議が25ほどされたとのことですが、どのような進展があったのでしょうか。

高橋さん― そうですね。先進国も途上国も、各国で交渉においてこだわっているポイントが違ってまいります。大臣は、今回のCOPで実施ルールをまとめることを大変重要視されていましたので、各国のスタンスに応じて日本の考え方を申し上げるとともに、閣僚レベルではお互いに柔軟性を発揮して対応していきましょうとお話していただきました。


G20サミットやG20環境大臣会合が日本で初めて開催される2019年は、ますます日本のイニシアティブが問われることになる

大塚― 今年はG20などもあり、日本が世界の中でどういう立場をとるかが非常に重要になると思われます。カトヴィツェで積極的なアピールをされたと伺い大変心強く感じますが、6月に大阪で開かれるG20、その前には軽井沢で開かれる「地球環境に関する関係閣僚会合」等々に向け、どのようにお考えでしょうか。

高橋さん― 今お話のあったG20ですけれども、日本で開催されるのは初めてですし、G20の枠組みのもとで環境大臣が集まるのも初めてのことです。今回、「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する閣僚会議」ということで、実際には環境大臣とエネルギー担当大臣の合同会合になりますが、環境省として大変重要な会議として取り組んでいるところでございます。
この会合では、最初に私が申し上げた重点事項とも関連しますけれども、「環境対策がイノベーションを生み、新たな成長につながる」という、環境対策が負担ではなく、これからの新しい成長につながっていくことをキーメッセージとして打ち出したいと考えております。
環境大臣が関与する具体的なテーマとしては、大きく3つございます。1つ目は「エネルギー転換と地球環境保全がもたらすイノベーション」、2つ目が「資源効率性と海洋プラスチックごみ」―今世界的に話題になっている海洋プラスチックごみですね―、そして3つ目が「生態系を基盤とするアプローチを含む適応と強靭なインフラ」です。
いわゆる温暖化対策は、適応・緩和【3】の両側面を含めると、1番目と3番目の2つの議題に大きく関係してきます。気候変動に関連して、今政府の中では安倍総理の主導の下で長期戦略が検討されておりますけれども、それらも踏まえ、まさに環境と経済の好循環を促していくというポジティブなメッセージを共有していきたいと考えております。また、海洋プラスチックごみ問題も地球規模の課題ですから、G20の場で途上国も含め実効性ある戦略を策定すべく、日本としてイニシアティブを発揮したいと思いますし、加えて、これまでアジア太平洋地域の3R推進に取り組んできた実績を活かして、廃棄物の適正管理を通し世界の海洋プラスチック対策推進に貢献したいと思います。

大塚― 昨年の10月には、IPCCが1.5℃特別報告書を発表しました。今まではどちらかというと、温暖化といえば温暖化のことだけに取り組んできたのが、今高橋さんからご説明いただいたように、むしろ人間の生き方とかパラダイムシフトが必要になってきていますよね。

高橋さん― 社会の転換を目指して、技術、社会・経済全体のイノベーションが必要になると思います。

大塚― 期待しております。

2019年度 環境省重点施策 概要より抜粋(環境省提供)
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2019年度 環境省重点施策 概要より抜粋(環境省提供)
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あらゆる関連分野に適応をしっかりと組み込み、位置づけることが大変重要

大塚― 先ほども少し触れていただきましたが、気候変動に対する適応(アダプテーション)がこれから日本でも問われてまいります。環境省では国民に対してどのようなメッセージを出していかれるのか、お話しいただけますでしょうか。

高橋さん― 適応につきましては、まさに昨年の夏、異常気象による非常に深刻な被害がわが国においてもございました。世界中で起こっていて、わが国においても関心が高まってきていると思いますし、ある意味では危機感もかなり高まってきていると思います。そうした中、昨年、気候変動適応法という適応に特化した新しい法律ができたのは、非常にタイムリーだと思っています。
適応の問題をどうやって国民に浸透させていくかは非常に大きな課題で、環境省としては現時点で大きく3つの点が重要と思っております。
1つには、適応はあらゆる分野に関係していることです。防災はもちろん、農林水産業、自然生態系、健康も含めた都市生活など、非常に幅広い分野に関連しますから、あらゆる関連分野に適応をしっかりと組み込み、位置づけることが大変重要です。当然、環境省だけでなく、関係省庁すべてがそういう意識を持って取り組んでいただかなければいけないということです。
現に、例をあげれば、農水省で高温に強い農作物の品種改良をしていますし、国交省でも治水の問題など危機感をもって取り組んでおられます。
今回、この法律の施行に伴い、環境大臣を議長とする「気候変動適応推進会議」という関係省庁が参加する会議が設置されました。そうした場を通じて、関係省庁が連携を強化し、政策の推進を図っていくことがまず大事だと思っております。
2点目は、やはり地域の実情に応じた取り組みが必要な点です。気候変動の影響の現れ方は地域によって非常に多様ですので、各地方自治体において、地域の実情に応じた取り組みを進めていただくことが大変重要です。地域によってはまだ取り組んだ経験があまりないというところもあると思いますが、環境省としては計画策定のマニュアルを作って配布することも含めて、全国の自治体がそれぞれの計画によって取り組んでいただくための仕組みをつくり、しっかり支援していかなければいけないと考えています。
3点目は、やはり科学的な知見に基づいていかなければいけないということです。わが国の研究機関の英知を結集して、気候変動に適応するための情報基盤を整備していかなければいけません。そのためには、国立環境研究所の中に設置した気候変動適応センターの役割は大変重要でございますし、そのセンターが運用する気候変動適応情報プラットフォームを通じて、将来予測も含めた情報を整備して、関係者や地域、産業界などにわかりやすく提供していく、そんな取り組みをしっかりやっていただきます。環境省としても、しっかりと連携して、支援していきたいと思っております。


普及啓発の分野でも新しいアイデアが出てきている

大塚― 一般国民が環境対策を進める上での司令塔は環境省の重要な役割と思います。
例えば、国民運動「COOL CHOICE(賢い選択)」などの取り組みをさらに推進していく上で、環境省の立場から、もっと皆さんに進めていただきたいことについて、お話しいただきたいと思います。

高橋さん― 家庭部門の取り組みが非常に重要なことは以前から指摘をされてきています。直近の目標である「2030年度に26%削減」という地球温暖化対策計画の目標達成に向けて、家庭部門では基準年である2013年度に比べて二酸化炭素排出量の約40%削減という非常に高い目標を掲げております。それをどうやって実現していくかは、環境省としても非常に重要な課題になっております。そのため、今おっしゃられた「COOL CHOICE(賢い選択)」をはじめとする、いわゆる普及啓発活動をさらに展開していかなければいけません。
こうした取り組みが人の行動を変えることに結び付くか、私たちもいろいろと考えさまざまな新しいアイデアも検討しています。例えば、環境省で最近取り組んでいるのは、2017年にノーベル経済学賞を受賞された、行動科学者のリチャード・セイラー教授らが提唱している「ナッジ理論」です。最新のIT技術なども活用して、パーソナライズされた(個々人に適した)情報を発信して、個人の自発的な行動変容を促すというものです。このような新しい普及啓発策も含めて取り組んでいきたいと思っております。

大塚― 日本でも、例えば禁煙はある時期からかなり進みましたし、LED照明なども一気に普及したような事例もあったと思います。

高橋さん― そうですね。まさに経済の好循環につながるようなことも含めて、かなり大胆なことをやっていかないと、この40%削減という目標は容易には達成できないと思っております。
それから、普及啓発だけではなく、実際の支援策についても必要なものを進めていかなければなりません。特に今重点的に取り組んでいるのは住宅に関係することで、省エネ性能の高い住宅の新築・リフォームの支援に積極的に取り組んでおります。

今やはり社会全体が非常に大きな転換期を迎えている

大塚― ハード面とソフト面の両方のことをお考えいただいているのだろうと思います。最初にお話しいただいた環境省の大きな方針や国際的な目標であるSDGsなどでも、狭義の環境にとどまらない取り組みが求められていると思います。

高橋さん― 最初に申し上げたことと関連しますが、今やはり社会全体が非常に大きな転換期を迎えています。わが国でも「平成」から新たな年号に変わるわけですが、環境の視点から見ても、IoTやAIなどのデジタル技術の進歩によって大きな変化が生まれてきています。例えば、社会システムそのものが大規模集約型から分散型になってくるとか、経済も量より質へ、また「モノからコトへ」と言われるように、“物の消費”から“シェア”へと価値観の変化も見られています。
その一方で、特に人口減少・少子高齢化や地域経済の活性化など、また新興国が台頭してくる中で日本としての経済成長をどう確保していくかなど、環境問題に加えて非常に大きな課題をわが国も多数抱えています。その中で、昨今の異常気象にみられるように、環境問題についても気候変動の悪影響が顕在化し、待ったなしの状況になってきているわけです。
そうした流れの中で、国際的にはSDGsやパリ協定という大きな国際的な合意が2015年になされて、非常にダイナミックな動きが出てきています。
ですから、キーワードは「同時解決」です。脱炭素社会やSDGsへの取り組みを進め、いろいろな課題を同時に解決して、持続可能な経済社会にトランジション(移行)していくことです。そこでまた新たな成長にもつなげていく。大雑把な言い方ですけれども、そういう方向性が、日本だけではなく国際的にも共有されてきていると思います。日本としては、独自のアイデアとして「地域循環共生圏」を第5次環境基本計画で打ち出しています。
「地域循環共生圏」についてはいろいろな説明の仕方がありますけれども、都市と農村・漁村などさまざまな地域がそれぞれの資源を活用した分散型の社会を作り、お互いに共生して、あるいは交流していくことで、新しいバリューチェーンを生み出す、そんな社会の姿です。例えば、再生可能エネルギーである、バイオマスや水力などを核にして、その資源を活用して、持続可能なビジネス、地域づくりを具体化していきます。環境の取り組みによって地域を元気にするものです。こうした動きがどんどん日本の各所で出てきておりますので、この動きを盛り上げ、つなげ、全国にまた世界にも広げていき、結果的に脱炭素社会を実現し、またSDGsの実現につなげていこうということです。こうした大きな考え方・方向性を打ち出し、SDGs都市を目指すような動きを支援していきたいと思っております。


これからの10年間の取り組みが将来の地球環境を左右するという認識が広がってきている

大塚― 最後になりますが、EICネットは多くの方々にご覧いただいていますので、高橋さんからパーソナルメッセージをいただけますでしょうか。

高橋さん― 少し繰り返しになるかもしれませんが、昨年末のCOP24から、今年は6月にG20の日本開催、9月には国連で気候変動サミットが開催され、脱炭素社会に向けた国際的な動きが、今年も大きく盛り上がっていくと思っています。そうした中で、G20に象徴されるように、日本がイニシアティブを発揮する絶好の機会でもあると考えております。
脱炭素社会の実現には、もちろん政府もしっかり取り組まなければいけませんが、プレイヤーである企業や自治体をはじめとした皆様方の先進的で積極的な取り組みが不可欠です。政府の役割も、皆様方の活動を支援して、取り組みのしやすい環境や仕組みを作っていくことだと思っております。
さまざまな国際会議に出席しておりますと、インフラ整備も含めてこれからの10年間の取り組みが将来の地球環境を左右するという認識が広がってきていることを感じます。ある意味、危機感を持った取り組みが必要です。ぜひ皆様といっしょに取り組んでいきたいと思っておりますので、今年も何卒よろしくお願いいたします。

大塚― 本日は、重要な年の始まりにあたり、環境省の意気込みをお話しいただきました。どうもありがとうございました。


環境省地球環境審議官の高橋康夫さん(左)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(右)


注釈

【1】タラノア対話(Taranoa dialogue)
2020年からの気候変動に関する新たな枠組みである「パリ協定」に向けて、各国に温室効果ガス削減目標の上積みを促す対話プロセスで、2017年のCOP23で合意され2018年のCOP24までの1年間に実施された。重要な成果としては、温室効果ガスの削減に関する世界全体の努力の進捗状況を検討するため、現状の温室効果ガス排出量の確認、および2020年以降の各国・各地域での排出削減目標の検証、削減方法の検討などを協議し、情報を共有することがあげられる。
なお、タラノアとはCOP23の議長国のフィジーの言葉で、「透明性・包摂性・調和」を意味する。
【2】GOSAT-2号
GOSAT-2号(いぶき2号)は、環境省、宇宙航空研究開発機構、国立環境研究所の3機関による共同プロジェクトで、2018年10月29日に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星。2009年に打上げた「いぶき」(GOSAT)の後継機。
参考:
温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)
人工衛星プロジェクト 「いぶき2号」(GOSAT-2)(宇宙航空研究開発機構)
【3】緩和・適応
地球温暖化防止に向けた対策は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を削減して地球温暖化の進行を食い止め、大気中の温室効果ガス濃度を安定させる「緩和策」と、気候の変動やそれに伴う気温・海水面の上昇などに対して人や社会、経済のシステムを調節することで影響を軽減しようという「適応策」とに分類することができるとされる。
「緩和策」とは、いわば時間はかかるものの根本的な解決に向けた対策を行うもので、例えばエネルギーの効率的利用や省エネ、CO2の回収・蓄積、吸収源の増加などの対策が実際に行われている。一方の「適応策」は対処療法的な取り組みで、その具体例としては、沿岸防護のための堤防や防波堤の構築、水利用の高効率化、土壌の栄養素の改善、伝染病の予防などがあげられる。
そのどちらもが必要不可欠と位置付けられ、IPCC第5次評価報告書などにおいても、互いに補完し合うことで気候変動によるリスクの低減に寄与すると、バランスのとれた対策の必要性が説かれている。
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