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環境ニュース[国内]

第23次南極海鯨類捕獲調査船団(平成21年度) 入港

自然環境 野生動植物】 【掲載日】2010.04.13 【情報源】水産庁/2010.04.12 発表

 水産庁では、平成21年度の南極鯨類捕獲調査を終えて帰還した調査船団の入港について発表。入港は、4月上中旬にかけて、東京港に調査母船「日新丸」(8,044トン)、山口県下関港に目視採集船「勇新丸」(720トン)、「第二勇新丸」(747トン)、東京港に目視専門船(妨害予防船)「第二昭南丸」(712トン)、下関港に「第三勇新丸」(742トン)。
 同調査は平成21年11月19日から各調査船が順次出港、南緯60度以南の南氷洋(東経130度以東、西経145度以西)を調査海域として、捕獲頭数は、クロミンククジラ506頭及びナガスクジラ1頭だった。この他、目視調査において多く発見された鯨類は、クロミンククジラ(986群2,242頭)、ザトウクジラ(603群1,187頭)、ナガスクジラ(56群189頭)。
 捕獲調査によって明らかになったことは、クロミンククジラはナンキョクオキアミを主な餌としているが、今年度の調査では、水深の浅い海域でコオリオキアミやコオリイワシを捕食していた個体が多く見られた。クロミンククジラの海域による食性の違いを解明する上で、重要な情報を得ることができた。
 クロミンククジラは調査海区によって性成熟組成に違いが見られ、性成熟している雄が多い海区や、性成熟している妊娠雌が多い海区があった。
 採集されたすべての鯨から、鯨の年齢査定に必要な耳垢栓や、栄養状態・健康状態の判定に必要な脂皮厚、寄生虫の寄生状態など、数多くのデータや標本が得られた。これらの調査記録、データ及び採集標本は、今後、様々な分野の研究担当者に引き渡されて分析及び解析が行われ、鯨類資源に関する研究が進展することが期待される。研究成果については、国際捕鯨委員会や各分野の学会などで公表される予定。
 また、目視調査等では、クロミンククジラは水深500m以浅の南極大陸近くの沿岸浅海域で発見された一方で、ザトウクジラは水深500m以浅では発見されなかった。目視調査により発見されたクロミンククジラとザトウクジラの発見分布は、重なる水域もあったが、調査海域内では両者は水深により棲み分けをしていたことが明らかとなった。
 ザトウクジラは過去の調査結果と同様に、今回の調査でも改めて資源の順調な回復ぶりを示した。今後はザトウクジラとクロミンククジラとの間の餌の競合関係や分布の変化について調査していくことで、近年の鯨類の資源動態の変動メカニズムを明らかにできるとしている。
 なお、今回の調査においても、反捕鯨団体シー・シェパードによる妨害・追航により、31日間にわたり捕獲調査を中断せざるを得なかった。【水産庁】

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