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環境ニュース[海外]

IPCC CO2回収・貯蔵に関する新しい報告書を公表

地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2005.10.06 【情報源】国連/2005.09.26 発表

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による新しい報告書「CO2の回収及び貯蔵に関するIPCC特別報告書」が公表され、発電所や工場等からのCO2の回収・貯蔵は、気候変動対策として主要な役割を演じるという結論が出された。CO2回収・貯蔵(CCS)技術は、今後100年間で、30%以上も安い費用で気候変動を緩和する可能性を持ち、現在から2100年までに削減が必要とされる全てのCO2排出量の15〜55%(2200億〜2兆2000億トン)を削減できるという。
 CO2の回収・貯蔵技術の中には、CO2回収や地層への注入など、成熟段階にあるものも多い。アルジェリア、カナダ、ノルウェー沖合いの北海の3カ所では、既にCCSプロジェクトが実施されている。他方、海洋でのCO2貯蔵・固定化については、まだ研究段階にある。
 ただし、CCSの可能性は、政府がCO2排出コストを負担させるような政策をとることができるか など技術以外の要因によっても左右される。現在の発電コストは1kWh当たり0.04〜0.06ドル(4.4〜6.6円)だが、CCS技術を導入すると、1kWh当たり0.01〜0.05ドル(1.1〜5.5円)価格が高くなる。発電所からの排出削減を目的としたCCSが機能するためには、CO2削減コストが、CO2 1トン当たり25〜30ドル(約2800〜3300円)となる必要がある。
 また、CCSを実施するためにもエネルギーが要るため、導入によって化石燃料の使用量が増える可能性もある。CO2を回収する発電所では、通常の発電所よりも10〜40%多くのエネルギーが必要になる。さらに、地層中で貯蔵可能な容量は十分と見られるが、正確な容量は不確実である。
 CCSは排出量取引京都メカニズムにおいて重要な役割を演じるが、排出削減量の計算には、さらに、手法の開発が必要とされる。市民の理解を得るためには、健康、安全性、環境及び法的な問題への対応も必要となる。
 UNEPのテプファー事務局長は、最も重要な気候変動対策は、依然として、エネルギー効率化とクリーン・エネルギーの推進だが、今回の報告書は、CCSが、これらの取組みを補完することができる点を実証した とコメントしている。【UNEP】

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