一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国 企業環境行為評価の色分けで企業の運命が定まる
【環境行政 法令/条例/条約】 【掲載日】2007.05.24 【情報源】中国/2006.02.09 発表
先日、国家環境保護総局は「企業環境行為評価事業の一層の推進に関する意見」と「企業環境行為評価技術指南」を公布した。今年から、各省市区は一部地区を選んで企業環境行為評価実証事業に加わらせ、企業環境情報をもとに、企業を総合評価して緑、青、黄、赤、黒でランク付けする。近年、中国の工業汚染対策は大きく進展し、環境汚染の悪化の傾向は食い止めることができた。しかし企業の排出基準超過は依然として散見され、汚染による紛争や事件も多くなり、企業環境管理は重要項目となってきた。このため環保総局は企業環境行為評価事業を積極的に進め、一定の手順と指標に基づいて、5段階に色分けして公表する。「意見」では、企業環境行為評価の実施手順として、準備、評価、公開、持続的実施の4段階があるとし、評価作業は環境モニタリング、監察、統計、汚染規制の各分野にわたる。評価対象企業の汚染物排出総量の総和は、現地の工業汚染排出総量の8割以上を占めるようにする。
中国では2000年から、江蘇省鎮江市や内蒙古自治区フフホト市の環境保護局が世界銀行と共同で「工業企業環境行為情報公開化研究」を進めた。2003年には環保総局は世界銀行と協力して、江蘇、浙江、安徽、重慶、内蒙古、広西、甘粛で企業環境行為評価実証事業を開始した。これは東中西部地区を網羅し、企業の環境コンプライアンス、汚染対策強化の促進に大きな役割を果たした。
江蘇省は現在、全省で企業環境行為情報公開化を実施している省の第一号である。環境行為評価に参加する企業は年々増え、すでに鎮江実証地区の数十社から8000社以上に増えた。情報公開の範囲も、工業企業だけでなく、ホテル、レストラン、病院のサービス産業にまで広がり、「先を争って先進性を追求し、上流をつかむ」という雰囲気が作られ、多くの企業に自律、自警の効果が見られた。
安徽省銅陵市は、中部地区工鉱業資源型都市として企業環境情報公開化実証事業に加わった。2003年10月と2005年3月にはそれぞれ2002年と2004年の工業企業環境信用ランクを公表した。同市産業界への衝撃は大きく、この評価ランクは企業の名誉だけでなく企業の生存にまで影響するとされた。銅化公司グループの2002年評価対象企業のうち4社が黒と赤にランク付けされ、社長は自ら幹部を連れて環境保護局に赴き、改善案を報告して、2000万元を投じて環境改善を進め、2004年には黒色ランクの企業がなくなった。金口嶺銅鉱はその環境信用ランクが赤だったために市の先進企業認定を取り消された。多くの企業が詳細な審査制度を定め、環境信用ランクを年間審査と結びつけ、経済的賞罰を実施して、黄色ランク以下の企業には自動的に先進企業審査資格を取り消すようになった。
「意見」では、各地方環境保護局に、企業環境行為評価の推進に有利な政策措置の模索、制定を求めている。2年連続緑色ランクの企業には、優先的に環境資金プロジェクト、クリーン生産実証事業、循環経済実証事業を割り当て、上場や再融資の申請の際には環境検査を免除する。赤・黒色ランク企業には、期限内改善を命令し、2年連続黒色ランクの企業には、生産停止させて改善を求め、それでも改善要求に満たなければ閉鎖措置を取る。江蘇省の規定では、緑色ランクの企業は優先的に先進企業認定申請ができ、連続3年以上同省環境保護関連の優遇政策を適用される。
また企業環境行為評価結果は国土、工商、銀行、証券監督部門にも通知され、あらゆる分野で賞罰を強化している。高ランク企業は、銀行融資申請、株式上場申請、環境マーク製品認証、エネルギー効率表示認証の面で優先的に考慮され、市場で評価されて経済的利益を高めるようなり、また赤・黒色ランクの企業は、グリーン消費者から不買運動され、市場から冷遇されるようになる。
企業環境行為評価はさらに行政にまで拡大し、2002年の江蘇省企業環境行為情報公開の上に、張家港、東台、江陰、通州では郷鎮政府環境行為情報公開実証事業を行い、国の環境方針や法律法規に基づいて、鎮政府の環境行為を規範化し、鎮政府環境行為情報公開化指標体系を定めた。そこには環境組織、環境質、環境管理、実質的事業、生態系保護、環境投資、環境制度、環境汚染事故、環境教育広報、政府諮問情報の10項目がある。すでに江蘇省郷鎮政府情報公開はすでに本格実施の段階に入っている。【中国環境報】