一般財団法人環境イノベーション情報機構
酸性雨による湖や河川の被害が半減
【地球環境 酸性雨】 【掲載日】2005.12.06 【情報源】イギリス/2005.11.15 発表
イギリスで、酸性雨の影響で汚染されていた高原の湖や河川が回復傾向にあることが分かった。これは、ロンドン大学(UCL)が、汚染度の高い河川及び湖沼22カ所を対象に、1988年から15年間行ってきた調査の結果によるもの。この結果によると、政府の排出規制及び石炭に代わる天然ガスの使用などのおかげで、水域における酸性の硫黄分の量はこの15年で半減し、魚類、植物、昆虫などが戻ってきたという。酸性雨の主な原因は、SO2、NOx、及び農業で使われるアンモニアの排出であるが、1970年以降、SO2の排出量は84%減り、NOx排出量は37%減っている。
酸性雨は野生動物に大きな打撃を与え、イングランド南部ではハシリヒキガエルの産卵場所が消え、ウェールズでは、河川のサケやマスが激減していた。しかし、調査場所の半数で、藻類や無脊椎動物が回復の兆しを見せ、酸性に弱いコケや水生植物が、15年間の調査で、今回初めて発見された。また、一番汚染のひどかった3か所で、モニタリング開始以降、初めてブラウン・トラウトが見られた。
ベン・ブラッドショー大臣は、この調査結果を歓迎し、今後も、大規模燃焼施設指令の実施などにより、さらに状況が改善されるだろうという期待を示した。【イギリス環境・食糧・地方省】