一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州委員会 航空部門からの温室効果ガス排出量を削減する戦略を提案
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2005.10.06 【情報源】EU/2005.09.27 発表
欧州委員会は、9月27日、航空部門からの温室効果ガス排出量を削減する戦略を示す協議文書(欧州議会及び閣僚理事会向け)を採択した。航空機は、温室効果ガスの重要な排出源の一つとなっており、排出量は増加している。例えば、オランダのアムステルダムとタイのリゾート、プーケット島間のフライト(往復)で発生するCO2排出量は、平均的な新車が1年間に排出するCO2の量をかなり上回る。また、EUでは、国際便からの排出量が、1990年から2003年にかけて73%も増加しており、何も対策が講じられない場合、2012年までに150%増加すると予測されている。
協議文書の中で、欧州委員会は、航空部門からの排出削減に取り組むための最も確実な方法は、航空事業者をEUの温室効果ガス排出量取引スキームに参加させることだとしている。これは、排出量取引以外の方法、例えば航空券や出発時に課される税または排出賦課金よりも、環境面または費用対効果の面で優れていたためである。EUの排出量取引スキームでは、温室効果ガス排出量全体に上限を設け、その中で、事業者は必要に応じて排出枠を売買できる。これにより、航空業界にとって排出を最小化する永続的なインセンティブが生まれる。
欧州委員会は、EUを出発する全ての航空機からの排出を対象とすべきで、目的地がEU域内か第三国かは問わないとしている。また、EU域内の航空会社でも、域外の航空会社でも同じように扱われる。
なお、航空券の価格への影響は、モデルでの試算によれば、往復フライト1回あたり、00〜9ユーロ(0〜約1200円)の上昇に留まる。
欧州委員会は、今後、欧州議会及び閣僚理事会から協議文書への反応を聴取するとともに、「欧州気候変動プログラム」に基づいて、EU加盟国及び関係者からなる専門のワーキンググループを立ち上げ、2006年には報告を求める。その後、排出量取引スキームの改定案を提出する予定である。一連のプロセスは、2006年半ばに行われる、排出量取引の全面的な見直しと調整しつつ進められる。【欧州委員会環境総局】