一般財団法人環境イノベーション情報機構
エコチャレンジャー 環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

No.066

Issued: 2017.06.20

第66回 国立環境研究所客員研究員の小野雅司さんに聞く、熱中症の原因、予防法や対処法

小野 雅司(おの まさじ)さん

実施日時:平成29年5月24日(水)14:00〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎
ゲスト:小野 雅司(おの まさじ)さん

  • 1978年3月 東京大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了(保健学博士)。
  • 1978年4月 国立公害研究所(現・国立研究開発法人国立環境研究所)入所。研究員・主任研究員・室長。
  • 2010年4月〜 子供の健康と環境に関する全国調査「エコチル調査」にフェローとして従事。
  • 2016年4月〜 環境研究総合推進費プログラムオフィサー。専門は、疫学(特に、環境疫学)。主たる研究として、大気汚染による健康影響、地球温暖化による健康影響(熱中症)、紫外線暴露による健康影響。
  • 委員等では、環境保健サーベイランス・局地的大気汚染に関する委員会委員、夏季イベントにおける熱中症対策等検討会(委員長)、オゾン層保護に関する検討会(環境影響分科会・座長)などを歴任。
目次
命にかかわるような重症の場合だけでなく、暑さによって生じるさまざまな障害に対処することとなり、熱中症と呼ばれるようになった
暑くなる前の時期に、身体にきつく感じるくらいの運動を繰り返し行うのが効果的
熱中症の患者数・死亡数のデータには3種類がある
湿度が高いことは温度が高いのと並んで熱中症のリスクを高める
搬送数の違いは、湿度の違いに見事に関係していた
熱中症だけでなく紫外線の健康影響なども、情報に積極的にアクセスし、利用していただきたい

命にかかわるような重症の場合だけでなく、暑さによって生じるさまざまな障害に対処することとなり、熱中症と呼ばれるようになった

大塚理事長(以下、大塚)― 今回は、国立環境研究所で長年にわたり、熱中症などの環境の健康影響に取り組んでこられた小野雅司さんをお招きいたしました。今年は日本列島の多くの地域が4月から真夏日に見舞われ、5月半ばには1週間で約1000人もの人が熱中症の疑いで救急搬送されるなど、熱中症のリスクが今まで以上に高まっているように感じます。本日は、熱中症に焦点をあて、その原因、予防法や対処法など、幅広い角度からお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、初歩的なことをお伺いします。熱中症という言葉ですが、今のように日常会話でも頻繁に使われるのは比較的最近のような気がします。一方で、かつては日射病や熱射病という言葉を耳にする機会も多かったと思いますが、いかがでしょうか。

小野さん― ご指摘のように、以前大きな問題だったのは、工場などの高温の作業環境で起きる熱射病、あるいは強烈な直射日光を直接浴びることで引き起こされる日射病でした。熱射病と日射病という言葉が使われることは減りましたが、まったく消えたわけではなく、たとえば人口動態統計【1】の疾病分類では現在も使われています。
熱射病も日射病も、重症のケースがほとんどです。それに対して、20年ほど前から、命にかかわるような重症の場合だけでなく、暑さによって生じるさまざまな障害に対処することとなり、熱中症と呼ばれるようになったのです。

3つの用語の特徴
定義・特徴原因
熱中症身体(深部体温)の温度上昇に伴う熱バランスの崩れ、体内の水分・塩分濃度のバランスの崩れによる身体の不調適応しにくい自然あるいは人工的な温熱環境条件、および過度なストレスなどに起因する身体の状態
熱射病重度の熱中症を意味する診断名同上(特に温熱環境条件)
日射病直射日光を原因とする熱中症の診断名高レベルの直射日光への暴露

大塚― 熱中症が広い意味合いをもつことは分かりましたが、最近になって熱中症にかかる人が増えたのは確かなのでしょうか。その理由も含めて、小野さんはどのように捉えておられますか。

小野さん―  熱中症にかかった人数の長期にわたるデータはないのですが、増えているのは間違いないでしょう。その理由として、我々の行動パターンを含む広い意味でのライフスタイルの変化があると思います。熱中症の増加に、地球温暖化やヒートアイランド現象の進行による影響も当然考えられますが、関連する内容が多岐にわたりすぎますので、今日はこの点には触れずに話を進めたいと思います。
今頃の季節になると、気象予報士がテレビなどで、「身体がまだ暑さに慣れていないので注意が必要です」とよく言いますが、「暑さに慣れる」とは、春先から本格的な夏になる前に、戸外に出て暑さに徐々に慣れることを意味します。以前に比べ、戸外に出ることを極端に避ける方など、暑さに慣れにくい行動をとる方が増えたように感じています。

大塚― 日本にははっきりした四季があり、そのおかげで素晴らしい自然を楽しむこともできるわけですが、熱中症に関しては問題があるのですね。

小野さん― そのように思います。春先に少し暑くなりますよね。今年は暑くなるのが早いようで、もうその時期を過ぎたかのかもしれませんが、この時期に、戸外で積極的に活動するなど暑さに慣れておくことが大切です。この効果については、生理学などの研究で確認されています。

暑くなる前の時期に、身体にきつく感じるくらいの運動を繰り返し行うのが効果的

大塚― 暑さに慣れることについて、もう少しお話しただけますか。

小野さん― 広く認められている効果的な方法は、暑くなる前の時期に、身体にきつく感じるくらいの運動を繰り返し行うことです。ほとんど負荷を感じないような軽いものだと効果があまりないようです。継続する期間ですが、若い方ならば1週間も続ければ相当な効果があるようです。一方、高齢者では1ヶ月くらい必要といわれています。

大塚― 暑さに慣れるということは、体温調節に関係しているのですか。

小野さん― そうです。暑さに対する体温調節として最も重要なのは発汗です。冬から春先には汗をかくような機会はほとんどありませんから、汗腺が眠っているような状態なのです。そのような時に運動をすることで、汗腺の機能を呼び起こすのです。

大塚― 一方で、最初に指摘されたライフスタイルの変化には多くのことがあると思いますが、生理学的な機能とどのように関係しているのでしょうか。

小野さん― 私たちのライフスタイルには、さまざまなことが関係しています。たとえば、私たちが多くの時間を過ごす家屋の構造もずいぶん変わってきました。かつては自然通風というのでしょうか、外気温に応じて寒くなったり暑くなったりするのが普通だったと思います。それに対して、現在の家屋では部屋の温度が制御されていることが多く、自分で意識していないと、暑さや寒さを体感しにくくなっているのです。

大塚― 快適な暮らしの裏返しという側面があるのですね。

小野さん― そう言えると思います。極端に言えば、家屋内の温熱環境を100パーセント制御してしまうと、人が外部の温熱環境に対応できなくなりますよ。

大塚― なかなか難しいですね。

熱中症の患者数・死亡数のデータには3種類がある

大塚― 少し話題を変え、実際に熱中症に罹った患者さんの数や、亡くなられた方の数について伺いたいと思います。

小野さん― 熱中症の患者数・死亡数のデータには3種類があります。
その1つが、新聞やテレビ・ラジオなどのニュースでもよく流される救急搬送者の数です。この数値は、私たちが国立環境研究所の業務として20年ほど前から公表してきたもので、日本の大都市である政令指定都市【2】からデータをいただき分析した結果です。その後、10年ほど前から、消防庁が全国規模でデータベースを作り提供するようになっています。
2つ目が、最初に話題になった熱射病と日射病による死亡のデータで、厚生労働省から公開される人口動態統計の死亡統計における、国際疾病分類第10版【3】のT67(熱及び光線の作用)というコードにほぼ相当します。死因別死亡統計ですから、リアルタイムとはいかず、1〜2年後に公表されることになります。
3つ目が、ある意味では熱中症の状況を知る上で一番良いともいえる、病院がもっている患者さんの診療情報です。しかし残念ながら、これは個人情報を多く含むので、データベースとして外部の方が利用するのは難しいでしょう。ただ最近、日本救急医学会熱中症委員会が国保レセプトデータを使った研究成果を公表しています。

大塚― 熱中症の罹患数という意味では、救急搬送数が適しているように思います。

小野さん― その通りです。搬送数について説明しようと思いますが、その前に、2つ目にあげた熱射病と日射病が大半を占める熱中症による死亡数を紹介しておきましょう。先ほど申し上げたように、国際疾病分類第10版のT67(熱及び光線の作用)というコードは、大半が熱射病と日射病による熱中症の死亡に相当しています。この死亡数は、日本全国の1995年以降の変遷から分かるように、年による増減があるものの全体に増加傾向にあります。多い年には、死亡が1000を超えています。

大塚― 熱射病と日射病を含む熱中症による死亡は増加しているのですね。熱中症の救急搬送数についてもお願いします。

小野さん― 全国規模での熱中症についてはじめて公表されたデータは、20年ほど前に私たちが国立環境研究所で行った救急搬送数でした。救急搬送数を具体的に示すことで、熱中症への関心を高めたいと考えたのです。この時はまったくの手探りで、20の政令指定都市の救急搬送数を提供いただき分析しました。その結果分かったのは、年による変動はあるものの、2009年と2010年の間で搬送数が急増し、それ以降はそれ以前と大きく異なったことです。
2010年は、多くの方の記憶にあるかと思いますが、日本が猛暑に見舞われた年です。その影響があったのは間違いありませんが、それに加え、熱中症がマスコミ等で大々的に取り上げられたため、それまでは我慢していた方々も救急車を利用するようになったと考えています。

熱射病・日射病による死亡件数
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都市患者数の推移(青折れ線の「東京23区」のみ、右側のスケール)
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熱中症による全国の救急搬送数の推移(7月〜9月のデータ)(出典:消防庁)
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大塚― 熱中症への関心を高めた成果ですね。ところで、消防庁による2007年以降の全国での救急搬送数も含め、最近の状況についてご説明ください。

小野さん― 先ほど2010年が猛暑だったと申しましたが、2007年以降では2007年と2013年、さらには2015年と2016年も猛暑のカテゴリーに入ります。 全国レベルの搬送数を概観すると、2007年には2万数千人くらいだったのが2010年に5万人台に倍増し、それ以降も多い年には5万人に達しています。日本国民全体として、延べ人数で2500人に1人が熱中症で救急搬送されていることになります。


湿度が高いことは温度が高いのと並んで熱中症のリスクを高める

大塚― 救急搬送数を熱中症の発生数とし、熱中症発生数の国内の地域差についてはどのような傾向がみられるのでしょうか。

都市別の熱中症患者発生率
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小野さん― 私たちが分析した政令指定都市のデータから、お話しさせていただきます。20の政令指定都市には、北は札幌から南は福岡まで含まれており、それ以外に沖縄県からも独自に情報を提供していただきました。
地域差という点では、札幌市がはるかに少ないのは気温が低いためと考えられますが、札幌市を除くと、仙台市から福岡市まで緯度による影響ははっきりしません。この原因は十分分析できていませんが、気象の違いというより、都市の居住空間の特徴や人びとのライフスタイルにあるのでしょう。言い換えると、居住地が比較的北に位置していても熱中症に気をつけなくてはならないのですよ。
実は、この図からは分かりにくいのですが、私が人びとのライフスタイルとの関係で注目してきたのは沖縄県です。

大塚― どのようなことですか。

小野さん― 沖縄県の気象は、気温が高くても32〜33℃くらいのことが多く、35℃を超えることはほとんどない一方で、湿度が高いのが特徴です。後で改めて詳しくお話ししたいと思いますが、湿度が高いことは温度が高いのと並んで熱中症のリスクを高めます。言い換えると、気象条件から推測する限り、沖縄県の熱中症の発生率は図のレベルよりはるかに高くなるはずなのです。沖縄県の熱中症のもう1つの特徴は、9割以上の方が作業中か運動中に発生していることで、ほかの地域よりはるかに高くなっています。
沖縄の特徴を理解しようと、私自身も現地を訪れたのですが、沖縄の人びとは家屋の構造を風が通り易くしていますし、日常生活で日光や紫外線を浴びるのを避ける工夫もしています。先ほど申し上げた、発生の9割以上が作業中か運動中に起きていることは、気象条件からは好ましくない時にやむを得ず作業や運動をしたことの反映と考えられるのです。
まとめますと、沖縄の人びとは暑さ、特に蒸し暑さに強いライフスタイルを作り上げており、彼らが培ってきたノウハウは重要と思います。しかしそれでも、熱中症のリスクはなかなか減らせないのが現実なのです。

搬送数の違いは、湿度の違いに見事に関係していた

大塚― 話題を変え、熱中症の防止策あるいは予防策について伺いたいと思います。

小野さん― 熱中症の主な原因は、暑い環境あるいは蒸し暑い環境と、激しい作業や運動です。そのような環境にいることを避け、そのような身体活動を避けることができれば、リスクは大きく低減するのです。このように言うと単純に思えますが、実際に気をつけなくてはならないことも多く、2つのことをあげたいと思います。
その1つは、自分の行動をコントロールしにくい場合もあることで、具体的には高齢者の方々への配慮が大事になるのです。このことは、性別・年齢別の熱中症発生率をみると一目瞭然で、発生率が高齢者で圧倒的に高いのです。実際、65歳以上の高齢者が、救急搬送数では約半数、死亡数では8割以上を占めています。

大塚― 高齢者への注意の仕方について、具体的な点もご説明ください。

性別・年齢階級別の熱中症患者の発生率(人口10万人当たり)
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小野さん― 熱中症のリスクが高い高齢者は、体温調節機能が落ち、暑さを感じにくいのですよ。ですから、お年寄りが一人で過ごしている部屋に入ると、むっと感じるような場合にも気にしていないことさえあるのです。もし高齢者だけで住んでおられるような場合には、同居していない家族や親戚、あるいは地域の民生委員の方、近くにお住まいに方が注意することが必要なのです。
また、戸外などで高齢者の身体の動きや言動がおかしいと感じた場合には、声をかけるのが一番です。その方がきちっと対応できないとか、水を飲むよう勧めてもうまく飲めないような場合には、すぐに救急車を呼ぶべきなのです。

大塚― 高齢者に限られるわけではないでしょうが、温熱環境をよく理解しておくことは当然ながら重要なのですね。

小野さん― そうです。温熱環境を把握することが、私が申し上げようとした2点目になります。
周囲の温熱環境を知る上で最も馴染み深いのは温度計でしょう。昔は温度計というと、部屋の隅の見にくいところに吊るされていることが多かったように思いますが、今はさまざまなタイプのものが売られています。大きく目につき易いタイプもありますし、アラームが鳴るタイプもあります。さらに優れているのは、気温だけでなく湿度も測れるタイプです。

大塚― 最近よく耳にする「暑さ指数」も、機械で測れるのですね。

小野さん― 「暑さ指数」とはWBGT【4】のことで、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、①湿度、②日射・輻射などの周辺の熱環境、③気温、④風速の4つを取り込んだ指標です。中でも、気温と湿度を強く反映しています。

大塚― 私たちは目につき易い気温に着目しがちですが、実際は複雑なのですね。

小野さん― もちろん、暑さに関わる要因として気温が大きいことは間違いありません。とはいえ、皆さんも気温が高い上に蒸し暑さを感じる時は、不快感が強まるのは経験されていると思います。
熱中症に湿度が深く関わることを、数値として確認した時のことを紹介しましょう。先ほど申し上げたかと思いますが、私が熱中症と気象環境との関係についての研究を始めた直後の2007年は8月が非常に暑かったのです。その年の8月、東京で37℃を超えた日が3日ありました。これらの日の救急車による搬送数を調べたところ、50人くらいから100人を超えた日まであり、解析を進めたところ、搬送数の違いは、湿度の違いに見事に関係していたのです。

熱中症だけでなく紫外線の健康影響なども、情報に積極的にアクセスし、利用していただきたい

大塚― WBGTについて、もう少し詳しくご説明ください。

日最高WBGT温度別熱中症患者発生率(人/100万人・日)
[拡大図]

小野さん― 現在、気象庁や環境省から発表されているWBGT(暑さ指数)は、気温や湿度などを基に計算されています。実測値と計算値との関係を調べ、計算値が妥当なことが確かめられています。
環境省の熱中症予防情報サイトを見ていただくと、日本各地の当日、翌日、翌々日におけるWBGTの予測値を知ることができます。このサイトでは、WBGTが31℃を超えると「危険」、28-31℃を「厳重警戒」、25-28℃を「警戒」と表示しています。なお、WBGTと気温との関係をラフにみると、WBGT31℃以上が気温35℃以上に、WBGT28-31℃が気温31-35℃に、WBGT25-28℃が気温28-31℃に対応します。

大塚― 熱中症に関するさまざまなことを伺ってまいりましたが、最後に、EICネットをご覧の皆さまに小野さんからメッセージをいただきたいと思います。

小野さん― 熱中症だけでなく、私の研究テーマでいえば紫外線の健康影響などもそうですが、情報の利用について申し上げたいと思います。現在では、EICもそうですが、さまざまな機関から環境に関する実に多くの情報が発信されています。皆さまには、これらの情報に積極的にアクセスし利用していただきたいと思います。暑さ指数についても、ネットを見て情報を得るだけではなく、たとえば登録された方には個別に情報を流すこと、あるいは携帯で登録していただけば、本当に暑い時だけに注意情報を出すなど、利用勝手が良くなっています。さらに言えば、ご自分だけでなく、いろいろな情報を周囲の方々に広めていただければと思います。役に立つ情報をつくり発信すること、それをうまく利用される人が増えることを願っています。

大塚― 最後にお話しいただいたことは、熱中症だけなく、環境の健康影響を研究されてきた小野さんからの気持を込めたメッセージとして伺いました。本日は、熱中症という身近な健康問題について、幅広い視点からお話しいただきました。どうもありがとうございました。

国立環境研究所客員研究員の小野雅司さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。

国立環境研究所客員研究員の小野雅司さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。


【1】人口動態統計
1年間に発生した出生・死亡・死産・婚姻・離婚の集計。厚生労働省が、人口動態調査票に基づき毎年集計し公表している。
【2】政令指定都市
地方自治法に定められる日本の都市制度の1つで、政令で指定される人口(法定人口)50万以上の都市。現在は全国で20である。ただし、国立環境研究所でデータを入手・解析し公表しているのは、2009年以降に政令指定都市になった岡山市、相模原市、熊本市は含まれておらず、政令都市以外では沖縄県、東京都23区、東京都の都下の市町村部の3地域のデータが含まれている。
【3】国際疾病分類第10版(ICD10)
死因や疾病の国際的な統計基準として、WHO(世界保健機関)によって公表されている分類。国際疾病分類はほぼ10年ごとに修正されており、第10版は1990年に採択された。その中で、T67(熱及び光線の作用)というコードに含まれる死因は多くのものを含むが、死亡の大半は熱射病と日射病によるものである。
【4】WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)
「暑さ指数」と呼ばれている。熱中症の予防に有効な指標として1954年にアメリカで提案された。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なり、以下の式で表される。
屋外の場合:
WBGT(℃)=[湿球温度]×0.7+[黒球温度]×0.2+[乾球温度]×0.1
屋内の場合:
WBGT(℃)=[湿球温度]×0.7+[黒球温度]×0.3
なお、湿球温度、黒球温度、乾球温度の概略は以下のとおり。
湿球温度:温度計の球部を水で湿らせたガーゼで巻いて測られる温度。温度計の表面にある水分が蒸発した時の冷却熱と平衡した時の温度で、皮膚の汗が蒸発するときに感じる涼しさの度合いを表す。
乾球温度:通常の温度計で測られる温度。
黒球温度:黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞で、直径が約15cm)の中心に温度計を入れて測られる温度。黒球の表面はほぼ反射しないため、直射日光にさらされた時の球中の平衡温度であり、弱風時に日なたにおける体感温度と良く相関する。