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GX2040ビジョン 環境用語

作成日 | 2025.07.09  更新日 | 2025.08.05

GX2040ビジョン

ジーエックス2040ビジョン   【英】GX2040 Vision  

解説

GX2040ビジョン」は、2025年2月18日に閣議決定された、日本政府が提唱するグリーントランスフォーメーションGX)の長期的な政策指針で、脱炭素と経済成長の両立を目指している。2040年をターゲットに、産業構造や社会システムの大規模な転換を通じて、カーボンニュートラル(2050年目標)を実現しようとするものである。

GX2040ビジョンの目的は、気候変動対策と経済成長の「両立」を目指し、脱炭素を成長のチャンスと捉え、民間投資を促進し、日本の産業競争力を強化し、国際的プレゼンスを高めることである。その柱は、@エネルギー政策の転換、A再生可能エネルギーの主力電源化、B原子力の活用(既存炉の活用+次世代炉の開発)がある。また、GX投資による新たな成長分野(グリーン水素蓄電池、CCUS等)へのシフト、脱炭素に向けた企業行動の促進、GX経済移行債(20兆円)による官民投資促進、将来の炭素価格(カーボンプライシング)を見越した前倒しの投資促進も目指している。ただし、GXビジョンでは原子力を「安定供給源」として重視しているが、福島第一原発事故以降の国民的不信感、廃炉・核廃棄物処理の課題は未解決であり、原子力への過度の依存が懸念されている。また、GX経済移行債として約20兆円の公的資金を投じる計画だが、将来世代にツケを回す財政リスクとなるとの批判もある。さらに、化石燃料賦課金(2028年度導入予定)・排出量取引の特定事業者負担金(2033年度導入予定)は導入時期が極めて遅いこと、およびそれらがGX経済移行債償還の財源確保を主目的とし、その範囲内でしか単価が設定されないため、単価が低く設定されることになり、十分な排出削減効果は期待できない。カーボンプライシングの本来の目的である価格効果による排出抑制は生かされず、その最大の機能である、市場メカニズムを活用した限界削減費用(追加的に1単位削減するのに必要となる費用)の均等化による社会全体としての排出削減のコストの最小化や、脱炭素型の産業構造移行への強いインセンティブ効果は当面期待できないことになる。

GX2040ビジョンは、日本の脱炭素戦略の中核として、エネルギー転換・産業革新・制度設計を通じた「グリーン成長」を掲げる挑戦的な政策ビジョンであるが、その実効性は、原子力への依存、財政健全性の確保、カーボンプライシングの価格効果の確保、社会的公正の配慮など、多くの課題と批判を抱えている。したがって、GX2040ビジョンを進めるには、単なる技術革新や投資促進だけでなく、国民的な合意形成や公正な制度設計が不可欠である。(2025年7月作成)

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