一般財団法人環境イノベーション情報機構
作成日 | 0000.00.00 更新日 | 2025.07.18
ダイポールモード現象
ダイポールモードゲンショウ 【英】Indian Ocean dipole [略]IOD [同義]インド洋ダイポールモード現象 ダイポール現象
解説
インド洋の熱帯域で主に夏から秋にかけて、東部と西部の海面水温に差が出る現象。1999年に東大の山形教授などにより発見されたもので、エルニーニョ現象のインド洋バージョンともいえる。正のダイポール現象では、インド洋の東部で海面水温が平年より低く、西部で高くなる。負のダイポール現象では、その逆となる。
正のダイポール現象は、インド洋東部の南東の貿易風が強くなると、東側の高温の海水が西側へ移動し、それに伴い東側で深海から低温の海水が上昇するために生じる。その結果、東南アジアやインド北部では洪水量が増加する。逆に、日本では上空のチベット高気圧が北東に張り出し、降水量は減少し、猛暑になる傾向がある。特に、ラニーニャ現象と同時に発生すると、猛暑が強まる。
温室効果ガスの増加に起因して起こる海面水温の上昇は、インド洋で非常に大きいことが知られており、これによりダイポール現象が起こりやすくなっているとの報告もある。(2025年5月作成)
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関連Webサイト
- 山口俊男(2008):「気候変動と異常気象」第25回獣医疫学会学術集会:https://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~yamagata/20080820145948Journal%20of%20Veterinary%20Epidemiology.pdf
- 中里 舞、東塚 知己(2021):「海洋表層の鉛直混合がインド洋ダイポールモード現象に与える影響を解明」(東京大学):https://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/focus20211126/
- インド洋ダイポールモード現象(IOD現象)気象庁:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kisetutext/31/chapter1.pdf