一般財団法人環境イノベーション情報機構
大気汚染と花粉症の関係探る調査 14年度の結果を公表
【健康・化学物質 アレルギー】 【掲載日】2003.05.26 【情報源】環境省/2003.05.26 発表
環境省は平成15年5月26日、平成3年度から進めている大気汚染と花粉症の相互作用を解明するための動物実験・疫学調査のうち、14年度分の結果をまとめ公表した。この研究ではこれまで、(1)モルモットを粒子状成分が高濃度のディーゼル排気にさらした場合、アレルギー症状が悪化すること、(2)スギ花粉飛散数がほぼ同程度で大気汚染の程度が異なる2地域の比較では、大気汚染が高度な地域の方が花粉症有病率が高率であること−−などが判明している。ただし(2)の調査では2地域間に大気汚染の程度以外にも異なる因子が複数考えられるため、大気汚染と花粉症との関係を明確に結論づける決め手とはなっていない。
なお14年度調査では、ディーゼル排気のうち粒子状成分が特に花粉症に関与しているのではないかという指摘があることから、ディーゼル排気からガス状成分を除去する装置を開発。モルモットをディーゼル排気にさらした場合、ガス状成分のみにさらした場合に分けて動物実験を実施したほか、疫学調査では宮崎県日向市と千葉県君津市・市川市在住の小学生約5,000人を対象に、スギ花粉症の症状やスギ特異IgE抗体を調査するとともに双方の浮遊粒子状物質濃度やスギ花粉飛散数を調べた。
その結果、動物実験ではモルモットはディーゼル排気にのみに反応。花粉症に粒子状成分が関与している可能性が高いことが示唆された。
一方疫学調査では、花粉飛散数と花粉症の症状に関連があることがわかったものの、浮遊粒子状物質濃度との関連では、花粉飛散数が最も多い君津市山間部で浮遊粒子状物質濃度が低いにもかかわらず有症率が高い結果が出、明確な結論は導きだせなかった。【環境省】