一般財団法人環境イノベーション情報機構
大阪ガス、エネルギー創出型の廃水処理プロセスを実証
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2010.08.06 【情報源】企業/2010.08.05 発表
大阪ガスは、エネルギー創出型の廃水処理プロセスの商品化に向けて実証試験を始める。大津市に1日あたり廃水処理量5m3のパイロットプラントを設置し、11月から1年間検証する。有機廃水を触媒で分解処理すると同時に、処理過程で生じる可燃性ガスをボイラーの燃料として利用する。大気汚染防止装置や水処理装置を製造・販売する月島環境エンジニアリング(東京都中央区)との共同事業。エネルギー創出型廃水処理プロセスは、半導体や化学工場で発生する石油化学系の有機物を含んだ廃水を分解する新技術。廃水を高温・高圧にし、ニッケルを特殊処理した触媒を通過させて有機物を高速で分解する。処理中につくられる可燃性のガスは、工場内のボイラーの燃料として利用。従来、廃水の有機成分は重油とともに燃焼処理しており、CO2を多量に排出し、処理コストもかさむことが課題になっている。
1日に200m3の廃水を処理した場合、従来の燃焼方法では年間に約1万3000tのCO2を排出する。一方、今回の新プロセスでは2000t。処理過程で発生する可燃性ガスをボイラー燃料にする際の効果を含めると、さらに3800tのCO2排出を削減できことになる。トータルの年間のCO2排出量は−1800tで、従来方法比で約110%の削減。廃水の処理費用も、従来の1m3あたり2800円が新プロセスでは同1700円になり、約40%削減できる。
大阪ガスは2003年1月〜2007年12月に京都大学などとともに今回使用する触媒の開発・評価を行い、その結果を基に、月島環境エンジニアリングの廃水・排ガス処理のエンジニアリング技術を活用して新プロセスを構築した。実証試験を通して新技術の実用化を進め、2012年度の商品化を目指す。