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環境ニュース[海外]

ブッシュ大統領の気候変動対策提案にコメント

地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2001.06.26 【情報源】EU/2001.06.12 発表

 6月11日にブッシュ大統領が行った気候変動対策に関する提案に対し、マルゴット・ヴァルストロム環境委員は「基本的には、大統領は以前の発言を繰り返している。もはや問題の研究から、行動に進むべき時がきている。大統領の演説は、排出削減のための実際の行動が十分でなく危惧している」とコメントした。
 EU議長国を代表して、スウェーデンのラーション環境大臣は、「京都議定書を破棄することは、気候変動に向けた長年の努力を先延ばしにすることになる。これは容認できない。既にEU加盟国は京都議定書批准に向けて動いている。アメリカ合衆国抜きでは、世界最大の排出国抜きとなり、議定書の効果が薄くなる」と述べた。

 演説に対する詳細なコメントは以下のとおり。
1) 大統領の提案は調査及び技術革新に焦点を当てている。EUもこれを支持し、協力したいと考えているが、このアプローチでは、短中期的に温室効果ガスの排出削減を行うには至らない。

2) 科学的知見とモニタリングメカニズムの改善を継続的に支援するが、調査は行動を遅らせる理由にはならない。IPCCの第3次評価報告及びアメリカ合衆国科学アカデミーの最近の報告により、具体的、緊急的な対策をとるべき科学的な証拠は十分にある。アメリカも当事国である1992年の気候変動枠組条約では、予防的措置をとること、科学的不確実性を対策延期の理由にしないことが規定されている。

3) さらなる技術革新を促進させることは好ましいが、既に、多くのクリーン技術が利用可能になっており、実施の準備がなされていると確信する。

4) 途上国に対するアメリカの考えは、気候変動枠組条約の当事国によるコミットメントに基づいているようである。しかし、ブッシュ大統領のアプローチでは、先進国に明確な目標とスケジュールに基づく排出削減のリーダーシップを求めるという、当事国が必要としていた「次の一歩」が抜けているようでもある。従って、条約下の既存のコミットメントをどのように補完し、越えて行くのかアメリカの提案の詳細に注目したい。

5) 気候変動は地球規模での取組の必要な脅威ではあるが、条約にも記されている通り、共通の、しかし差異ある責任の原則のもとで活動すべきである。先進国がその能力をもってしてもできなかったことを発展途上国に期待はできない。これは、現実的でないばかりか、歴史的、能力的、一人当たり排出量からみても公平ではない。
【欧州委員会環境総局】

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