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環境ニュース[海外]

IUCN 外来種の被害に関する報告書を公表

自然環境 野生動植物】 【掲載日】2001.05.22 【情報源】その他/2001.05.11 発表

 世界自然保護連合(IUCN)は、5月11日、もともと地域に生息していなかった外来種の侵入により、本来の生態系が破壊され、世界で年間、数十億ドルもの被害が生じていると発表した。
 IUCNは、最も被害の大きい外来種100種をリストアップした報告書「世界で最も侵略的な外来種 100選(100 of the World’s Invasive Alien Species)」を公表。中には、クレージー・アント(蟻の一種。Crazy Ant)、ナイル・パーチ(食用淡水魚の一種。Nile Perch)、南米ホテイアオイ(South American water hyacinth)、マングース、ムラサキガイ、家ネコなどが含まれている。
 こうした外来種がもたらした被害の例としては、クレージー・アントがインド洋のクリスマス島で、18ヶ月のうちに300万匹ものカニを殺傷。同島で熱帯林の落ち葉などを食べて、分解し、生態系を支えていたカニに大きな被害が出たという。また、ナイル・パーチは、1954年にアフリカのビクトリア湖に放流された後、たちどころに200もの固有種の魚類を駆逐してしまった。この他、マングースが日本の奄美ウサギを脅かしている例も紹介されている。
 さらに、外来種によって経済的なダメージが生じることも多く、IUCNのチーフ・サイエンティストであるMcNeely氏は、「意図的に、あるいは事故で持ち込まれた、害虫、雑草、病原体などは、作物の生産量や耕地を減らし、海洋・淡水の生態系を悪化させる」と述べる。
 例えば、南米ホテイアオイは、非常に繁殖力が強いため、瞬く間に水面を埋め尽くし、水路交通を遮断、漁業の障害にもなっている。同時に、水面を覆ってしまうために、水中に十分な日光や酸素を供給することができなくなり、水中の生態系に悪影響を及ぼす。アフリカの7カ国では、南米ホテイアオイによって、年間2000万〜5000万ドル(24億円〜60億円)もの経済的コストが生じているという。また、フィリピンでは、巻き貝の一種(golden apple snail)によって、米作農家が年間4500万ドル(54億円)もの被害を被っているという。

問い合わせは、IUCNのMcNeely氏まで
 jam@hq.iucn.org
【IUCN】

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