一般財団法人環境イノベーション情報機構
国際エネルギー機関、北西欧の低排出水素市場の拡大には投資や政策支援が急務と報告
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2024.05.02 【情報源】国際機関/2024.04.17 発表
国際エネルギー機関(IEA)は、北西欧の低排出水素市場の動向に関する報告書を公表した。報告書はオーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スイス、イギリスを分析対象としている。これらの北西欧諸国は、低排出水素開発の最前線にあり、同水素の生産目標の引上げや規制整備を進めるなどしているが、目標達成にはさらなる投資や政策支援が急務であると指摘した。
北西欧では、2030年までに年間約700万トンの低排出水素の生産につながるプロジェクトが計画済だが、進展中のものは全体の4%に満たない。ロシアのウクライナ侵攻後に生産目標を引上げた国もあり、現在では2030年までに電解槽容量40ギガワット以上の開発が目標になっているという。
報告書は、低排出水素の価格競争力を高めるために一層の努力が求められるとして、政策支援を速やかに強化する必要があると論じ、バリューチェーン全体に支援の仕組みを設けることなどを提言しているほか、需要喚起の必要性にも言及している。
(注)低排出水素:この報告書では、再生可能エネルギー又は原子力発電による電力を用いた電気分解で生産される水素や、CO2の回収・利用・貯留(CCUS)と組み合わせながらバイオマス又は化石燃料から生産される水素を指す。報告書は、低排出水素はクリーンエネルギーへの移行を世界的に推進するうえで重要だと説明している。
【国際エネルギー機関】