一般財団法人環境イノベーション情報機構
イギリス環境・食糧・農村地域省、ビーバーを川に呼び戻す実験で治水と生態系への効果を確認
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2020.08.25 【情報源】イギリス/2020.08.06 発表
イギリス環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、試験的にビーバーを川に放して治水面や生態学上の影響を調べた5年間の研究について、効果を得て完了したと報告した。この実験はイングランド南西部のデボン州の自然保護団体やエクセター大学などが実施したもので、2015年、同州のオッター川にビーバーのつがい2組が放された。得られた結論には以下の成果が含まれるという。・繁殖が進み最大で15のなわばりや28の木の枝などで作ったダムが集水域全体に広がっている
・ビーバーがダムを作った下流の村でピーク時の洪水流量が大幅に減った
・ビーバーのダムが水の浄化に重要な役割を果たしている
・ビーバーのダム作りなどが新たな湿地生息地の形成や管理に役立ち、他の野生生物に恩恵をもたらしている
・ビーバーがダムを作った場所で魚の数が増えた
ビーバーはかつてイギリスに生息していたが、乱獲によって約400年前に絶滅した。政府は、野生に暮らすビーバーの管理のための戦略や今後さらに国内にビーバーを呼び戻すことに関して、2020年内に検討を行う予定である。
【イギリス環境・食糧・農村地域省】