一般財団法人環境イノベーション情報機構
環境閣僚理事会の結果
【環境行政 その他(環境行政)】 【掲載日】2002.10.29 【情報源】EU/2002.10.17 発表
10月17日、ルクセンブルグで欧州理事会が開催され、包装廃棄物指令の改正、セベソII指令の改正及びバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書の実施に関して政治的合意に達した。また、温室効果ガス排出取引制度、遺伝子組換体のラベリング及び追跡に関する指令案などについて話し合われた。主な結果は以下のとおり。
・温室効果ガス排出取引制度
欧州委員会が提案中の温室効果ガス排出取引スキームに関する指令案について検討を行った。主な論点は、2005年のスキーム開始時点から参加を義務的なものとするか(特定施設の一時的な除外を認めるか)、対象ガスに全ての温室効果ガスを含むべきか、排出枠の割り当て方式、CDMや共同実施などで得られたクレジットも取引の対象とするか といった点であった。スキームを予定どおり2005年からスタートせるため、次回12月9,10日の閣僚理事会で政治的合意にいたることが期待されている。
・包装廃棄物指令
現在の包装廃棄物指令(94/62/EC)の改正について、賛成多数で政治的合意に達した。物質別の最低リサイクル目標は、それぞれガラス60%、紙及びダンボール60%、金属50%、プラスチック22.5%、木材15%となった。目標達成期限は、2008年12月31日だが、ギリシャ、アイルランド及びポルトガルについてはさらに4年間の猶予が与えられる。
・セベソII指令
大規模事故災害に関するセベソII指令(96/82/EC)の修正案について全会一致で政治的合意に達した。指令の対象が特定の鉱業施設などを含むよう拡大され、危険物質の規制値等も一層厳しいものとなった。また、対象施設と主要な移動ルート(道路、鉄道など)との間に適正な距離をおくことも盛り込まれた。ヴァルストロム環境委員もこの決定を歓迎するコメントを発表している。
・遺伝子組換体の越境移動
バイオセイフティに関するカルタヘナ議定書の実施に向け、欧州委員会が提出していた規制案について、政治的合意に達した。輸入国側から明示的な承諾があること、輸出される遺伝子組換体はEUの承認を受けたものに限られることとな
っている。
・遺伝子組換体のラベリング・追跡
遺伝子組換体の追跡可能性とラベリング及び遺伝子組換体由来の食品・飼料の追跡可能性に関する規則等について検討したが、大きな進展は見られなかった。
このほか、ワシントン条約締約国会議及び気候変動枠組み条約締約国会議への対処方針についても合意に至った(ワシントン条約関係についてはドイツ環境連邦省の18日付記事を参照)。また、EUの持続可能な開発戦略の実施について、決議が採択された。
【欧州閣僚理事会、欧州委員会環境総局、ドイツ連邦環境省】