一般財団法人環境イノベーション情報機構
EU 大気質改善に向けた新たな政策パッケージを採択
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2014.01.06 【情報源】EU/2013.12.18 発表
欧州委員会は、新たに大気質改善に向けた新たな政策パッケージを採択したことを公表した。政策パッケージは複数の政策により構成されており、大気質改善目標を確実に達成するための対策をまとめ、都市部の大気質の改善、研究開発の促進、国際協力の促進に重点を置いた「ヨーロッパ大気清浄プログラム」、6つの重要な有害物質に関する国別の排出上限値を厳格化する「国別排出上限指令の改正」、中規模焼却施設における汚染削減に関する新しい指令制定の提案などが含まれている。EU域内では、大気質の悪化は、早死の主要要因であり、喘息や呼吸障害を引き起こすなど生活の質に悪影響を与えている。欧州委員会は、この政策パッケージにより状況の改善を目指している。大気汚染により社会が支払う直接費用は、年間約230億ユーロと算出されている。政策パッケージを実行することにより、人間社会が得る利益は年間約400億ユーロと見積もられ、さらに環境汚染を阻止するために2030年までに年間34億ユーロが必要と考えられていることから、政策パッケージ実行による利益は、その12倍となるという。また、対策を実行しなかった場合と比較し、政策パッケージの実行により、2030年までに5万8000人の早死の回避、12万3000km2分の生態系と5万6000km2のNatura2000保護地域を過剰な窒素汚染から保護、1万9000km2の森林生態系を酸性雨から保護が可能としている。健康面でも、400億ユーロから1400億ユーロの外部費用の削減が可能で、労働損失の回避による生産性の向上、健康維持費用の削減、収穫量の向上などから、直接、30億ユーロの利益がもたらされるとしている。さらに、労働損失の回避により生産性と競争力が向上し、10万人分の追加雇用が生まれ、経済成長にも好影響があることが示されている。【欧州委員会環境総局】