一般財団法人環境イノベーション情報機構
スターン博士 各国の削減目標と必要な削減量とのギャップが狭まりつつあると報告
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2009.12.11 【情報源】国連/2009.12.06 発表
第15回気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に向けて各国が提示している温室効果ガス排出削減目標と、地球の気温の上昇を2℃以内に抑えるために必要な削減量とのギャップがわずか数十億トンに狭まりつつあることが、COP15開始前夜に公表された報告書によって明らかになった。この報告書は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのニコラス・スターン博士が、国連環境計画(UNEP)と協力してまとめたもの。この研究では、地球の気温が2℃以上上昇するのを避けるためには、2020年の温室効果ガス排出量を440億トン(CO2換算)以下にする必要があると推計。この目標と、これまで各国が提案してきた最も野心的な排出削減目標との差を分析したところ、約20億トン(10億〜50億トンの範囲内)に狭まってきていることが分かった。ただし、この分析の条件として、先進国が途上国の地球温暖化防止策・適応策に適切な財政支援・技術支援を行うこと、各国が約束を実施するとともに、その約束の前提とした他国の行動を十分なものだと解釈することが必要だという。
また、各国の目標と必要な削減量との差を縮める方策としては、先進国が目標を引き上げる、主要な途上国が先進国の支援を受けて目標を引き上げる、ブラジルやインドネシアなどの国々を支援して森林伐採等に伴う排出を削減する、航空機や船舶からの排出を対象に加えることが挙げられている。
COP15を翌日に控え、気候変動枠組み条約のデ・ブーア事務局長も、地球温暖化に関する包括的で、野心的、効果的な合意を生み出すことができるという自信を示している。【UNEP】