一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国 周生賢:土壌汚染に有効な措置で土壌環境安全と人体健康を保障
【水・土壌環境 地下水/土壌汚染】 【掲載日】2007.05.25 【情報源】中国/2006.07.18 発表
7月18日、全国土壌汚染状況調査・汚染対策特別活動テレビ会議が北京で開かれた。さまざまな原因により、土壌汚染が発生し、生態環境や食品安全性、農業の持続可能な発展に脅威を与えており、中国の土壌汚染は全体的に深刻である。第一に、土壌汚染の程度が激化している。おおまかな調査によると、現在全国で汚染された耕地は約1.5億ムー、汚水灌漑耕地は3250万ムー、固形廃棄物放置場所・荒れ田は200万ムーあり、合計で耕地総面積の1/10以上を占め、主に経済発展地区に集中している。第二に、土壌汚染の被害が巨大である。推算によると、全国毎年重金属汚染の食糧は1200万トンあり、直接経済損失は200億元を超えている。土壌汚染は農作物中の有害物質の蓄積をもたらし、食物連鎖によって人体に入り、各種の疾病を引き起こして人体の健康に危害を及ぼす。土壌汚染は、直接に土壌生態系の構造と機能に影響を及ぼし、最終的には、生態系の安全に脅威を与える。第三に、土壌汚染防止の基礎が弱い。現在、全国土壌汚染の面積・分布・程度は不明確で、対策に有効性がない。土壌汚染防止の法律はいまだ空白であり、土壌環境基準体系も構築されていない。資金調達が限られており、土壌科学研究の進展も頭打ち状態である。その他、多くの行政職員や住民、産業界も土壌汚染の深刻さと危険性についての知識が乏しく、汚染は日増しに厳しくなっている。
全国土壌現状調査・汚染対策事業は国家環境保護総局と国土資源部が共同で実施するもので、8項目、全経費予算約10億元ある。計画によれば、調査は3年半で完了し、3段階に分けて実行する。第一段階は、2005年4月から2006年の6月までの準備段階である。主な任務には、調査方案の制定と論証、調査技術規範の作成、調査経費の調達が含まれる。第二段階は2006年7月から2007年末の実施段階である。主な任務は調査活動の野外サンプリングと室内でのデータ分析活動である。第三段階は2008年の総括段階である。主要任務は、調査総報告と各テーマ報告の作成で、調査の成果を全面的に総括する。
今回の調査の目標として、全面的・系統的・正確に全国土壌環境質全体状況を把握し、重点地区の土壌汚染類型・程度・原因を明らかにし、土壌汚染リスクを評価して土壌環境安全等級を定める。また、汚染土壌修復技術の実験モデル区を選び、実状に合った土壌汚染防止法律・法規及び基準体系を構築し、土壌環境監督管理能力を高める。
調査範囲は、台湾・香港・マカオ地区を除く全ての省・自治区・直轄市所轄の全国土である。
第一、調査の主要任務:
一、全国土壌環境質状況調査・評価を展開する。土壌の重金属、残留農薬、有機汚染物などの含有量及び土壌の理化学的性質を分析し、土地利用類型と土壌類型を結びつけ、土壌環境リスクを基にした土壌環境質評価を行う。
二、全国土壌背景値・定点環境質調査の比較分析をする。第7次五ヵ年計画における全国土壌環境背景値調査を基礎として、対比可能な土壌サンプルを採取し、同項目で分析実験をして、関連のモニタリング結果とを比較して、20年間の中国土壌背景値・定点環境質の変化状況を分析する。
三、重点区域の土壌汚染リスク評価と安全等級区分をする。重汚染企業周辺、工業遺棄・廃棄場、固形廃棄物集中処理場、油田、鉱山区、主要野菜基地、汚染灌漑区、大型交通道路の両側及び社会的に関心が高い環境地区を調査の重点とし、統一的技術要求に基づいて、土壌、農産物や地下水などのサンプルを採集して分析実験し、土壌汚染の類型・範囲・程度及び土壌重汚染区の分布状況を明らかにして、汚染原因を分析する。またこの上で、土壌汚染リスク評価をし、安全等級を定め、汚染土壌記録を作り上げる。
四、汚染土壌の修復・総合対策の実証事業を展開する。自主的研究開発と先進技術導入・自主開発により、汚染土壌修復技術を選び、汚染土壌修復技術ガイドラインを作成する。重金属汚染類、農薬類、石油類などの典型的な汚染場所を対象に、汚染土壌修復・総合対策の実証モデル区を建設する。
五、土壌環境質監督管理体系を構築する。中国に適合する土壌汚染対策基本戦略を作成し、国家土壌汚染保護政策・法規と基準体系の枠組みを示す。国家土壌環境モニタリングネットワークを整備する。土壌汚染事故緊急対応案を作成し、土壌環境安全教育行動計画を実施する。
第二、活動重点
全国土壌環境質状況調査、重点区域土壌汚染現状調査、土壌環境質監督管理体系整備の三方面を着実に実行する。
全国土壌環境質状況調査の重点区域は基本耕地保護区と食糧主産区である。土壌汚染状況調査の重点区域は、長江デルタ・珠江デルタ・渤海湾地区・東北旧工業基地・成渝平原・渭河平原及び主要鉱産資源型都市である。土壌環境質監督管理体系整備の重点は、土壌環境モニタリング能力の整備と土壌汚染防止法草案の立案である。
第三、技術的要求
「全国土壌汚染状況調査技術規定」及び環境保護総局統一のエンコード規則に従って、土壌環境質調査、典型区汚染調査など専門任務実施の実際の需要に基づき、単独又は総合的にネットグリル法、線状法、環状法、扇形法を採用して実証区を設置する。
調査目的に従い、各テーマの検査必須項目と検査選択項目を定める。土壌環境質調査項目では検査必須項目22項目、選択項目16項目ある。土壌典型断面背景比較調査では必須項目20項目で、61の元素全量と、13種元素の有効態、4種の有機汚染物と一部の土壌物理化学性指標が含まれる。典型区土壌汚染調査では必須項目22項目、選択項目70項目近くある。
第四、実施期間
計画は約3年半をかけて完成し、三段階に分けて実行する。第一段階は、2005年4月から2006年の6月の準備段階である。主に調査方案の策定と論証、実験調査経験の総括、調査技術規範の制定と、調査経費の調達などがある。第二段階は2006年7月から2007年末の実施段階である。主な任務は調査活動における野外サンプリングと室内のデータ分析活動である。第三段階は2008年の総括段階である。主要任務として、調査全体報告と各テーマ報告の作成をし、調査成果の全面的総括を行う。
第五、2006年の活動
今年2006年は、全国土壌汚染状況調査活動の開始年として、主に以下の4つの活動を行う。
一、調査の室外サンプリング活動を全面的に始動。
二、関連省では、統一案配によって、関連市区の科学研究機関を組織し、長江デルタ、珠江デルタ、遼寧中南部都市群の三典型区の土壌汚染状況調査をする。主に、典型区土壌汚染調査方案の作成、サンプリング、分析実験、データ総括などを行い、ほぼ調査報告を完成する。
三、典型地区で汚染土壌修復・総合対策実証区を始動させる。
四、リスク評価に基づく、整った土壌環境質基準体系を構築する。土壌汚染防止法制定調査研究を組織・展開し、「土壌汚染防止法」草案を完成する。
【中国国家環境保護総局】