一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国 総合利用技術の普及遅延も一因 くずわら焼却禁止に一層の推進が必要
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2007.05.14 【情報源】中国/2006.06.30 発表
夏に入ってから、くずわら焼却は環境質に影響を及ぼす大きな問題となっている。環境保護部門が大々的に活動を行い、各地で大量の人的・物的投入をしたものの、ある程度の効果は得られたが、一部地方政府の責任が果たされない、関連部門の法執行が困難、総合利用技術の不足や普及遅延などの原因によって、くずわら焼却禁止活動は甘くなっており、容易に反動現象が起こるため、大いに推進する必要がある。くずわら焼却は資源を浪費し、環境を汚染するだけでなく、人々の生活と健康に影響を及ぼしたり、飛行機の離着陸や幹線道路、高圧電線の安全性に影響を与えたり、更には国際的な都市イメージに悪影響を及ぼす上、農作物や樹木を焼き経済損失を生むこともある。中国のくずわら焼却重点地区は安徽、江蘇、四川、陝西、河南、河北、山西、山東の各省である。2005年夏季、衛星リモートセンシングにより焼却地点3902ヶ所、78地区346県に影響していることを観測した。これは2004年同時期の焼却地点2481ヶ所、61地区208県よりも増えている。
国家環境保護総局はくずわら焼却禁止活動を重視している。1999年、環境保護総局は、農業部、財政部、鉄道部、交通部、民航総局と6部門で「くずわら焼却禁止と総合利用管理弁法」を発布し、2000年6月、環保総局は農業部、科技部、共産党青年団中央と「全国くずわら焼却禁止と総合利用活動会議」を開き、現場調査を進め、9月に「秋季くずわら焼却禁止活動強化に関する緊急通達」を発布した。2003年は再び環保総局が関連部門と合同で「くずわら焼却禁止と総合利用活動強化についての通達」を出し、農業部、鉄道部、交通部、民航総局と合同調査グループを作り、四川・山東・河北の3省の秋季くずわら焼却禁止活動に対して現場調査を行い、国務院に報告した。2004年環境保護総局は、衛星リモートセンシングなど近代科学技術手段を利用し、全国の夏・秋両季におけるくずわら焼却状況に対してモニタリングを行い、毎日二度集められる関連焼却地点数、焼却時間、焼却地の県名、経緯度、焼却影響範囲などの情報や衛星リモートセンシング焼却状況モニタリング画像を「くずわら焼却衛星リモートセンシング観測状況通報」にまとめた。2005年、再び農業部など6部門と「くずわら焼却禁止と総合利用活動の更なる改善に関する通達」を発布し、衛星リモートセンシング技術を引き続き利用し、全国の夏・秋両季のくずわら焼却状況に対してモニタリングを実施した。
くずわら焼却禁止活動が進展するにつれ、山東省でのくずわら焼却による飛行機離着陸への影響回数が、2001年の90便、2002年の35便、2003年の0便と激減した。陝西省は2003年から3年連続でくずわら焼却禁止・総合利用活動を推進し、航空機安全に影響する事件は起きていない。
くずわら焼却禁止の法執行は困難である。各省市及び地方指導者のくずわら焼却禁止に対する重要性の認識が足らなかったり、災難を怖がったり厭戦気分であったりすると、焼却禁止活動は形式に流れ、具体的活動が下のレベルまで実施されなくなる。農村は広大であるため、焼却禁止期間になると、交通手段が深刻に不足し、法執行人員も顕著に不足し、執行経費も手一杯にある。同時に、くずわら焼却は基本的に農民個人の行動であり、焼却してすぐ現場を離れるため、違法責任の追究が困難である。
くずわら焼却を徹底的に根絶するための重要な点は、くずわらの処理方法を探し、くずわら総合利用活動を進めることである。くずわらは資源、エネルギー、原材料となり、機械的農地還元、飼料作成、堆肥、気化エネルギー利用などができる。現在、全国の年間くずわら産出量は7億トンであり、その3分の1が利用されていない。【中国国家環境保護総局】