一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境ニュース[海外]

中国 江蘇、山東省の3火力発電所で巨額脱硫設備が未運行、脱硫補助金も取得済み

大気環境 大気汚染】 【掲載日】2007.03.12 【情報源】中国/2006.05.31 発表

 記者が先日江蘇、山東省の3ヶ所の火力発電所を密かに訪問した際、同企業が巨額を投じ脱硫設備を設置した後、発電機と同時に使用開始せず、設備を雨ざらしにしているのを発見した。さらに同火力発電所では二酸化硫黄を密かに排出していた。総事業費65億元の常熟港火力発電所は2005年下半期に竣工・操業開始し、そのうち脱硫事業資金が総事業費の約7%を占め4.5億元である。多くの脱硫設備は輸入で、英文の商品表示がある。しかしここではそれら脱硫設備を遊ばせている。
 山東省煙台、江蘇省揚州の2つの火力発電所も、状況は常熟港火力発電所と同様である。煙台発電所は3台の15.5万kW発電機があり、2002年の新規プロジェクトで、2005年末に操業開始予定。同発電所は乾式脱硫を採用し、国内では珍しい。脱硫装置の中心設備はイタリア輸入で、総建造費約1億元。しかしこの脱硫設備も運用されていない。揚州市のある100万kW火力発電所では、同発電所の新旧発電機に脱硫設備が設置されており、その費用数億元、しかし二酸化硫黄回収システム、洗浄システムと石膏回収システムは停止状態に置かれ、漿液循環ポンプも使用されていなかった。
 中国は2003年「火力発電所排汚費基準」を制定し、二酸化硫黄排汚費基準を大幅に高めた。しかし脱硫設備が使われず汚染を排出している発電所が、排汚費を収めないどころか、政府発給の脱硫補助金を受けていた。環境保護部門は不定期に検査に来るが、毎回企業に事前に連絡して来るため、発電所は1時間以内に脱硫設備を稼動することができる。環境保護部門は発電所とモニタリング機器をオンラインで結んでおらず、ある発電所では脱硫設備の不正な運用も見られる。主な原因は現地の環境保護部門が発電所に対して効果的監督ができていないことにある。企業は自己の利益を考え、費用を節約するため脱硫設備を使用しない。環境保護部門はこれら発電所にオンラインモニタリング機器を設置しモニターでリアルタイムに発電所の二酸化硫黄排出濃度をモニタリングしようとしている。しかし工場側のある技術者は、「たとえオンラインモニタリング機器を導入してもかまわない。正常に見える運行状況データをつくり環境保護局に送ればいいだけだ」と言っている。【中国環境報】

情報提供のお願い(企業・自治体の方へ)

記事に含まれる環境用語

プレスリリース