一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州委員会 地中海保護のための環境戦略を提案
【地球環境 海洋汚染】 【掲載日】2006.09.15 【情報源】EU/2006.09.06 発表
欧州委員会は、9月6日、地中海を浄化、保護するための長期的な環境戦略を提案した。特徴のある生態系は汚染や開発といった環境負荷のため悪化が続いている。最近、レバノンでの紛争で起きた原油流出により、脆弱な地域環境に注目が集まった。地中海の環境悪化は、漁業及び観光業のように海に依存する経済部門の長期的な成長のみならず、沿岸に居住する1億4300万人の健康にとっても脅威となっている。この戦略は、(1)地域全体での汚染削減、(2)地中海及び沿岸の持続可能な利用の促進、(3)環境問題分野での近隣国の協力促進、(4)関係国における環境政策の立案・組織づくりの支援、(5)NGO及び一般市民の参加を目的としている。これらの目的を欧州近隣政策、欧州地中海パートナーシップに沿って、財政的な援助、対話の強化、関係国・機関との調整、EUとの経験の共有を通じて実現することにしている。
戦略の柱となっているのは「Horizon 2020」という取り組みであり、2020年までに主要な汚染源に対処しようとするものである。具体的には、汚染の80%を占める産業排水、一般廃棄物及び都市排水に焦点を合わせたプロジェクト、環境当局の設立など近隣国における能力開発、知見の拡充、達成度を示す指標の策定を行う。戦略案では、2013年までの作業工程表が示されている。本年11月20日のEU-地中海諸国サミットで、最終版を承認することを目指し、関係国との協議が行われる。【欧州委員会】