一般財団法人環境イノベーション情報機構
レバノン沖で重油流出 環境影響への懸念広がる UNEP、地中海沿岸諸国が対策支援を表明
【地球環境 海洋汚染】 【掲載日】2006.08.09 【情報源】国連/2006.07.30 発表
イスラエル軍の空爆により、ベイルートの南30kmにあるジイエ火力発電所が破壊され、大量の重油がレバノン沖に流出した。欧州委員会の人工衛星の画像によると、流出した重油はシリアとレバノンの国境の北10kmの海岸線にまで達している。キプロス海洋学研究所の流出予測モデル「MEDSLIK」によると、揮発する重油は20%以下で、80%はレバノン沿岸・沖合いに残留するという。このため、重油流出による沿岸のコミュニティへの影響や、海洋環境への短期的・長期的影響が懸念されている。他にも工業施設の破壊によって有害化学物質が漏出する可能性もある。
レバノン政府代表部からは、7月26日付で、国連機関等に重油汚染対策への支援を要請する手紙が、国連事務総長と国連安全保障理事会議長宛に届けられた。
国際海事機関(IMO)とUNEP地域海ネットワークによって運営されている「地中海のための地域海洋緊急センター(REMPEC)」は、レバノン環境省に重油流出への対応策をアドバイスした。
また、同センターは、バルセロナ条約の締約国に対して支援要請を行い、アルジェリア、キプロス、欧州委員会、フランス、ギリシア、イタリア、マルタ、スペイン、シリアが支援を表明した。
UNEPは国連人道問題調整部(OCHA)や国際海事機関と共に、安全性が確保されれば、すぐに影響があった地域に調査団を派遣する準備を整えている。【UENP】