一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、水処理膜を使った下水再利用処理の実証を中国で実施、コストを2割低減
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2015.05.29 【情報源】企業/2015.05.27 発表
東レは、自社の水処理膜の限外ろ過(UF)膜「トレフィル」を使った下水再利用処理の実証を中国で実施した。逆浸透(RO)膜「ロメンブラ」の前処理に適用することで、従来の方法の“砂ろ過前処理”と比べてコストを2割低減することを確認した。東レの中国研究拠点と連携し、同国華東地域最大級の下水処理場で同国の大学と共同で実証した。下水の再利用ではRO膜を使用してきれいな水にする。RO膜の汚れ防止をするために砂ろ過前処理で汚れ成分を除去する方法が適用されているが、汚れ成分の多い下水は除去が不完全で、RO膜が汚れて安定運転が難しい。さらにRO膜面の汚れを取り除く薬品洗浄回数が増え、コストが高くなる課題があった。今回この問題の解決を図った。
UF膜のトレフィルは特殊素材の“中空糸UF膜”で、汚れ成分が詰まりにくい層があり、高い効率で汚れ成分が除去できる。実証ではRO膜のロメンブラの前処理にトレフィルを適用し、独自の運転技術を組み合わせてUF膜とRO膜での下水再利用プロセスの安定運転に成功した。これまでの砂ろ過前処理法と比較してRO膜の汚れの約9割を低減できる。
薬品洗浄する頻度を大幅に減らすとともにRO膜の交換費用を約4割低減し、プロセス全体の処理コストが2割削減できる。実証でトレフィルがRO膜の前処理に有効になるという成果が得られたことから今後、水道浄水処理に加えて下廃水の再利用向けRO膜の前処理で適用拡大を目指す。東レは各地域の事情に合わせた水処理技術の開発を進めている。【東レ(株)】