一般財団法人環境イノベーション情報機構
三菱電機、新しい水処理技術を開発、低コストで工業廃水や下水の再利用が可能
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2015.01.30 【情報源】企業/2015.01.27 発表
三菱電機は、新しい水処理技術を開発した。気液界面放電による促進酸化法を採用し、極めて強い酸化力を持つ酸化剤のOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)で難分解性物質を分解する。2018年度の事業化を目指す。低コストで工業廃水や下水を処理し、再利用できるため、持続可能な水循環に貢献する。気液界面は、気体と液体が接する液体の表面を意味する。電極を配置した傾斜面の湿潤酸素ガス中に処理水を流して放電させ、OHラジカルを生成する。OHラジカルの強い酸化力によって、塩素やオゾンでは分解が難しい界面活性剤やジオキサンなどの難分解性物質をCO2や水に分解する。既存のオゾンと紫外線(UV)照射を組み合わせた促進酸化処理と比べ、OHラジカルを高効率に生成することで分解効率が2倍になる。
湿潤酸素ガス中の安定した放電技術で酸素が再利用でき、酸素の使用量を削減するほか、モジュール化で装置の構成を簡素化して設備コストを低減する。オゾンとUV照射の促進酸化処理は、UVランプ寿命に伴う交換・維持費などが課題だった。別の既存方式で活性炭に難分解性物質を吸着させて除去する活性炭処理法は、活性炭の再生・交換にコストが発生する。
工場廃水には従来手法の塩素やオゾンでは分解できない化学物質が含まれ、活性炭に吸着させて除去するか、オゾンとUV照射を併用する促進酸化処理が適用され、コストが増していた。今回開発した気液界面放電による促進酸化法は、既存方式の問題を解決する。三菱電機は山形大学理工学研究科の技術協力で開発を進め、工業廃水再利用装置として事業化する。【三菱電機(株)】