一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、透水性を高めた「超低圧高耐久性逆浸透(RO)膜)」開発、省エネを実現
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2014.02.26 【情報源】企業/2014.02.21 発表
東レは、透水性を高めて耐久性を確保した「超低圧高耐久性逆浸透(RO)膜」を開発した。水分子を通してナトリウムイオンなどを通さない微細な穴(細孔)をRO膜の中に形成する技術を向上させた。物質除去性能を維持したまま透水性能を上げたため、低圧で水処理が可能になる。約30%の省エネにつながると同時に、薬品洗浄への耐久性の高さからコスト低減も期待できる。RO膜は水不足や水質悪化など水問題を解決する技術として世界各地の水処理プラントで採用されている。品質の高い水を得るために、物質除去性能や、省エネにつながる透水性能の向上が求められている。原水の水質が悪く膜の洗浄頻度が高い場合は、薬品による洗浄で膜性能が劣化することから、劣化抑制への要望も高まっている。
東レは2011年に高耐久性RO膜を開発していた。これは100億分の1mの精度での細孔径の制御技術を基に細孔構造を安定させることで、周囲の環境変化の影響を受けにくくして薬品洗浄への耐久性を高めたものだ。今回、これをさらに改良した。
高い透水性は、RO膜の分離機能層の素材となる架橋ポリアミドの分子間相互作用を制御して実現した。通常は水分子が透過しないポリアミド分子間の微細な隙間を拡大することで透水性の細孔数を増やした。開発した超低圧高耐久性RO膜は2014年中の市場投入を目指す。需要が急拡大している中国、インドなどアジアや欧米に向けて積極的に展開する。【(株)デンソー】