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環境ニュース[国内]

原子燃料工業(株)、東海事業所での不適切なウランの取扱いについて原因と再発防止策を報告

エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.05.16 【情報源】原子力安全・保安院/2007.05.15 発表

 原子燃料工業(株)は、同社東海事業所で発生した不適切なウランの取扱いに関する、根本原因と再発防止策についての最終報告書を、平成19年5月15日付けで経済産業大臣に提出した。
 原子燃料工業東海事業所では、19年2月24日に加工工場でウラン粉末をサンプリング(注1)する際に、保安規定上定められている核的制限値が「濃縮度4%超5%以下のウラン粉末の場合、ウラン重量で15kg」とされている粉末取扱ボックス(注2)へ、ウラン重量にして約18kgの濃縮度4%超ウラン粉末を収納した粉末缶を計3回持ち込んでいたという。また、このことは19年4月5日になってから保安記録の確認により判明した。
 今回の報告によると、作業の担当者と確認者はともに、全てのウラン粉末缶が制限値を下回っているものと思い込み、作業対象のウラン粉末缶の内容を認識しないまま、ウラン粉末缶を取り扱っていた。さらに保安記録を確認する立場の職員数名(注3)も、全てのウラン粉末缶が制限値を下回っているものと思い込み、核的制限値の逸脱を約1か月にわたり見落としていた。
 この原因を踏まえた再発防止策としては、(1)粉末缶に貼られた識別バーコードにより濃縮度、重量を読みとるインターロック(トラブル防止システム)の設置、(2)核的制限値の大きいボックスへの設備更新、(3)作業用チェックシートの書式変更、(4)作業指示の段階で制限値確認を行うことを明確にしたサンプリング作業標準の制定、(5)ウランの取扱いに関する変更が生じた場合のチェック体制強化(社内の核燃料安全委員会で審議を行う)、(6)粉末缶の識別表示、各設備での核的制限値表示、従業員への教育の徹底、重要情報の事業所内共用化システムの設置、(7)保安記録の見落としを防止する確認体制のルール化、(8)保安規定の変更−−が示されている。
 なお、今回の持ち込みされたウラン重量は臨界に至るウラン重量を十分に下回っており、安全上の支障の可能性や、周辺環境・作業者への放射能の影響はなかったという。
 報告を受けた原子力安全・保安院は、この原因と対策を「妥当である」と評価。今後は対策の実施状況を保安検査などを通じて確認していくとしている。【原子力安全・保安院】

(注1)仕様確認のためウラン粉末の一部を採取する作業。
(注2)東海事業所でウラン粉末を取扱う場合には、ウラン粉末漏洩防止や従業員被ばく低減のため、外部から遮断されている粉末取扱ボックスや、粉末作業ボックスを使用して作業を行うことになっている。粉末作業ボックスは水の入らない(水密)構造になっており、非水密型の粉末取扱ボックスより核的制限値が大きい。
(注3)作業の担当者と確認者が作成した保安記録は、ウラン管理者、班長(または班長代理)、製造掛主任(または主任代理)、担当課長、製造グループ長が順に確認することとなっていた。今回の保安規定からの逸脱は担当課長が発見した。

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