No.267
Issued: 2018.03.22
エコ・ファースト制度について(環境省エコ・ファースト制度担当)
近年、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択を受け、脱炭素社会や循環型社会の構築、生物多様性の確保といった環境問題の様々な分野において、自ら積極的な取組を進める企業が増えています。環境対策は企業経営の足を引っ張るものではなく、むしろ環境という要素を取り込まなければ企業経営が成り立たない、という考えが世界の潮流となっています。環境省では環境問題への先進的な取組を行っている企業を後押しするために「エコ・ファースト制度」を実施しています。
エコ・ファースト制度の目的
2008年4月にスタートした「エコ・ファースト制度」は、地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策など自らの環境保全活動に関する取組を環境大臣に約束し、環境分野において「先進性、独自性、波及効果」のある事業を行っている企業(業界における環境トップランナー企業)を環境大臣が認定する制度です。
認定を受けた企業は、環境省制定の「エコ・ファーストマーク」を、名刺や会社概要などの広報に使用することができます。環境にやさしい事業活動を行っていることを環境大臣が認定することで、PR効果を享受できるというメリットを企業に付与するものです。
環境先進企業としての認定を受けた各企業が、業界のトップランナーとして、環境省と約束した先進性・独自性のある取組を推進していくことで、各企業や業界の環境保全活動のさらなるレベル向上につながっていくことが期待されます。
エコ・ファーストの認定を受けるには
2018年3月時点で国内40社の企業がエコ・ファースト企業に認定されています。
業種別の内訳では、建設業6社、製造業17社、情報通信業1社、運輸業2社、卸売業2社、金融業3社、不動産業・物品賃借業1社、学術研究・専門技術サービス業3社、宿泊業2社、サービス業3社となっています。
環境省としては今後も「エコ・ファースト制度」「エコ・ファーストマーク」の認知度を上げ、企業の先導的な取組を推進していきたいと考えています。
認定に当たって重視しているポイントは、
①先進性/業界をリードするに足り得る高い目標であること、
②独自性/業界の特色を生かしたオリジナルな目標であること、
③波及効果/業界にインパクトを与え、当該業界における取組の向上を促すようなものであること、
の3つです。
この3つのポイントを満たす約束を設定し、それに加え、(a)低炭素社会の形成の促進に係るもの、(b)3Rの促進に係るもの、(c)大気、水又は土壌などの環境への負荷の低減に係るもの、(d)化学物質の適正な管理及びリスクコミュニケーションの促進に係るもの、(e)自然との共生に係るもの、(f)環境教育の振興に係るもの、(g)環境金融に係るもの、(h)その他環境の保全にかかるもの、の全8分野のうち、3分野以上における目標が、認定の基準を満たさなければなりません。
(参考)エコ・ファースト制度に基づく認定企業一覧(平成30年3月現在)
- 株式会社ビックカメラ
- ユニー株式会社
- キリン株式会社
- ライオン株式会社
- 株式会社LIXIL
- 積水ハウス株式会社
- 日産自動車株式会社
- 株式会社滋賀銀行
- NECパーソナルコンピュータ株式会社
- リマテックホールディングス株式会社
- 三洋商事株式会社
- 住友化学株式会社
- 全日本空輸株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社
- ダイキン工業株式会社
- 株式会社タケエイ
- 株式会社電通
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 住友ゴム工業株式会社
- 株式会社資生堂
- 株式会社ノーリツ
- 日本ミシュランタイヤ株式会社
- 株式会社日本航空
- 株式会社川島織物セルコン
- 株式会社クボタ
- 株式会社熊谷組
- 戸田建設株式会社
- ニッポンレンタカーサービス株式会社
- ワタミ株式会社
- 辻・本郷税理士法人
- 富士通株式会社
- 株式会社一条工務店
- 株式会社エフピコ
- 株式会社スーパーホテル
- 株式会社ブリヂストン
- 株式会社リクルート
- 大成建設株式会社
- ブラザー工業株式会社
- アジア航測株式会社
- 西松建設株式会社
エコ・ファースト推進協議会
エコ・ファースト制度の認定を受けた企業は「エコ・ファースト推進協議会」を組織し、自主運営しています。この協議会は「エコ・ファースト制度」の創設から1年余が経過したことを契機に、エコ・ファースト企業が環境保全の取組を継続的に前進させるとともに、環境行政との連携及びエコ・ファースト企業間の連携を強化することにより「エコ・ファースト制度」の発展を目指すことを目的として設立されました。毎年4月に、推進協議会総会を開催し取組の年次報告等を行っています。
協議会における活動も次第に充実し、最近では例えば以下を実施しています(平成30年3月時点)。
○「エコとわざ」コンクール
環境省の後援、全国小中学校環境教育研究会の協力を得て、環境問題への取組をテーマとして全国の小中学生から創作ことわざ「エコとわざ」を募集し、選定作品を表彰しています。
○エコファースト・サステナブルカフェ
NPO法人エコ・リーグとの共催で、環境に関心の高い学生と、協議会加盟企業の環境担当者が参加し、環境問題に関するテーマを設定してグループディスカッションを行い、発表しています。
○情報交換会
協議会加盟企業が有する施設等を見学するとともに、各社の取組事例を紹介しています。
「エコ・ファ−スト企業」の率先した活動と発信により、認定企業と、環境保全に興味のある企業や団体等とのコラボレーションが生まれることを期待しています。
2018年4月でエコ・ファースト制度創設10周年、また、12月にはエコ・ファースト推進協議会も創設10年目を迎えます。こうした節目の年に、今後の一層の取組に向けた機運を高めていきたいと思います。
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記事・図版:環境省エコ・ファースト制度担当
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