一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.248

Issued: 2015.12.25

2015年の環境重大ニュース

 2015年の夏は、各地で最高気温が35℃以上になる猛暑日が続いた。東京都心では8日間連続の猛暑日となり、1875年の観測開始以降の最長記録(これまでは4日間)を大幅に更新したと報道されたのも記憶に新しい。9月には、台風18号に伴う集中豪雨によって、鬼怒川をはじめ各地で河川堤防の決壊と氾濫を招き、大きな被害をもたらした。2011年3月の東日本大震災による津波被害が頭を過ぎった方も少なくなかっただろう。
 これらの直接的な原因のすべてが人為的なCO2排出と言えないとしても、その背景に気候変動の影響があることは否めない。年末にパリで開かれたCOP21での議論なども含めて、今年も気候変動の話題はホットだったといえる。

 今回は、そんな2015年の一年間を振り返る、恒例の「環境重大ニュース2015」をお届けしたい。

1月26日 再生可能エネルギーに関する改正省令が施行 〜再生可能エネルギーは新たな段階へ

 2015年1月22日、経済産業省は、再生可能エネルギーの最大限導入に向けて、発電事業者に対する新たな出力制御ルールや固定価格買取制度(FIT)の運用見直しについて盛り込んだ改正省令・関連告示を公布した。施行は1月26日(月)から。
 実際の出力制御は、1年で最も電力需要が小さくなるゴールデンウィーク中の5月5日、九州電力が鹿児島県種子島にある太陽光及び風力発電設備を対象に全国で初めて実施。離島では電力需要が小さく、天候によっては供給力が上回り、島内の蓄電池容量が足りなくなる可能性が見込まれたためだ。
 2012年7月に固定価格買取制度が導入され、急速な導入増加が始まった太陽光発電設備。これまで500kW以上の太陽光発電・風力発電に義務づけていた出力制御について、新たな基準では500kW未満の太陽光発電・風力発電にも拡大するとともに、出力制御の上限を、日数単位から時間単位とする。
 一方で、経産省が認定した太陽光発電設備の計画件数・容量に対して、実際に稼働した発電設備の件数・容量には大きな乖離も見られるなど、FITを活用した投資目的の計画を含め、実際の再生可能エネルギーの導入促進に結び付いていない状況も見られている。

 来る2016年4月からの小売電力自由化とも合わせて、再生可能エネルギーにとって新たな段階を迎えた2015年だったといえる。

2月22日 環境省、トレイルランニング大会のガイドライン発表 〜拡がりをみせるトレランの魅力と課題

 2015年2月22日、環境省が国立公園でのトレイルランニング大会の開催に関してガイドラインを発表。
全国各地でトレイルランニングの大会が盛んに開催されるようになり、春から秋のオンシーズンには、週末ごとに複数のレースが開催される状況になっている。そうした中、大会が一般登山道を利用することも多いため、登山者やハイカーの歩行の妨げになったり、草花や樹木の踏み付けや土壌侵食など自然環境への影響が心配されるケースも多くなってきたりした。ガレ場やザレ場などの危険個所での事故など安全面の対策も指摘される。
 美しくかけがえのない自然環境を保護・保全すると同時に、レクリエーションやアウトドアスポーツとしての利用の両立をめざす、国立公園のいわば“古くて新しい課題”といえる。
 一部報道では、「トレラン大会、国立公園での開催が困難に!」などと衝撃的に報じられたため注目されたが、必ずしも国立公園内での開催を制限するものではない。国立公園の保護及び適正な利用の推進を図ることが重要だ。

4月25日 ネパールでM7.8の大地震 〜死者1,500人の大惨事となる

 2015年4月25日、ネパールの首都カトマンズ北西77km付近の地下15kmを震源とする推定M7.8の大地震が発生。建物は倒壊し、土砂崩れや雪崩などによる甚大な被害が発生し、1,500人が死亡した。
 日本からも緊急救助物資の供与及び1,400万ドル(約16.8億円)の緊急無償資金協力が実施され、国際緊急救助隊(救助チーム及び医療チーム、自衛隊部隊)の派遣を行い、被災者に対する緊急人道支援を実施している。

 なお、アジア地区の災害では、5月〜6月にかけて南アジアで発生した気温45℃の熱波による被害も記憶に新しいところ。5月下旬にインドを襲った熱波では、中部や南東部を中心に合計2300人以上が死亡、6月後半にはパキスタン南部でも1200人以上が死亡する大惨事となった。
 南アジアの熱波の発生の原因は、エルニーニョの影響で生じた大気循環の異常と考えられている。

6月6日 大気中CO2の月平均濃度、観測史上初の400ppmを突破

 2015年6月6日、米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration, NOAA)は、今年3月の世界の大気中CO2濃度の月平均値が、観測史上初めて、地球温暖化の危機水準とされる400ppmを超えたと発表。
 すでに2014年4月に、WMOの全球大気監視(GAW)観測網のうち北半球の全観測地点で月平均400ppmを超えていたが、今回の発表では南半球の観測地点も含む世界平均で初めて400ppmを超過したことになった。
 この発表を受けて、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)では、年末にパリで開催されるCOP21ですべての国が参加する実効的な枠組みを成立させることの重要性がさらに強調されたとする声明を発表している。

8月11日 九州電力川内原発第1号機が再稼働 〜2年ぶりに国内の「原発ゼロ」に幕

 2015年8月11日、九州電力の川内原発第1号機が約4年3か月ぶりに再稼働された。東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新規制基準下で、全国初の再稼働事例となり、2013年9月に関西電力大飯原発3・4号機が停止して以来約2年間にわたって続いた日本国内の「原発による発電ゼロ」は終幕を迎えた。
 なお、7月16日に経済産業省が決定した「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度の電源構成において、原子力の比率を20〜22%程度としている。これは、約17%の省エネを実施した後の数値として、再生可能エネルギー22〜24%程度・天然ガス(LNG)27%程度・石炭26%程度・石油3%程度との電力ミックスとして提示されたものだった。

9月10日 鬼怒川の堤防決壊で大きな被害が発生

 2015年9月9日夜から10日にかけて猛威をふるった台風18号によって、北関東を中心に記録的な大雨が降った。1級河川の鬼怒川では、茨城県常総市で堤防が決壊したほか、7箇所の溢水などにより多くの家屋浸水被害などが発生した。濁流によって流される家屋や屋根の上などに取り残される人たちの姿に、4年半前の東日本大震災の津波被害を思い起こした人も少なくはなかっただろう。

 なお、今年3月24日には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案が閣議決定され、大規模災害によって発生する廃棄物処理への対策に向けた制度的担保が措置されることになった。
 東日本大震災をはじめとする近年の災害の教訓として、災害により生じる廃棄物を円滑・迅速に処理するには、関係者が連携・協力し平時から災害に備える必要があること、また、災害が発生した後に柔軟な対応を確保するため、特例的な措置が必要であることが指摘されてきた。この法律改正は、これらの課題に対処することを目的に、廃棄物の処理に係る制度的な担保が必要なものについて必要な措置を講ずるものだった。

9月29日 木材自給率、26年ぶりに30%台に回復

 2015年9月29日、林野庁が平成26年木材需給表を公表。木材の総需要量は丸太換算で7,581万4千m3、国内生産量は2,366万2千m3、輸入量は5,215万2千m3となり、木材自給率が31.2%と、昭和63年以来26年ぶりに30%台に回復したと発表した。
 今回の需給表では、近年、木質バイオマス発電施設等での利用が増加している木材チップが加わり、またこれまで年に2回(6月、12月)に分けて公表されていたのが年1回(9月)の公表となった。
 なお、今回から追加された燃料用チップの数量を除くと、総需要量は7,411万8千m3となり、木材自給率は29.8%。また、木材(用材)自給率は29.6%と、前回から1.0ポイントの増加となっている。

10月30日 森里川海再生の国民運動をめざした、「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトが始動

 2015年10月30日、「『つなげよう、支えよう 森里川海』全国リレーフォーラム キックオフイベント」が東京都港区のベルサール汐留で開催された。同プロジェクトを紹介し、森里川海をつなげる地域の取組や課題を共有しながら、参加者全員で森里川海と地域づくりの“これから”について考えるため、年度内にかけて全国約50か所で全国リレーフォーラムの開催が予定されている。
 環境省大臣官房の中井徳太郎審議官は、「環境省が号令をかけるのではなく、ボトムアップで一人一人から自発的に取り組んでいく仕組みづくりを考えています。森里川海をつないでいくプロジェクトは、お金が必要になりますが、お金の話からも逃げないで、互助会のような考え方で一人一人がわずかでも負担するような仕組みも考えていかなくてはなりません」と述べ、地方自治体で先行する「森林環境税」を国税として取り入れていくための新たな仕組み検討に向けた国民の機運を盛り上げていきたいとしている。

12月8日 北米原産の水鳥・カナダガンの防除 〜特定外来生物で初の根絶成功

 2015年12月8日、北米原産の水鳥で、外来生物法に基づく特定外来生物に指定されているカナダガンが、環境省と民間が共同で実施してきた防除事業によって、国内の生息数がゼロになったことが判明。同法が2005年に施行されて以来、初めての根絶成功事例として報じられた。詳しくは、エコレポでも取り上げているので、そちらをご覧いただきたい。

 同じく外来生物の防除に向けた取り組みとして、7月29日に環境省が立ち上げた「アカミミガメ対策プロジェクト」も大きな話題を呼んだ。アカミミガメは、手のひらサイズの愛らしい姿が人気を呼び、大量に販売やプレゼント等されてきた。ところが、長く飼育すると、サイズが大きくなるとともに、凶暴な性格をあらわにすることで、野外に放流されるケースも頻発し、生態系への被害が懸念されてきた。外来生物法の施行当初から特定外来生物への指定が検討されてきたが、すでに大量に飼育されているアカミミガメが指定されることでさらなる野外への大量遺棄が心配されるなど、指定に踏み切れない実情もあった。
 近年になって、野外での繁殖確認事例の増加、在来水草の採食や在来種であるニホンイシガメとの競合、農業被害等の発生などが指摘され、環境省と農水省が今年3月に共同で取りまとめた「生態系被害防止外来種リスト」でも「緊急対策外来種」として位置付けられ、防除に向けた対策を本格化させようというわけだ。
 国連生物多様性の10年の折り返し年となった2015年、今後さらなる対策と防除実現が期待される。

12月13日 COP21、「パリ協定」を採択して閉幕へ 〜地球温暖化防止に向けた新たな法的枠組みがまとまる

 年の瀬も迫った2015年12月12日、フランスのパリで開催されていた気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)及び京都議定書第11回締約国会合(COP/MOP11)で、2020年以降の地球温暖化防止の新たな枠組みとなる「パリ協定」が採択された。今後各国の批准手続きを経て、来年4月頃に発効する見通しだ。
 COP21開会前に議論を開始した「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」における事務レベルの交渉を経て、12月6日以降の閣僚間協議が重ねられた結果、最終的に12月12日にまとまった「パリ協定」。京都議定書に代わる、すべての国が参加する公平かつ実効的な新しい法的枠組みがいよいよ動き出すことになる。

 なお、COP21会議に先立つ11月25日、世界気象機関(WMO)が「2015年は観測史上最も暑い年に」との声明を発表。2011年から2015年10月までの5年間について分析した結果、世界の地表の平均気温は今年14.73℃に達し、1961年〜1990年間の平均気温の14.0℃を上回って、19世紀後半の産業革命前の時代から約1℃上昇したことになると、地球温暖化に対する警鐘を鳴らした。

 明けて2016年1月のPick Up!では、COP21の概要と成果について、環境省より寄稿いただく予定にしているので、ぜひご期待いただきたい。