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トランジションファイナンス 環境用語

作成日 | 0000.00.00  更新日 | 2025.07.17

トランジションファイナンス

トランジションファイナンス   【英】Transision Finance  [同義]移行金融 

解説

トランジションファイナンス(移行金融)とは、脱炭素社会への移行に向けて、現時点では高炭素だが将来的に排出削減が見込まれる事業や企業への資金供給を促進する仕組みである。たとえば、製鉄・化学・発電などの重厚長大型産業が、低炭素技術への投資やエネルギー効率改善を行う際の資金調達手段として活用される。金融庁・経済産業省・環境省は2025年に3月に、ICMA国際資本市場協会の国際原則「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」を踏まえた国内向け基本指針(「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」、2025年版)を策定し、移行計画の明確化や情報開示を求めることで信頼性を担保しようとしている。ただし、トランジションファイナンスにはいくつかの批判もある。第一に、「グリーンウォッシング」の懸念が強く、実質的に排出削減効果が乏しい事業に対しても資金が流れる可能性がある。とくに石炭火力の高効率化やCCS(炭素回収・貯留)などに資金が向かうケースでは、気候変動対策の本質的な転換を遅らせるとの指摘がある。また、評価基準が曖昧なまま市場任せになると、金融の信頼性が損なわれる恐れもある。したがって、実効性ある排出削減と整合性のある透明な基準設定が不可欠であり、今後の制度設計と運用の厳格化が問われている。(2025年7月作成)

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