作成日 | 2025.07.09 更新日 | 2025.07.24
食料自給率
ショクリョウジキュウリツ 【英】food self-sufficiency rate
解説
食料自給率は、食料供給全体に対して国内生産でどのくらい占められているか、その程度を表す指標。食料需給表(国内で供給される食料の生産から最終消費に至るまでの総量を明らかにしたもので、FAOの作成の手引きに準拠)に基づいて算出される。
食料自給率には、「品目別自給率」と「総合食料自給率」の2つがあり、前者は各品目における自給率を重量計算で示すもので、「品目別自給率=国内生産量/国内消費仕向量」の計算式で算出される(国内消費仕向量=国内生産量+輸入量-輸出量-在庫の増加量(または+在庫の減少量))。
一方、後者の総合食料自給率は、食料全体について単位を揃えて計算した自給率を示すもので、供給熱量で換算したもの(カロリーベース)と金額で換算したもの(生産額ベース)に大別される。なお、食料における供給熱量とは、国民に対して供給される総熱量をいう。これと似た用語として、国民に実際に摂取された総熱量を表す「摂取熱量」があり、供給熱量が農林水産省の「食料需給表」の数値が用いられるのに対して、摂取熱量は厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の数値が用いられる。両者の算出方法は異なり、供給熱量には食品産業において加工工程でやむを得ず発生する食品残さや家庭での食べ残し等が含まれていることに留意を要する。なお、関連する指標として、国内に供給される食料に対する国内生産の割合を示す「食料国産率」や、畜産物の生産で家畜に供される資料のうち国産の割合を示す「飼料自給率」、国内農林水産業による食料の潜在生産能力を示す「食料自給力」なども国内の食料生産事情を表す指標として算出されている。
日本の食料自給率は、昭和40年代にカロリーベースで約70%、生産額ベースで90%前後だったのが、米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化により、長期的には低下傾向が続き、2000年代に入ってから概ね横ばい傾向(カロリーベースで40%前後、生産額ベースで60-70%)で推移している。諸外国と比較すると、カロリーベース、生産額ベースともに低い水準にある。
令和6年に改正された食料・農業・農村基本法に基づいて、令和7年4月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画では、令和12(2030)年度を目標年度として、カロリーベースで45%、生産額ベースで75%に向上させる目標が定められている。なお、同計画では併せて、国内生産の状況を評価する食料国産率の目標設定や、食料の潜在生産能力を評価する食料自給力指標の見通しを示している。(2025年4月作成)
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関連Webサイト
- 食料・農業・農村基本計画(農林水産省):https://www.maff.go.jp/j/keikaku/k_aratana/index.html
- 食料自給率とは(農林水産省):https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html
- やってみよう!自給率計算(農林水産省):https://nippon-food-shift.maff.go.jp/calc/#/
- 食料自給率と食料自給力指標(令和5年度 食料・農業・農村白書 農林水産省):https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r5/r5_h/trend/part1/chap2/c2_1_00.html