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硫酸ピッチ 環境用語

作成日 | 2007.05.10  更新日 | 2009.10.15

硫酸ピッチ

リュウサンピッチ   【英】Sulfate Pitch / Sulfuric Acid Pitch  

解説

硫酸と廃油の混合物で、硫黄分、アスファルト質などを含むタール状の物質。通常は中和して焼却処理されるが、不正軽油の製造で発生するものが未処理のまま不法投棄される例が多発し、社会問題化している。平成7年頃から散発的に不法投棄が報告されていたが、平成12年以降急増している。

主な成分は、硫酸イオン(36%:未反応の硫酸を含む)、タール分(34%)、油分(7.7%)であり、放置すると油分の揮発等により粘性が増して、固化する。強酸性物質で、人体に直接触れると皮膚がただれる他、目に入ると失明の恐れもある等、危険性が高い。発生ガスによる大気汚染や土壌・地下水への浸透によって発生する汚染なども問題視されている。

不正軽油の製造及び硫酸ピッチの発生は次のようなメカニズムによる。A重油と灯油を混ぜると軽油に近い性状となるが、A重油や灯油には不正な軽油製造を防ぐための識別剤として「クマリン」という蛍光物質が添加されている。クマリンは、濃硫酸で処理することで分解除去され、この際に副産物として硫酸ピッチが生成する。軽油は、販売価格に1リットル当たり数十円の軽油引取税が上乗せされていることもあって、脱税目的の不正な密造が各地で摘発されている。

平成17年の廃棄物処理法改正により、硫酸ピッチの不適正処理の禁止及び罰則の強化が盛り込まれた。他方、ディーゼル車の排ガス対策として正規の軽油は低硫黄化が進められている。重油を混合した不正軽油は硫黄分が高く、識別剤が除去されても、軽油中の硫黄含量を調べれば不正軽油であることがわかるようになってきている。

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