一般財団法人環境イノベーション情報機構
作成日 | 2003.09.12 更新日 | 2022.09.08
四日市ぜんそく
ヨッカイチゼンソク 【英】Yokkaichi Asthma
解説
三重県四日市市の周辺地域で発生した大気汚染による健康影響事件。四大公害と言われるなかで、四日市ぜんそくだけは水質汚濁ではなく大気汚染が原因の公害病。
1960年ごろに四日市市の石油化学コンビナートの本格稼動に伴い、大気汚染物質(主として硫黄酸化物)の排出により、近隣住民にせきが出る、痰が出る、更にはぜんそく等の閉塞性肺疾患の症状を訴える人が多発した。症状の辛さなどから自殺する人も出る深刻な事態となった。
硫黄酸化物による大気汚染と四日市ぜんそくとの関係については、初期から疫学的調査を続けてきた三重県立大学(現三重大学)の吉田克己教授の疫学四原則に基づく証拠が裁判所によってみとめられ、立証された。
1967年には四日市ぜんそくの民事訴訟が提訴され、1972年に津地方裁判所は被告6社の共同不法行為を認め、賠償を命じた。典型的な経済高度成長期の『公害』で、その後の日本の環境政策の拡充に大きな影響を与えた。
2018年3月末現在、生存されている認定患者は358人である。(2022年6月改訂)
【図】公害認定患者数の年度末推移(出典:四日市市「四日市公害のあらまし」) 拡大表示