作成日 | 2003.09.10 更新日 | 2025.07.17
商業捕鯨
ショウギョウホゲイ 【英】Commercial Whaling
解説
クジラを捕獲・利用する産業で、10世紀に確立した。商業捕鯨はその漁法により、(1)手投げ銛を使って仕留めて陸上で処理をする古代捕鯨(オランダ捕鯨)、(2)銛を使って仕留めた後に船上で油を絞るアメリカ式捕鯨、(3)大砲を使って銛を打ち込む近代捕鯨(ノルウェー捕鯨)の3つに分類できる。当初の捕鯨産業の主な生産物は、灯油やろうそくとして利用する鯨油と、コルセットやペチコートの材料として利用するクジラひげであった。
日本では、1945年、国際捕鯨協定の全面的遵守と、捕獲したクジラを最大限食糧として国民への供給を条件に、マッカーサー・ライン(戦後、日本の漁船が操業できる海域を規制した線)内での捕鯨が許可され、その後、捕鯨産業は活発になっていった。1982年に国際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を採択したことを受け、日本でも1988年以降はIWC規制対象外の沿岸小型捕鯨を除く商業捕鯨を停止してきた。商業捕鯨の再開を主張し続けてきた日本は、鯨類の個体数増減などモラトリアムの科学的根拠を得る目的で北大西洋や南極海で調査捕鯨を実施してきたが、実質的な商業捕鯨であるとの非難を受け、2014年には国際司法裁判所から調査捕鯨の中止命令が出され、さらに2018年9月のIWC総会では、日本が提案したモラトリアムの限定的解除案が大差で否決(賛成27、反対41、棄権2)されたため、2019年6月末にIWCを脱退し、2019年7月から日本の領海と排他的経済水域に限定した商業捕鯨を再開した。捕鯨に当たっては、鯨類の資源に悪影響を与えないよう、IWCで採択された方式に沿って算出された捕獲可能量の範囲内でTAC(漁獲可能量)を設定しているとしている。(2025年4月改訂)
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関連Webサイト
- 捕鯨を取り巻く状況(水産庁):https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_thinking/
- 捕鯨(外務省):https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/fsh/page25_001544.html
- 捕鯨の歴史(一般財団法人日本捕鯨協会):https://www.whaling.jp/history.html
- 捕鯨の部屋(水産庁):https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/index.html