作成日 | 2007.05.10 更新日 | 2009.10.14
スターンレビュー
スターンレビュー 【英】Stern Review UK [同義]英国スターンレポート 気候変動と経済に関するスターンレビュー
解説
英国政府が、2005年7月の主要国首脳会議を受け、ニコラス・スターン元世界銀行上級副総裁(現在は英国政府気候変動・開発における経済担当政府特別顧問)に作成を依頼した、気候変動問題の経済影響に関する報告書。2006年10月に公表された。
報告書では、気候変動問題に早期に断固とした対応策をとることによるメリットは、対応しなかった場合の経済的費用をはるかに上回ること、具体的には、対策を講じなかった場合のリスクと費用の総額は、現在及び将来における世界の年間GDPの5%強に達し、より広範囲のリスクや影響を考慮に入れれば、損失額は少なくともGDPの20%に達する可能性があること、これに対し、気候変動の最大要因である温室効果ガスの排出量を削減するなど対策を講じた場合の費用は、世界の年間GDPの1%程度で済む可能性あることが示された。
その対応として、今すぐに行動を起こして、現在の大気中の温暖化ガスの排出量レベルを2050年までに少なくとも25%削減する必要があること、その場合二酸化炭素の濃度は500から550ppmに抑えられる(現在は430ppm)こと、究極的には80%の削減が必要であることが報告されている。また、政策立案者は最も安くつく経済的削減手段を作成する必要があるとして、長期的ゴールについての相互理解と対応策の枠組みに関する合意をもとに、国際規模で気候変動に対応することを求めている。さらにその枠組みには、国内排出量取引、テクノロジー協力体制、森林伐採を減らすための対応策、順応化、が含まれるべきであるとしている。
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関連Webサイト
- 環境・エネルギー:スターン・レビュー(英国大使館):http://www.uknow.or.jp/be/environment/environment/07.htm
- スターン・レビュー「気候変動の経済学」の日本語版作成について(平成19年2月16日環境省報道発表):http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8046