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ブルーカーボン 環境用語

作成日 | 2019.06.25  更新日 | 2019.07.04

ブルーカーボン

ブルーカーボン   【英】Blue carbon  

解説

海洋生態系によって海中に蓄積される炭素のこと。

植物による光合成によってCO2が吸収されることは良く知られており、地球規模の炭素循環に大きな働きをしている。地球規模のCO2の収支を考える際に植物の寄与は極めて大きい。植物と言えば身近な陸上の植物であり、陸上の植物によって固定される炭素をグリーンカーボンと呼んでいる。一方、海洋にも当然植物が多く存在する。すぐ思い浮かぶのはいわゆる海藻(我々には、昆布や海苔としてなじみ深い)であるが、地球規模の炭素収支に大きく寄与するのは、ほとんど目に見えない細部の植物プランクトンである。これらの海洋生態系の生物活動によって固定される炭素のことをブルーカーボンと呼び、2009年に発表されたUNEPの報告書「Blue Carbon」において命名された。

陸に暮らす我々は陸上の植物が固定する炭素(グリーンカーボン)の方が、海洋生態系によって固定される炭素(ブルーカーボン)より多そうに思うが、1年間に固定される炭素の量は海洋生態系によるものの方が多い。また、海藻や植物プランクトンが大量に発生する場所は、沿岸域である。こうしたことから、現在、藻場マングローブ林などの重要性が再認識され、その保全が地球規模の炭素循環の上からも重要視されている。

しかしながら、植物プランクトンなどによって固定された炭素の多くは、すぐに分解されてしまうため、地球規模の炭素固定への寄与は大きくないとされている(沈降フラックスが少ない)。これは、二酸化炭素固定手法としての鉄散布実験で、一時的な植物プランクトンの増殖は認められるものの、沈降フラックスが小さく、炭素固定としてはあまり期待できないとされたのと同様であるが、まだ未解明な点も多い。(2019年1月作成)

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