生物槽の不具合
登録日: 2011年10月25日 最終回答日:2011年12月21日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物
No.37599 2011-10-25 15:59:01 ZWle324 フク
生物槽の不具合に困っています。
状態としてはSV30が50程度、MLSSは10000程度、上澄み水は濁ってピンフロックがすごいです。
しばらく待ってもピンフロックが沈む気配はないです。
透視度もほとんどゼロに近い感じです。
曝気はかなりしていて、DO値は1〜2r/リットルですが、効率よく酸化分解されている気配はなく、BOD、CODの分解が進みません。
原水BOD10000で処理水が数千くらいまでしか落ちません。
曝気槽のORPを測ってもプラスではなくマイナスを示します。
負荷を軽くしても状態は変わらず、一向に改善の兆しが見えてきません。
生物爆気槽の上部のフタ等にトロっとした片栗粉を固めたようなゼリー状の物質がよくできています。
顕微鏡で見ても活性汚泥の指標生物はほとんどいません。
種菌も投入しているのですが、何かに淘汰されているようでまったく増える様子はなく、大量投入しても数週間後には元通りになってしまします。
情報不足で申し訳ありませんが、この状態の原因が予測つく方、対策が思い当たる方はアドバイスお願いします。ホントに困っています。
色々な調査はしているので、ほかの数値や状況が知りたい場合はおっしゃって下さい。
よろしくお願いします。
No.37703 【A-11】
Re:生物槽の不具合A
2011-11-22 20:51:41 mashi-nana (ZWlba51
→回答; BODは一万mg/リットルとは、5日間BODのことですか?ご存知かと思いますが、BOD5で得られる値は、一般下水では全BODので60%〜75%と言われています。事業場廃水ではより低いパーセントしか得られないことが多々あります。油脂製造業や皮革事業場など多くの事業場廃水では、有機物濃度をBOD5で判断するのは危険です。BODを12日間もしくは20日間値を参考にしたり、5.12.20日間BODに基ずいてBODmaxを算出してください。もしくはCOD−Crなど全有機物を測定して処理の参考にしてください。
ピンフロックは、たぶん、未処理の有機物を多量に吸着している活性汚泥です。ピンフロックが処理水に混入してくれば、BODは高くなると思います。処理水をろ過してからBODを計ってください。それが処理が正常におこなれている時のBODに近くなるはずです。
「効率よく酸化分解されている気配はなく、・・・」
→回答;活性汚泥が時間あたりに酸素を消費する速度(酸素利用速度Rrもしくはその係数Kr;下水試験方法p274)は、活性汚泥の活性の目安の一つです。まず、@最終回路混合液のRrを計ってください。この値が高ければ、処理時間が足りません。(Rrを測定する際は下水試験方法の方法でなく、活性汚泥を密閉容器中に半分容量を入れて、カクテルを作る要領で15秒ぐらい強力にシェイクしてDOを高めてください。)
次に、A最終回路の活性汚泥に少量の流入水を添加して、Rrを計ってください。この値が高ければ、活性汚泥中に流入有機物を好気的に資化出来る細菌群が存在します。処理不足が疑われますので、DOを上げ、処理時間を増やせば、処理水質は回復するように思います。
得られたKr値が極端に低ければ、活性汚泥中に好気性細菌が少ないことが考えられます。全有機物に基づいて、処理システム全体の見直しが必要になるかもしれません。
「曝気槽のORPを測ってもプラスではなくマイナスを示します。」 →回答;Rrが高ければ、DOが多少あってもORPは必ずしもプラスにはなりません。ORP値が-50前後なら気になさることはありませんが、バッキしている上部を測定していて、-100前後でしたら、槽全体は嫌気状態と思われます。その場合は、好気性細菌は増殖しにくいかもしれません。
→Bに続く
No.37704 【A-12】
Re:生物槽の不具合B
2011-11-22 21:01:24 mashi-nana (ZWlba51
「生物爆気槽の上部のフタ等にトロっとした片栗粉を固めたようなゼリー状の物質がよくできています。」 →回答;ゼリー状の物質は、たぶん好気性の細菌が生成したバイオフィルムもしくはスライムだと思います。バッキにより飛び散った活性汚泥が蓋についた?か、蓋表面で増殖したものでしょう。
「顕微鏡で見ても活性汚泥の指標生物はほとんどいません。」
→回答;一般下水の処理では、ばっき槽内に好気性雰囲気の場所があれば、ピンフロック中に螺旋菌や桿菌などが見られます。鞭毛虫類のボドやオイコモナス類、繊毛虫類のウロネマやキクリディウムも見られるかもしれません。このような生物が見られれば、負荷を下げれば、処理は良好になると思います。また、ベギアトアしか見られなければ、かなり負荷を下げて、DOを上げて運転する必要があります。
しかし、事業場排水の処理施設では、細菌以外の微生物がほとんど出現しない場合もあります。鏡下では糸状細菌やフロック状細菌、および多少の鞭毛虫類が見られるだけのことも多いです。そうした施設では、細菌相を50倍〜400倍で順次チェックして運転の参考にします。
そうしたフロック状の細菌や糸状細菌、小型の微生物も存在しないなら、酸素供給量が全く間に合わない状態と思われます。嫌気状態の活性汚泥は、硫化物の影響で黒色を呈しています。400倍以上で初めてコンマ状の桿菌、球菌などが動いているのが見られます。こうした活性汚泥は腐敗が進んできています。良好な処理結果を期待することはできません。
「種菌も投入しているのですが、何かに淘汰されているようでまったく増える様子はなく、大量投入しても数週間後には元通りになってしまします。」
→回答;種菌投入が有効なのかどうか、質問内容からは判断しようがありません。ただ、何を行おうと、この反応槽では、好気性雰囲気(ORPが+100以上、DOが3r/リットル以上)の個所を十分に確保しなければ、好気性細菌は増殖しないように思います。
以上です。
質問者は、水質一種をお持ちとのこと。優秀な方とお見受けして、少し専門用語を入れさせて頂きました。
No.37818 【A-13】
Re:生物槽の不具合
2011-12-21 13:19:11 瓶寧 (ZWle255
原水のSS分が沈降したくらいの処理じゃないですか。汚泥貯留槽にしてないですか。
少々経験のある者から少し。一挙に汚泥の入れ替えも難しいなら、まず、ブロアーの圧のチャートを汚泥濃度と比べる。各散気装置近くでDOが出るのを確かめる。あとはできるだけ余剰汚泥を引き抜いて(確実に固形物量で)許容できる処理水までMLSSをさげていく原水はできるだけ少なくする。処理水が我慢できなくなったら、少しずつMLSSをあげていく
という方法で活性汚泥を新生してく。このような高濃度の長時間処理方式ではやったことないので、十分検討してみてください。