汚泥引抜き量の調整について
登録日: 2007年01月10日 最終回答日:2007年01月18日 水・土壌環境 水質汚濁
No.20321 2007-01-10 06:32:09 mizumizu
下水処理場において、MLSS濃度を2500mg/lから1500mg/lへ変更する場合の汚泥引抜き量の調整はどの様な計算により求めればよいでしょうか。
できれば、標準法と嫌気好気法のそれぞれの推定方法を教えてください。
反応槽流入量 10000m3/日
反応槽容量(標準法)
好気槽 5000m3
(嫌気好気法)
嫌気槽1300m3
好気槽3700m3
現状汚泥引抜き量 180m3/日
余剰汚泥濃度 8000mg/l
反応槽流入SS 100mg/l
返送率 40%
No.20464 【A-12】
Re:汚泥引抜き量の調整について@
2007-01-16 22:18:10 マッシー・ナナ (
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 生物処理に係わる方なら誰しも、ATのMLSSを大きく下げなければならない場合が有ると思いますが、その場になると、ベテランであっても、短期間にMLSSを下げる経験は少ないので、結構あわてると思います。このQ&Aで、他の方も回答を期待しているかもしれませんので、MLSS低下手法を話し合っても良いのではと思います。
1.MLSSを大きく下げなければならない場合の一つは、糸状性微生物などの障害微生物の優先発生です。通常異常が生じる以前に顕微鏡で生物を観察して適切に運転を見直し、対応しますが、一端異常が発生してしまったら、障害微生物が繁殖出来ないMLSS濃度まで急激に低下させ、汚泥を作り直す手法をとることが有ります。今回の場合、MLSSが2500mg/Lから1500mg/Lに下げるには、系外に搬出されなければならない汚泥量は、濃度が変わらないとしますと、おおよそ800m3です。これを短期間(SRT以下の期間内)に返送汚泥ポンプで引き抜けば良いと思います。→続く
No.20466 【A-13】
Re:汚泥引抜き量の調整についてA
2007-01-16 23:35:08 マッシー・ナナ (
AT内の汚泥バランスが保たれていると仮定して、AT外の汚泥量は不明なので、無視して、SRTをAT内の汚泥と余剰汚泥の比に単純化して考えると、SRTはおおよそ9日となりますので、真のSRT(系全体)は12日内外です。処理水質を低下させないようにMLSSを下げるには、経験上SRTの倍程度の日数をかけて汚泥をゆっくり引き抜く必要があると思います。この場合は日数がかかるので、数日おきに処理水とMLSSの動向を見ながら微調整します。まずは余剰汚泥量を最大40m3に増やして220m3で引き抜いて様子を見ます。これ以上短期間にMLSSを下げようとすると、微生物の変動のよるBOD負荷がSRTよる微生物種の変化より早くなり未処理部分が生じ処理水が悪化することもあります。また、もし、軟着陸できたとしても、流入水質から考えると、同一季節にこれほどMLSSを下げるのは結構問題があります。生じる現象としては1.MLSS下げた後には、ほぼ硝化が止まると思われます。2、完全に生物相が変わるので、MLSS低下の過程で、処理水は白濁します。3.汚泥の自己消化が少なくなり、発生汚泥量は増えます。4.処理水質は低下します。などと思われます。・・・・・・以上です。
ところで、蛇足ながら質問者のバルキングの原因細菌種名が明記されておりません。AO方が有効かどうか?ちなみに放線菌やマイクロスリックスなどはAO法では解決困難な場合があります。
回答に対するお礼・補足
ありがとうございます。
糸状菌、放線菌等は今のところ発生していないようなのです。
ただ、現状として、ATにおいて、SVが80〜90、SVI300〜400程度の状態であり、沈殿池での汚泥の巻上げも生じています。
現在、返送率を80〜90%前後ので行っています。
今更ですいませんでしたが、反応槽流入BODは150mg/l前後です。
No.20468 【A-14】
Re:汚泥引抜き量の調整について
2007-01-16 23:38:53 風林火山 (
mizumizu様、マッシー・ナナ様15日付の私の回答の中程に書いた文章につきましては削除しますので無かったものと思って無視してください。
回答に対するお礼・補足
まだまだ、勉強不足でありますが、いろいろと、ご教授頂きありがとうございます。
No.20472 【A-15】
Re:汚泥引抜き量の調整についてB
2007-01-17 10:41:34 マッシー・ナナ (
mizumizu様、微生物バルキングは障害微生物の優先によるものなので、優占種を同定しなければ、処方箋の作成することは難しいです。優占種が同定する力量がなければ、バルキング処理剤のメーカーに相談して適切な処方箋を貰ってください。塩素滅菌法は昔から使われる対処法です。表面積の大きいtype02Nやtype1851などの糸状性細菌には有効です。ただ、フロックの表面の細菌も同時に滅菌しますので、Rrが下がり、空気量を調整しないと自己酸化が進み汚泥は解体します。死滅した微生物と解体したピンフロック汚泥が処理水の混ざり、最悪、透視度が数センチまで悪化します。MLSSを低下させる対処法は、活性汚泥のフエーズ(生物相)を変えて、優先微生物の増殖を減らすものです。基本的にはMLSSを増減変化させることにより、フエーズを変えることなので、それなりの微生物の知識がないと制御できません。場当たり的な対応では異常な優占細菌の種類を変えるだけで処理水の改善につながりません。AO法はtype02Nなど好気性下で溶解性BODを利用する糸状性細菌種に効果的な手法です。実は、今回の質問の要因となった現象は本当に微生物によるバルキングなのでしょうか私も半信半疑で書いてます。mizumizu様のコメントからは不明なのです。亜硝酸濃度(8mg/L以上)の上昇による汚泥解体、放線菌による発泡現象、日本では珍しいのですがマイクロスリックス パーシレバによる発泡・バルキングなど他にも色々と考えられます。他の方からはmizumizu様のコメントに対して少しブーイング気味な意見もありましたが、mizumizu様の活性汚泥の知識レベルで下水処理場の管理を任されている方が実は大多数と思います。私は下水処理技術の研修関係には全く疎いので、適切なアドバイスは出来ませんが、この件を発憤材料に、将来はQ&Aで回答できるようになるように努力されることを望みます。
No.20479 【A-16】
Re:汚泥引抜き量の調整について
2007-01-17 13:56:03 クマムシ (
実際に終沈での個液分離に障害が出て処理水が悪化しているのでしょうか?
それとも、SVIの値が高いだけで、とりあえずは良好な処理水が得られているのでしょうか?
回答に対するお礼・補足
ありがとうございます。
糸状菌、放線菌等は今のところ発生していないようなのですが、現状として、ATにおいて、SVが80〜90、SVI300〜400程度の状態であり、沈殿池での汚泥の巻上げも生じている状況です。
No.20520 【A-17】
Re:汚泥引抜き量の調整について
2007-01-18 21:14:51 クマムシ (
それらのことは、ここで質問する際に、いちばんはじめに提示しなければならない情報です。
対応としては、余剰汚泥量を増やして、空気量を下げるだけです。
たとえば、余剰汚泥量を今までの2倍に増やして、DOなら設定値をたとえば2.0mg/lだったのを1.0mg/lにするとか。あとは、活性汚泥と相談しながら調整するのです。
それで、再確認しなければいけないのは、下水処理において一番大事なのは、公共水域へ排水する処理水が良好かどうかです。
SVIが高いとか、汚泥の巻き上がり(流出しない範囲での)があるとか、過曝気であるとか、phが低下(基準値内での)するとか、それらはあえて極端に言えば二次的な問題であって、放流水が良ければすべて良しなのです。
再確認します。
処理水は良好ですか?
良好であるなら、なぜ対策が必要なのですか?
問題があるならどのような問題ですか?
汚泥が流出しているのですか?
phが5.8以下なのですか?
BODが20以上なのですか?
mizumizuさんが観察できる範囲内でよいですから、問題と感じることを全部洗い出してみてください。
次に、mizumizuさんが担当している処理施設ではどのような操作が可能かを洗い出してみてください。
たとえば、汚泥の巻き上がり対策には流入水量のピークカットが有効ですが、調整槽が無ければ、管内貯留や使用していない池での貯留で、ある程度対応可能です。また、使用していない最終沈殿池があるのなら、そちらへもAT流出水を流すことで汚泥の流出を減らせます。
ちなみに、これらのことは、すべて「維持管理指針」に書いてあります。