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環境Q&A

上乗せ基準って 

登録日: 2005年02月13日 最終回答日:2005年03月17日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物

No.9509 2005-02-13 09:14:54 技術管理者

「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の運用に伴う留意事項について」の
T(第一条第一項)の一七 浸出液処理設備(第五号ヘ)の中ほどに下記の記載があります。

また、当該排水基準は、その規定の仕方により、水質汚濁防止法第三条第三項に基づく上乗せ排水基準の適用はないこと。

これは、そもそも最終処分場が水質汚濁防止法上の特定施設ではないことから自治体による上乗せ基準の設定はできないという意味でしょうか。
つまり、最終処分場の維持管理や廃止の際には、自治体の上乗せ基準が適用されるということはないということですか?

すいませんがご教示願います。

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No.9510 【A-1】

Re:上乗せ基準って

2005-02-13 22:21:50 JK

平成13年3月以前は、水質汚濁防止法の排水基準を放流水の基準として引用する規定になっていました。
その頃は、水質汚濁防止法の関連規定が廃棄物処理法に適用されるかどうかという問題があったのでしょう。
単に排水基準を準用するだけで、水質汚濁防止法の規定を適用するものではなく、上乗せ基準は適用されないというものだったと思います。

しかし、現在は廃棄物処理法で独自に放流水基準を定めているので、水質汚濁防止法との関係はほとんどないことになりました。


旧規定 平成13年3月以前
ヘ 保有水等集排水設備により集められた保有水等の(水面埋立処分を行う埋立地については、保有水等集排水設備により排出される保有水等。以下同じ。)に係る放流水の水質を排水基準を定める総理府令(昭和46年総理府令第35号。以下「排水基準令」という。)第1条に規定する排水基準(当該排水基準に係る同令別表第2の備考2規定を除くものとし、同表の上欄に掲げる項目のうち、次の表の上欄に掲げる項目については、同表の下欄に掲げるとおりとする。)及び…

現規定
ヘ 保有水等集排水設備により集められた保有水等の(水面埋立処分を行う埋立地については、保有水等集排水設備により排出される保有水等。以下同じ。)に係る放流水の水質を別表第1の上欄に掲げる項目ごとに同表の下欄に掲げる排水基準及び…

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございました。
現在は廃棄物処理法で基準を定めていることから、水質汚濁防止法との関係はほとんどないということですね。
これで留意事項の説明の意味合いが良くわかりました。

No.9516 【A-2】

Re:上乗せ基準って

2005-02-14 00:42:02 循(じゅん)

>つまり、最終処分場の維持管理や廃止の際には、自治体の上乗せ基準が適用されるということはないということですか?

一般廃棄物管理型最終処分場の維持管理の基準及び廃止の基準における放流水の取り扱いについて、
「維持管理計画においてより厳しい数値を達成することとした場合にあつては、当該数値に適合していること。」という文言があります。
処分場設置者が自ら定めた維持管理計画書の放流基準(自主管理基準)を満たす必要があります。
自治体が設置する最終処分場では放流先河川等の確保のために、法よりも厳しい自主基準を設定しているケースがあると思います。その場合にあっては、自主管理基準が優先されます。
当然、民間処分場であっても、産業廃棄物管理型処分場であっても同様です。

例えば、廃止確認時の保有水のBODが15mg/lとします。環境省令のBOD基準は60mg/l(水質汚濁防止法の廃棄物処理施設が20mg/l)とした場合、廃止できそうです。しかし、自主管理基準が10mg/lとして設置・維持管理していた場合にあっては、廃止基準を満たしていないことになります。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございました。
結局、自主基準(上乗せ)が適用されるんですね。

No.9528 【A-3】

Re:上乗せ基準って

2005-02-14 18:32:50 循(じゅん)

廃棄物処理施設を設置しようとすると、県によっては「事前協議制度」という手順を踏まなければなりません。その際にいろいろと指示されるようです。
ネット検索で見つかった情報を紹介します。

群馬県の廃棄物政策課サイトによると、埋め立て処分場を設置しようとした場合に、群馬県知事が定めた維持管理基準(放流水の基準等)を指示されるようです。
「群馬県廃棄物処理施設の構造及び維持管理等に関する基準(昭和60年12月11日)」

これを「上乗せ基準」ととるか、「行政指導の知事意見」ととるかは判断がわかれるところでしょう。
(詳細は情報発信元(群馬県庁)に確認していません)

群馬県庁産業廃棄物情報
http://www.pref.gunma.jp/d/07/sanpai_jouhou/

事前協議規定は群馬県庁の例規集に掲載されています。
http://www.pref.gunma.jp/a/05/d1w_reiki/index_026.html


回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございました。

No.9530 【A-4】

Re:上乗せ基準って

2005-02-14 20:43:27 JK

水質汚濁防止法の上乗せ基準の適用については、過去の問題となってしまいましたが、実際に上乗せ基準を設定できるかどうかについては、設定できるのではないかと思いますが、昔はだめだったようです。
条例と規則との関係など、知らないことが多いので結論は出せませんが、地方分権がらみで少し変わったのではないかと思っています。

 (地方公共団体の条例制定権)
問166 産業廃棄物の処理基準より厳しい基準を地方公共団体の条例で定めることができるか。
答166 廃棄物処理法には、かかる条例委任の規定がないので、そのような基準を地方公共団体において定めることはできない。(昭47.1.10環産2問3)

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございました。
法的に上乗せ基準がかけられるのか(有効なのか)、大分手がかりがつかめてきました。もう少しいろいろ調べてみたいと思います。

No.9934 【A-5】

Re:上乗せ基準って

2005-03-16 05:53:58 taka

知っている限りの情報ですが、お役に立てば。

○廃棄物処理法について
・一般廃棄物関係は自治事務ですが、産廃施設は法定受託事務です。従って、上の「地方公共団体の条例制定権」に変更はありません。
・上のQAにもあるとおり、廃棄物処理法では、横だし・上乗せを認めていません。つまりh、法的拘束力のない行政指導・協定という形で、いろいろ基準を作ることはできますが(上の群馬県の例は、まさにこの形)、その違反行為をもって、廃棄物処理法上の行政命令は出せません。出しても、不服審査請求をされたら、国で覆ると思います(そのような例はかなりあります)。

○水質汚濁防止法について
・最終処分場は特定施設ではないので、当然のことながら、「水質汚濁防止法第三条第三項に基づく上乗せ排水基準の適用はない」ということになります。
・一方、水濁法では、横だしが認められている(法29条第3号)ので、条例で最終処分場だろうと何だろうと、好きな施設に対して水質規制を行うことは可能だと思います。その場合、この条例違反をもとに行政命令を出せます。
・ただまぁ、長い歴史の中で、他方によって規制されている施設(処分場など)に対して、水濁法条例をかけるのは、あまりやられていないはずです。

回答に対するお礼・補足

つまり、廃棄物処理法の基準(例えば排水pH)より厳しい行政指導上の基準がある場合、仮に超過したとしても法の基準さえ満たしておれば違法状態ではない、ということなんでしょうか。

No.9959 【A-6】

Re:上乗せ基準って

2005-03-17 13:05:42 taka

その通りです。行政指導とは、法律上は単なる「お願い」でしかありません。対して、行政処分は、なんらかの法的根拠に基づいて(法律or条例)行うものであり、普通、それを無視したら、罰則が待っています。

なので、よく新聞なんかで「○○に対して××省が行政指導を行った」とありますが、行政指導なんて言葉はかっこいいですが、別にほっておいても、法律的にはかまいません。訴えられたりするわけではないですからね。

ただ、役所が全く潔白な人に対して行政指導をするわけではなく、やはり、行政処分とまでの違法行為ではないが、社会通念上よくないだろう、という場合にやる手段が行政指導なので、まぁ余裕があるなら守っていたほうが、社会的によろしいのかなと。

こんな感じで、イメージはつかめるでしょうか?

回答に対するお礼・補足

フォローありがとうございます。
行政指導(上乗せ)を守るために数億円の費用がかかるので、厳しい決断を迫られています。

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