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環境Q&A

廃棄物混ざり土の処理について 

登録日: 2005年01月28日 最終回答日:2006年07月16日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.9261 2005-01-28 04:26:52 みやび

建設工事をしており、廃棄物混ざり土に遭遇しました。

現段階では、汚染土壌として考え、掘削→不溶化(処分場の要望により)→管理型最終処分を本線だと思われます。
しかし、コスト面で高価であることがネックとなり実現していません。発注者の意向として浄化措置は絶対で、かつ更なるコストダウンの提案を求められています。

各種文献(土壌汚染対策法、建設リサイクル法、建設工事で遭遇する地盤汚染対応マニュアル)を斜め読みしたところ、3つの対策方法が考えられました。妥当かどうか教えて下さい。

1.汚染土壌として考え、指定区域ではないので環水土第24号に基づき、掘削→不溶化→管理型最終処分場に搬入。

2.汚染土壌として考え、掘削→不溶化として、不溶化をしていることから安定型最終処分場に搬入。

3.廃棄物混ざり土は廃棄物であるため廃掃法に基づき、不溶化剤で適正処理して、盛土材等へリサイクル。
※土壌汚染対策法上ではモニタリングを要する不溶化埋め戻し措置と同等のことに相当すると考えられますが、廃掃法上のリサイクルと考えればモニタリングをする必要はなくなってしまいます。(単なる汚染土壌の拡散とも考えられますが。)廃掃法の中間処理の免許が取得できれば可能なのでしょうか。

以上、よろしくお願いします。

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No.9269 【A-1】

Re:廃棄物混ざり土の処理について

2005-01-28 19:34:53 くろ

 最も安価な方法は、“掘り返さないで残置する”ことですが、廃棄物処理法の施行以前に埋められた廃棄物であることが必須条件です。ただし、後々の土地利用に制約を受けますし、廃棄物処理法の改正によって、廃棄物の埋まっている土地は“指定地”になるかもしれません。

 発注者の意向が浄化ということなら、みやびさんの考えた方法では1の方法しかないと思います。ただし、みやびさんが3の方法で書かれているとおり“廃棄物混ざり土は廃棄物”なので“汚染土壌”として扱うことは違法で“廃棄物”として適正処理しなければなりません。

 さて、2と3の方法ですが、どちらも違法処理ではないですか?

2の方法:
 不溶化するということは有害物質が溶出しているということですよね。不溶化しても再溶出の恐れがあります。安定型処分場には遮水構造がないので不溶化したものを埋立てることは危険です。不溶化したものは、性状が安定している産業廃棄物ではないので安定型処分場に埋立てることはできないと思います。
 掘削した廃棄物の種類は、いわゆる安定5品目ですか?安定型処分場に埋め立てられる廃棄物は、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、建設廃材、ガラスくず、陶磁器くずの安定5品目です。

3の方法:
 “廃棄物混ざり土は廃棄物”です。客観的な有価物にならなければリサイクル資材として自ら利用することもできません。盛土材として売れるのですか?
 どんな処理をしても廃棄物を埋め戻すことは違法です。試掘調査で掘り上げた少量でも埋め戻せば違法となります。


 1の方法でコストダウンが図れるかどうかは廃棄物の内容にはよります。混合状態で処分するより分別して品目毎に処理した方が分別手間を含めても安価になる場合もあります。廃棄物と土壌が分別できて、土壌が汚染されていなければ土壌は再利用できるでしょう。土壌が汚染されていても廃棄物より安価に処分できると思います(もちろん汚染状況によりますが)。ただ、廃棄物と土壌を完全に分離することは難しく、“見た目で廃棄物が認められない”とか“熱しゃく減量5%以下” など条件が厳しく自治体によって判断が異なります。

 いずれにせよ、詳しくは工事現場のある自治体の“廃棄物を管理する部署”にご確認ください。

回答に対するお礼・補足

くろさま
丁寧な解説ありがとうございます。
さて、2の方法ですが、「環水土第25号」には含有量基準のみ満足しない土壌は安定型で良いとの記述があったものですから可能かとも思いましたが、やはり不溶化して溶出しなくなったものは管理型でないと駄目なのですね。

そこで、本線は1の方法として、3の方法については自治体に問い合わせます。
ありがとうございました。

No.17505 【A-3】

Re:廃棄物混ざり土は適正処理

2006-07-16 09:38:17 汚染原因者負担の原則

>以上、よろしくお願いします。

下記の対策が参考になるかも知れません。

2006年4月26日

セイコーエプソン株式会社敷地内に埋設されていた廃棄物の処分にかかる王子製紙(株)への損害賠償請求訴訟について

 セイコーエプソン株式会社は、当社広丘事業所において地中より産業廃棄物が確認された際、その適正な処理を進めるとともに、土地の前所有者である王子製紙株式会社(東京都中央区銀座4−7−5、社長:鈴木正一郎氏)に対して、その処理費用を請求し、協議を続けてまいりました。
【経緯】
 本件の対象となる土地は2000年7月に当社が王子製紙(株)より購入したものです。
 2004年7月、当社は、砒素に関する地下水調査に際して、地下水観測用の井戸を掘削したところ、汚泥状の廃棄物が確認されました。中略
 しかしながら、当該廃棄物等の調査・処理費用の負担に関する協議において、当社と王子製紙(株)の見解が相違し、具体的な費用負担につき合意に至ることができなかったため、今般、やむを得ず訴訟を提起することとした次第です。

【廃棄物の内容】
・ 本件土地において、地表から深さ約0.5mから2.5m付近までに汚泥、インキ、焼却灰、ビニールなどの廃棄物が確認されました。
・ 廃棄物および土壌を分析した結果、これらからダイオキシン、PCB、鉛、フッ素、六価クロム、ホウ素、ヒ素が基準値を超えて検出されました。

【処理方法】
・ 本件土地に埋設されていた廃棄物は掘削し、現場にて廃棄物、礫、土壌に分別したうえで、廃棄物については廃棄物業者に処理を委託するなど適正に処理いたしました。また、汚染土壌につきましては汚染土として廃棄物処理と同等に適正に処理いたしました。
・ ダイオキシン・PCBが含まれる廃棄物についてはテント等で覆い、掘削工事および適正な対応を行いました。なお、PCBについては王子製紙(株)に引き取っていただいております。

回答に対するお礼・補足

解答ありがとうございました。
不要化して管理型最終処分場へ搬出し、無事に工事が完了しました。
他にも似たような事例があるんですね。勉強になりました。

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