環境税は何に使うのですか?
登録日: 2004年11月18日 最終回答日:2004年12月03日 環境行政 その他(環境行政)
No.8503 2004-11-18 01:50:05 環境省おかしいぞ
石油特別会計が今年から従来管轄していた経済産業省と環境省の共管になりましたが,その資金でやっているのがほとんどいつになったら役に立つのか判らない,イメージだけの技術開発ではないかという意見が出ています。来年からは枠を大幅に拡大して,その分経済産業省枠が大幅に削減されて,わけのわからない補助金になるような印象を受けているのは私の僻みでしょうか? 実際,愛・地球博でのバイオマスプラスチックの事業予算も大幅にカットされています。
ところで環境税が声高に叫ばれていますが,この税金,入り側でコストアップを吸収するため,原単位改善の駆動力になるだろうというのはわかるのですが,出口側はいったい何に使うのでしょうか? 一般的な話ではなく具体的なプランをご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えていただきたいのですが。環境省のお役人の権限を増やす資金になるだけなら,ぜひやめていただきたいのですが。
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No.8572 【A-1】
Re:環境税は何に使うのですか?
2004-11-25 11:01:51 君山銀針 (
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=8875&oversea=0
http://www.env.go.jp/policy/tax/041105/index.html
参考 税収の使途
http://www.env.go.jp/policy/tax/041105/04.pdf
この案は、環境対策だけに使う目的税ではなく、環境以外の事業にも使う一般財源として想定されており、温暖化対策に3,400億円、環境以外の雇用促進、企業活力の維持・向上などに1,500億円使うとしています。
また、温暖化対策分の中でも2割程度を地方公共団体に税収を配分するとしており、環境省の権益確保策という批判への配慮を相当程度していると思われます。
ただし、この税制案に対しては配慮のしすぎで焦点がぼやけてしまったとの批判もあります。
たとえば環境NGOが考えていた案
http://www.jacses.org/paco/carbon/index.html
は税収を環境対策に使うより、課税自体の化石燃料の消費抑制効果を重視したもので、今回の案または欧州などと同様一般財源化するとしていましたが、今回より高率の税率(炭素1トン当たり6,000〜15,000 円)を想定しています。
一方、環境省の環境税関係の検討会報告書などを踏まえた当初案も課税を受け入れやすくするため税率を低く設定する反面(それでも炭素1トンあたり3,400円が有力とされていたので今回案よりは高い)、使途は基本的に温暖化対策に使うとしていました。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=5211
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=4316
今回の案は今までの案より税率を低く設定ししかも一般財源化しているので、消費抑制効果(税率)も環境対策費捻出効果(使途)も弱くなっています。さらに鉄鋼製造、エネルギー多消費型製造業、農林漁業、中小企業などに特例を設けているので、環境対策のインセンティブを付与するための税という意味ではかなり存在感が薄い内容なのではないかと思います。
回答に対するお礼・補足
丁寧な回答ありがとうございました。
お礼が遅れて失礼いたしました。
いくつか気がついた点を述べさせていただきます。
1.あれほど騒ぎ立てておきながら,きちんとした形で発表したのは11/5とは,驚きです。審議会にばかり頼るのではなく,国民に対して政策案を十分に説明した上で各方面と調整すべきではないでしょうか?
2.一般財源というのは要するに環境省だけではないにせよ官僚が自由に配分を決めることのできるお金ということではないでしょうか? 配慮した相手は国民ではなく,他の省の官僚なのですね。
環境税というからには環境の維持改善に使うべきであると思うのですが。
3.主として温暖化対策に使うといいますが,具体的にどういうものに使うのか先に議論しておくべきではないでしょうか? 学者の当てにならない予想ではなく,根拠のはっきりとした,途中でしっかりとチェックのできる技術開発に限るべきではないでしょうか? このままでは石油特会の二の舞です。
4.しっかりとした技術開発の裏づけもなく,マイナスを防ぐためのインセンティブが十分に効果をあらわすなどと考えるのはどうかしているのではないでしょうか?
No.8679 【A-2】
Re:環境税は何に使うのですか?
2004-12-03 14:04:31 君山銀針 (
・なお最終案として発表したのは11月5日ですが、
環境税(温暖化対策税)の検討状況について http://www.env.go.jp/policy/tax/kento.html
というページをみればわかるとおり、環境省での審議の経過については、議事録を含めこれまでの情報が公開されており、中間報告をまとめるたびに一般からの意見募集も行われていましたので、関心がある人には情報は入手できる状態になっていました。
(ただし、中間報告は慎重な書き方がされており、環境省がめざしたい案を示すと言うよりは課題を列挙した印象が強いので、報告を読んだだけでは方向性がわかりにくかったのではないかと思いますが)
・使途については、環境税では課税自体の消費抑制効果が重視されているため、税率を高く設定できれば、税収を環境目的だけに使わなくてもよいのではないかという議論があります。
http://www.env.go.jp/earth/report/h13-05/07.pdf
にあるように、ドイツ、イタリア、イギリスの環境税も一般財源化されていますし、一般財源化されていても環境目的に使うことは可能ですので、NGOなども「税率を高くするかわりに一般財源化」としている案を出しているわけです。
また、http://www.env.go.jp/council/16pol-ear/y162-10/mat02.pdf にあるように、政府の地球温暖化対策予算として「新幹線鉄道整備」「原子力開発利用の推進」など環境上問題がないといえないプロジェクトでかなりの額がさかれている現状から、たとえ「目的税」にした場合でも、結局はこういった項目に予算が流れてしまう可能性も指摘されています。NGO案はこのことを踏まえて、一般財源化して使途の内容を議論・精査したほうがよいと判断したところもあるようです。
このへんは制度をトータルに評価する必要があると思います。
なお環境税についてわかりやすい参考文献としては
環境税とは何か / 石弘光著. -- 岩波書店
環境税 : 税財政改革と持続可能な福祉社会 /足立治郎著 築地書館
などがありますので、もし興味があるようでしたら
http://www.env.go.jp/policy/tax/kento.html 掲載の報告書とあわせ、読んでみることをおすすめします。
回答に対するお礼・補足
再び丁寧なコメントありがとうございました。
いつになることやら分かりませんが、ご提示いただいた資料を読んで,改めてじっくりと考えてみたいと思います。
一般財源とすることがいいのかどうかということについては,税というものに対する考え方(極論すれば必要悪と考えるか,積極的に評価するのか)の問題であると考えていますので,ここではこれ以上の議論を差し控えさせていただきます。ただ,これをもし一般財源とするなら,消費税と並ぶ大型の間接税となりかねないということははっきりと認識しておくべきだと考えています。少なくとも運輸産業(飛行機,バス,タクシー,鉄道)では消費者に転嫁される恐れがあります。そして現時点では運輸産業が京都議定書の目標達成について最も多くの問題を抱えています。また電力も同様でしょう。これらについて転嫁を避けるため免税としたりすると,単なる製造業いじめにしかなりません。このこともよく国民に知らしめるべきではないでしょうか。
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