合併浄化槽での不具合
登録日: 2004年03月25日 最終回答日:2004年04月03日 水・土壌環境 水質汚濁
No.5402 2004-03-25 18:59:52 ばんぶる
現在、当社の2000人対象合併処理浄化槽(長時間ばっき+接触ばっき処理)において次のような不具合があります。ばっき槽における水素イオン濃度が非常に低く、はっきりした原因がわかりません。なお、流入のpHは8.0、流量調整槽では6.8、ばっき槽で3.8です。現在は中和処理を行って放流しておりますが、まずは原因を追究しないと対策できないこともあり、いろいろ調べているのですがこれといった情報は得られていません。活性汚泥の状態からバルキング等を疑っているのですが、MLSS濃度は6000、SVIは120ですので、このあたりでは正常であるかと判断されます。この原因及び対策方法をご存知の方は情報を頂きたくお願い申し上げます。
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No.5404 【A-1】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-25 20:46:56 aqua-play (
接触ばっきは三次処理槽になっているのでしょうか?
一般的な汚水でpHが下がる原因は合併処理浄化槽の計画能力より流入水量が少ない場合は汚水中の窒素分の硝化反応によりpHがさがる(過ばっ気)ことがよくあります、この場合はブロワーの送風量に注意が必要です
ブロワーがインバーダー等で回転制御をして送風量をばっき槽のDOを考慮にいれ調節するか調節機能の無いブロワーであればエアーを抜くなどして調節します
いちばん簡単なのはブロワーがタイマー運転できる場合は間欠ばっ気がいいと思います
具体的な運転方法は流入特性によってもちがいますが流入の無い深夜は停止時間を長く日中は停止時間を短めに、最初は停止時間を少な目にして水質をみながら停止時間を多くするのがいいと思います。
もしまとはずれなことを書いていたらもっとその施設の情報をください、たとえば団地等の浄化槽で計画処理能力 m3/日で実際は?計画水質(流入・放流)で実際は?と云うようなことです
回答に対するお礼・補足
早速の御回答ありがとうございます。おっしゃるとおり三次処理です。その他の情報ですが、社内の浄化槽で計画処理能力220㎥、現状処理水量が平均56.4㎥/日で最大117㎥、CODが平均10.3r/Lで最大20.4r/Lという状況です。よろしくご教示下さい。
No.5410 【A-2】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-26 09:21:36 papa (
対処方法は脱窒を組み合わせた運転工程に切り替えることです。
提案1
長時間ばっき槽をタイマーで間欠ばっきとする。
(ブロワー発停時の電気トラブル、散気管の閉塞対策必要)
提案2
散気式を機械撹拌方式に変更する。
水中エアレーターを採用すれば無酸素有酸素の比率を自由に設定できます。脱窒によってpHを目的範囲に制御することはきわめて容易です。
後段に接触ばっき槽が付置されているので、長時間ばっき槽での運転はかなり思い切った手法がとれると思います。運転チェックは放流水中の窒素の存在形態(アンモニウムイオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン)の比率を確認してください。アンモニウムイオン、亜硝酸イオンはできるだけ少なくなるように、硝酸イオンは10mg/l以下を目標にすればpHは6〜7の間になると思います。
回答に対するお礼・補足
早速の御回答ありがとうございます。適切な御提案で大変参考になりました。また何かございましたら、よろしくお願い申し上げます。
No.5414 【A-3】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-26 19:15:45 aqua-play (
エアー抜きの管は空気中に逃がすと吐き出し音するので水面から少し下がったところに逃がします。
ばっ気槽のDOが1mg/L又は以下でも酸化還元電位を+で維持できれば問題ないはずです。
又2000人クラスの浄化槽で送風装置を変更するとなるとかなり予算が必要ですね、だいぶ古い施設であるなら改修工事と云うことで予算がとれればいいですね
水質についてはもう少し詳しく他の項目も検査されていると思ったのですがCODの情報では分からないです。
回答に対するお礼・補足
御回答ありがとうございます。ばっき槽への空気量を抑え、DO調整を試みてみようと思います。水質について他の項目とはどのような値でしょうか?具体的に挙げて下されば、お応えできるかも知れません。よろしくお願い申し上げます。
No.5449 【A-4】
Re:合成界面活性剤などによる毒性影響
2004-03-29 23:19:50 JPCCN関西 化情技セ (
今日にあって、浄化槽の活性汚泥に対する毒性が決して無視できないほど、質的にも量的にも多くの毒性物質が使用・排出されるようになっています。
それらの代表例を以下に挙げます。
1)合成洗剤(石けん以外の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤)
2)陽イオン界面活性剤(柔軟仕上げ剤・ヘアリンス・殺菌剤)
3)薬用石けんの有機塩素系殺菌剤
4)カラーリング剤の芳香族アミン類等(1・2の合成界面活性剤も共存)
5)塩素系漂白・除菌剤
6)p-ジクロロベンゼン(トイレ用防臭剤)
いずれも活性汚泥に致命的な悪影響を及ぼしかねないものであり、近年は4)の使用量も急増傾向にあるため、厳重注意に値します。また、4)・6)は変異原物質(の集合体)ともいえるものであり、その毒性作用による処理能力への影響も疑われます。
量的・質(毒性の強さ)的に考えても、1)の影響による場合がほとんどと思われますが、毒性の強さの点だけでみれば、2)や3)による影響はさらに大きいといえます。
微生物を用いる浄化法一般にいえることですが、浄化槽や下水道は元来非毒性物質としての有機汚濁負荷の低減を目的とするものであり、これらの目的とする効果を阻害する以上、上記にあげたような物質の使用・放出を自主規制あるいは(それでできないのであれば)条例などで禁止・規制するのが当然の策であるといえます。
合成界面活性剤の毒性についての詳細は、JPCCNのホームページをご確認ください。
JPCCNホームページ http://www.jpccn.org/
回答に対するお礼・補足
御回答ありがとうございます。現在私たちの生活において一般的に使用されるものの中に活性汚泥に影響を及ぼす物質が数多く存在することを理解させて頂きました。詳しくはホームページを拝見させて頂きます。
No.5454 【A-5】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-30 10:41:57 papa (
回答に対するお礼・補足
ありがとうございます。参考にさせて頂きます。
No.5468 【A-6】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-30 20:34:01 aqua-play (
浄化槽にしても下水道にしても適切な資格者がおり状況に合わせ排出者に対してアドバイスしていくのが良いでしょう
No.5471 【A-7】
Re:情報の化学的信憑性にご注意を
2004-03-30 21:50:22 JPCCN関西 化情技セ (
下水処理プロセスに関しては、これらを扱う人間の技術過信による身勝手な判断をされがちですので、注意を促します。
例えば、回答にあった「馴致」の問題ですが、これは生化学的に考察すれば、微生物が合成界面活性剤の毒性作用で傷ついた結果、いわゆる「傷口のかさぶた」に相当するタンパクなどの高分子物質を大量に分泌し、水中の遊離合成界面活性剤を吸着させることで、見かけ上の濃度が減少したに過ぎないと考えるのがマイクロバイオテストの知見から妥当であり、決して生分解されたり、無害化されたりした結果ではありません。また、このような作用は下水処理では大きな障害や汚泥の体積を異常に増加させ、処理コストや汚泥廃棄物の増大を招く原因となっていることを認識するべきです。
また、石けんは脂肪酸の塩のため、排水中では脂肪酸として存在し、その脂肪酸はそのまま微生物の栄養として速やかに消費される点が、毒性物質として作用する合成界面活性剤とは大きな違いです。また、石けんは合成洗剤に比べて洗浄性能が劣るというのは明らかに誤解であり、日常生活での汚れを落とすには、石けんの洗浄性能の高さは合成洗剤の比にならないほど優れています。この理由は、Like Dissolves Like(よく似たものはよく似たものとよくなじむ)という、化学の基本原理から解釈されます。
No.5476 【A-8】
Re:papaさんへ一言(回答者としての良識について)
2004-03-30 23:50:36 JPCCN関西 化情技セ (
現在使用されている製品がすべて問題ないと言い切るような、無責任な発言はやめていただきたいと思います。今日使われている、毒性の問題が疑われる製品は、ただ単に法的規制の対象外(あるいは緩慢)となっている(つまり禁止されていない)から存在しているに過ぎず、そのことが安全・安心を示すというのはとんでもない誤りです。
p-ジクロロベンゼンの問題にしても、「汲み取りトイレで使われているから心配無用」との見解ですが、そこには何の科学的根拠もありません。これでは、かつてのDDTに対する考え方(DDT安全論)と同じであり、あれだけ問題になったDDTの教訓など、何一つ生かされていないことになります。
付記すれば、p-ジクロロベンゼンはウサギに白内障を発症させることが知られており、このことからは、哺乳動物の白内障(角膜の混濁)リスクの増大に関わると考えられます。また、変異原性も疑われています。さらに、p-ジクロロベンゼンが吸着した廃汚泥が焼却された場合、ダイオキシンの発生源となる可能性がきわめて高いものです。
回答は科学的根拠に基づいた上で、回答者の考察を含めて行うのが良識ある対応といえるのではないでしょうか。
No.5477 【A-9】
Re:合併浄化槽での不具合
2004-03-31 00:23:52 aqua-play (
JPCCN関西 化学情報技術センターかねてから応援したいと考えていましたが今回のことでその気がまったくなくなりまはた。
「石けんの洗浄性能の高さは合成洗剤の比にならないほど優れています」はその様に書いた文献・HPも過去見たこともありますが、ある条件だと石けんの洗浄性能が良いのかもしれませんが現実寒い冬に冷たい水で粉石鹸を使用して洗濯するとつぶつぶがのこってあまり綺麗にならない事実もあります
No.5521 【A-10】
Re:aqua-playさんへ一言
2004-04-03 00:48:19 JPCCN関西 化情技セ (
>(引用)「石けんの洗浄性能の高さは合成洗剤の比にならないほど優れています」はその様に書いた文献・HPも過去見たこともありますが、ある条件だと石けんの洗浄性能が良いのかもしれませんが現実寒い冬に冷たい水で粉石鹸を使用して洗濯するとつぶつぶがのこってあまり綺麗にならない事実もあります(引用終了)
これはaqua-playさんが、よほど品質の悪い石けんをお使いか、使用目的から考えて適切ではない石鹸製品を選択したことによる問題か、もしくは使用法の誤りによる問題であると考えられます。
一番目のケースの可能性は低いと思われます。
二番目の場合は、動物油脂原料を多く含む、飽和脂肪酸塩の含有率の高い石けんの場合によくあることですが、これは決して石けんの性能が低いことを示すわけではありません。このような石けん製品は、煮洗いや高温での使用に適したものであり、最適な条件で使用すると、石けんのなかでもとくに優れた洗浄力を示します。例えば、冷水に溶けにくい石けんは、熱湯で溶かし、レンジ周りの掃除などに使ったり、中華鍋のこびりつきを伴う油汚れなどに対して煮洗いを行うと、その威力を実感することができることができます。
石けんは使用方法を誤ると洗浄効果を十分に発揮しません。誤った使用方法を放置したままで、(合成洗剤は便利で性能に優れ、)石けんに欠陥があるかのような情報を流す行為は、誤解を招きかねないものであり、予想される結果から察すると、虚偽の情報を流すのと実質上同じような行為であるといえます。自治体レベルでも行われ続けている、(ただでさえ石けんの化学的認識の低さの点が問題となっている)石けん使用運動に水を差すものであり、とくにこの場面(環境Q&A)ではしてはならないことです。公益性保持の観点から、この点について厳重警告いたします。
初めて石けんを活用される方は、脂肪酸組成でオレイン酸含量の高い植物油脂原料の製品を使用されることをおすすめいたします。また、洗濯機は安価で使いやすく、回転力の強い二槽式洗濯機をおすすめいたします。
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